出そろった役者
「やっぱりそうか」
俺は斧を短剣で受け流しながらつぶやく
「元学校の生徒二人…か」
後ろから校長の声が聞こえる
モノは校長に任せている。【それ】が済むまで能力は使えない…
「やっぱりお前気づいてるな?」
斧を持った元生徒…ガールは俺に問う
「何のことだか」
俺は繰り返しだされる重い攻撃を受け流しつつ答える。とはいえこいつが言ってることはある程度予想できる。
「とぼけるな!!お前がその『共鳴』を使うたびにあの人形にある種が成長するようになってることをお前は気づいてるんだろ!?だから学園長に治療させてるってわけだ!」
だんだんと重くなる連撃をさばき続けてさすがに手がしびれてきたころそんな言葉を投げられた。さらにガールは言葉を紡ぐ
「まぁお前が能力を使えるようになったら撤退するしかないからな…その前にカタをつけるさ」
そう言ってガールは俺から1度距離を取る。
「………!」
聞き取れなかったがガールは何やら詠唱するとその斧をこっちに投げてきた。その斧を奪おうとつかんだその刹那、とてつもなく重いその斧の勢いを殺せず後方に飛ばされる。
「なるほど…これがお前の能力か」
持ち上げるどころかピクリとも動かせないその斧を見ながらつぶやく。
「さすがに能力なしではきついか…」
ネアは戒魔と、俺はガールと、校長はモノの治療と決定打にかける盤面だ。 だが俺は知っている。たった一人事実変換による記憶操作をかいくぐり、この異変に気付くものの存在を
気づけば開けていた距離を眼前にまで詰めていたガールと俺の間を、その矢は通り抜けた。
「やっと来やがったか…鈴!!」
俺は体育館の外にいるであろうそいつに叫ぶのであった