審判開始
「なるほど…なぜこのタイミングで記憶操作をしたかと思っていたが…」
目の前のガールはそう言いながらも攻撃の手を緩めない。それに俺を吹き飛ばした斧はすでにガールに回収されてしまっている。
「どうするか…」
するともう1本矢が後方から飛んできた。そしてその矢の先端には小さな種のようなものがついている。
「やっぱあの時お前に技術を教えておいてよかったよ」
俺は聞こえてないだろうそいつに言い放ち、モノの状態を確認する。こうしている間にもネアはこちらに銃弾が来ないように止めてくれているおかげでガールにのみ警戒をすることができる…というかモノを治した時点で勝負は決まったようなものだ。
「共鳴」
俺がそうつぶやくと、手元にナイフが現れる。
「戒魔!撤退だ!」
俺のその姿をみてガールはそう叫ぶ。どうせこの力は初見じゃないってことは予想できる。だが…
「逃れられるかは別だけどな」
俺はにやりと笑い詠唱する。
「法則模倣:重力操作緩和 空間支配:空間把握」
その詠唱をした瞬間、ガールが斧を軸に崩れ落ちた。
「やっぱりそうか…」
重すぎると思ったか重力操作なら説明がつく…とはいえこれでガールの動きを鈍らせることができた。それにもう1人こちらに注意を向けている人物の気配がする。
「まぁ関係ないがな」
ガールは斧を離し、戒魔も戦線を離脱しようとしているがネアもいれば体育館を出る手段もない。
「共鳴支配:審判」
その詠唱を唱えたその刹那、目の前の2人の敵はぴたりと動きを止めた。