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差し伸べられた左手
「お前もまた俺と争うのか?」
怒気をはらんだ声で俺はその人影を睨みつける。
「お前が罪人であるうちはお前と敵対しなければならない」
そんな声が聞こえてくる。殺気とともに漂ってくる血の匂い。
「ここに侵入して何が狙いだ?俺ってわけじゃないだろう?」
もし俺が狙いなら会話をする意味はない。正直俺としては会話なんてしたくはないんだが…
「目的をわざわざ話す必要もないが…まあいいだろう」
その人影は俺に手をさし伸ばす
「お前を拘束しに来た」
人影はそう返すのであった。