1つのミスから広がる波紋 ~条件~
「何が…あったの?」
私は今日の朝正体不明の男に助けられた生徒。名前は学校名でジズ・ヘルナと呼ばれている。そして今は、決闘をするという情報を聞きつけて偵察がてらに来ていたはずだった。はずだったのだ。
きずけば私の隣にいる相棒を含めて周りの生徒は何一つしゃべらなくなっていた。つい1秒ほど前には楽しませろ!やら頑張れ!などの歓声を送っていた生徒たちもだ。
私は見てしまった。女子生徒が開始1秒未満で倒れる姿と一瞬で15メートルほどを移動する男の姿を
そして、この瞬間確信した。今朝私を助けたのは…あの男だということを。
俺はミスをした。
目立ちたくないために、一瞬で決着をつけてしまった。だがそれはかえって目立つようになるほどの速さだった。
「お前のせいだぞ?バカ」
俺はそう言いながら彼方を抱え、医務室へ行くのであった。
~医務室~
「何であんたがいるんだ?」
目の前にいるのは、養護教諭の教師ではない。スーツを着こなしている20代後半の男だ。そして…スーツの胸にあるのは学校の校章。そしてこの学校でそれを身に着けているのは…
「校長先生」
「なに…後始末が大変だと思っただけだ」
そう言って校長は、俺に錠剤が入った瓶を2つパソコンが置いてある机の上に出した。そしてその他に…
「何だこれ?」
「見たらわかるだろ?拳銃とナイフだ」
こんなものどうしろと言うんだ…と思いふと薬の方に目をやる。
「この薬は何だ?」
「この二つの薬はお前のその能力と力を出させないようにするものと逆に力をすべて開放するための物だ。お前の行動を見ていたが、お前の強さは異次元だ。」
「そうかよ…」
俺は彼方をベッドに寝かせ、薬と拳銃、ナイフを受け取る。
「それで?お前はどうしたい?その薬を使い、平穏に紛れるか?
「それができればいいんだがな…今回で見られちまったしな…」
あれだけ観客がいたんだ。隠すことは奇跡に近い。そしてその方法を俺は持っていない。
「今回の件に関しては、決闘だからな。後始末はこの私の能力でなかったこととする。だが条件を付ける。それでどうだ?」
校長は俺にそんなことを言ってきた。この男の話に乗るか否か少し考えたのち決める。
「分かった。条件を教えてくれ」
俺は校長に条件を問う。
「条件は3つだ 1絶対にこの条件の出来事を口外しないこと 2その能力を出来る限り隠すこと 3クラスを一生変えないこと。4付き人をつけること この4つだ。」
1と2は分る。だが3と4は意味が分からなかった。
「3と4はどういうことだ?」
「簡単なことだ。能力を隠すんだ、必然的にこうなる。そもそもこの条件を提示した理由は、いわゆる{能ある鷹は爪を隠す}理論だ。だから異次元の強さを誇っているお前を隠したいわけだ。世界の犯罪の抑止力として…そして4はお前の監視だ。お前はあの決闘で能力を使わなかったな?お前の底が分からない以上監視をつけるのは必然だ。」
なるほど…つまり徹底的に監視をする代わりにその力を隠す手伝いをしてやる。だが手伝う以上は気をつけろよ?ということか…
俺はその条件を聞いたのち少しだけ結論を考え…
「分かった。それでいい」
と、答えるのであった。