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逃亡
『被告人証言』
俺がそう唱え掲げた右腕を振り下ろす。
「お前たちの目的は?」
「無能力者の…殲滅」
表情を変えずに二人は口をそろえてそう証言する。
「お前たち集団の構成人数は?」
「19名の…幹部と…」
その瞬間体育館が爆音を鳴らし壊れた。
「誰だ…」
俺は宙に浮かんでいるそいつを見上げる。
見覚えのあるローブをはおり顔は見えない。だがローブの色は赤ではなく白色だ。
そいつは戒魔とガールを見ると手を差し出した。すると二人は一瞬にしてローブのもとに移動した。
だがこの移動は決して二人が動いたわけではないことを俺は知っている。
「懐かしい技だ」
ローブはそんなことをつぶやき、その場から一瞬のうちに消えた。
「女のような声だったが…あいつ…誰だ?」
俺は考えるが答えが出る前に別の問題が入った。
「ちょっと!アンタどういうことなの!」
再生された体育館に大声でずかずかと入ってきたのは弓を放った張本人、鈴であった