過去の影
あれから数時間後、俺は先ほど言われた殺人事件を調査するために多くの生徒が学校を離れているため人気が少ない校舎を一人で歩いていた。
「疲れた…」
なお彼方の追跡を振り切ったあとなので結構疲れているので早く自室に戻って休みたい一心で自室を目指しているときにふと気づいてしまった。
「何だこの気配?」
自室内部に誰かの気配がする。一瞬モノかと思ったがモノは今校長のところに行って何やら話しているらしいので違うだろう。鈴も現場に駆り出されているため違う。他の生徒だとしても俺の部屋をピンポイントで狙う意味はないだろう。
「誰だ?」
そうつぶやき足早に自室の扉の前まで移動する。ドアの前までくるとやはりモノではないのが分かる。
「………」
ドアノブに手を添えてゆっくりとひねる。そしてドアを開け、中を確認する。
「誰もいない?」
あたりを見渡しても人の姿はない。だが気配はする。となると…
ナイフを構えて気配のする場所に投擲する。するとぴたりとナイフが空中で止まる。すると空間が歪みその『人影』が浮かび上がる。
「赤いローブ…」
見覚えのあるその姿をあらわにしたそいつは機械音のような声で言う
「また邪魔をするのか罪人」
と…