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これが、悪役育成プログラム でもこれ序章だから

半年後のお話

すこしずつこの世界のことがわかってきて??

 

 さて、今生の父との対面から半年が過ぎ、俺は使用人たちの会話からいくらか新たな情報を得ていた。大きく分けて2つ、この国のこと、母のことである。


 今ある情報をもとに解析するとどうやら俺は転生し、カラミティ王国、通称闇の王国の王 アドルファス・クラウドの子供として生まれてきたらしい。つまり、所謂王子というわけだ。余談だが、あの日以来、アドルファスはここに来ていない。俺が今住んでいるのが、屋敷の離れのような子供を育てるための場所に隔離されているのもあると思う。あの日の蔑むような目を見ていれば、やつが子供好きでわざわざ離れにまで来てくれるだろうだなんて夢にも思わない。


 また、俺の母 ルナ・クラウドは今までで一番お優しい妃様だった、と言われているらしい。母の出身は隣国のティフォン王国で、いいところのお嬢さんであったらしい。ちなみに、俺の髪の色は金髪で父譲りだが、紫色の目や顔立ちなどは母にそっくりだそうだ。母に似ているというのは使用人の警戒心を解くには十分らしかった。父よ、なぜあなたはそんなにも恐れられているんだ。


 まあ、あとは他の妃や王子がいる可能性があるが、これは探らずとも追々わかっていくだろうから不安は少ない。だが、この国が闇の国と呼ばれている理由も、アドルファスがこれほどまでに恐れられている理由も使用人の会話という限られた情報源からは見当がつかなかった。




 この半年間、他にも収穫があった。この家にいる使用人と全員人見知りになったのだ。といっても人数は少なく、四人しかいないのだが。


 まず一人目が執事のジャン・フィエール。この家を主に仕切っている人間で、とても頭が切れる。

 まさしく執事といった様相で、四十代くらいの男だ。


「坊っちゃん、食事をするときはマナーが大事です。そのようにお口の周りにご飯を塗りたくっていてはいけませんよ」


 子供なんだから、許せ。手がうまく動かないんだ。ジャンは優秀だが、変なところで少し抜けている気がする。


「坊っちゃんはまだ赤子なんだからできないのが当たり前さねえ。むしろ、床にも落とさず上手に食べられているもんさ」


 次に、この人が家政婦のマリー・カペル。主に俺の世話を焼いてもらってる。恰幅がよく、近所の料理屋の女将みたいな安心感がある人だ。いつもジャンの無茶振りを叱ってくれている。


「まあ、俺は貴族様みたいにかしこまって食ってるよりも、坊っちゃんみたいに旨いってのをだしてほうばってくれる方が嬉しいけどな」


 そして、コックのシリル・ベール。筋肉が程よくついており、一見するとコックというより剣士っぽい見た目だが、とんでもなく飯がうまい。まだ離乳食の俺ではあるが、こんなに旨い料理は食べたことがないと言い切れるほどだ。


「坊っちゃんはティッシュをばらまいたりもしませんし、最近はハイハイも出来るようになってるのに悪さもしなくて。とってもいい子ですよ。さすが、ルナ様のお子様です」


 最後にメイドのロザリー・ブルガン。少し気が弱そうな女の子だ。主に掃除などはこの子が行っている。元母の話相手だったらしく一番俺に母の話をしてくれる。いつもさすがルナ様のお子様だ、すごいと言っているが、誰もいない時の睨むような視線を俺は知っていた。他の使用人もそうだ。ロザリーよりはいささか隠されている感じはするが。


 優しくしてくれる、世話もしてくれる。手を挙げられたことだってない。けれど時たま向けられる嫌悪の目。


 当たり前だ。


 俺は生まれながらに母を、ルナ・クラウドの命を奪った人間なんだ。愛する主人を殺した子供。愛したい、けれど同時に憎い。そんな歪な感情が胸中を巡って至っておかしくない。


 いいご飯にもいい生活環境にもありつける。けれど、孤独。誰もが恐れる唯一の肉親である父は自分に興味すら持たない。使用人から渡される歪な愛を胸に抱きしめて生きる。確かに、他者が最大限俺の中からいなくなることで、俺という存在が確立していく。そんな感じがしなくもない。


 ああ、そうか。


   これが俺の転生特典なのか。


              正しく、()()()()()()()()()







ps この頃の俺


    これ、全然序章だから。シリアスぶってるけど、全然序の口だから。


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