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少年の冒険に

今回少し長い回です。まあいつもが短すぎるんですが…

目的地へ一直線へ進むため草木を掻き分ける。葉っぱが葉っぱと擦れ合う音、乾いた葉っぱと地面に落ちた枝を踏みにく音。そういう音を出しながら進んでいた。


ある程度進んだことで目的地の様子を確認できた。だが見えた光景は信じ難い物だった。だから一人で走っていた。


木が生えていない、そういう場所だと思っていたでも、木は折られていた。刃物ではできないギザギザの断面。


木を鈍器で倒せる奴って冗談じゃねえ。


ここからいち早く逃げるため巫女の元へ戻ろうとした瞬間だった。


怪物の声が肌を震わせる。追い討ちのように聞こえてきた、木の歪んでいく音。


幸い開けた場所にいた俺は、立ち上がる事で木よりも高くなったそいつが見えた。かなりちじれている緑色の髪は離れて居れば葉っぱに見える。人間のような、しかし同じく緑がかった肌の巨体。茶色の半袖半ズボンには葉っぱがついていたのか、立ち上がった直後にはかなりの量が宙に待っていた。


そして最悪なことに…


目があってしまった。


はるか上からの見下すような視線は一瞬にして藤田の体を凍りつかせる。


に、逃げろ巫女はばれてない。真反対に、出来るだけ距離をとる。動け、動け!!氷ついた太ももに拳をたたきつける。


拘束を破るようにゆっくりだが力強く足を動かしてゆく。


このままだ、このまま走れ。距離を稼いで対策をたてろ。


巨人は木々を右手に持った石斧の一撃でたたき折り、森を突き進み着実に迫って来ていた。


あんなの勝てるかよ。防具はともかく盾ぐらいあってもいいだろが!


これは俺達にとっては明らかなイレギュラーだ。どうすれば…


「なんで逃げるんですか?」そう後ろを見るのも忘れて走っている俺に、ここに来る道中のようなそんな自然な声で聞いてくる。


こいつなにか策が……


「あのダーンて奴をやればいいじゃないですか?」


ちくしょう、やっぱりこいつポンコツよりだった。


また一段と走る速度を高める。


なにか、なに…か。


何も思い付かない事に焦りを覚え視界を一旦遮り思考に回してしまう。


あれ足に違和感が、前に動かない!?そのまま体勢を崩し倒れゆく藤田の風圧により木葉が舞い散る。


「勇者様!」


土に埋もれた顔をあげる、なんか…眩しいな。早く起き上がらないと。急に暗く……なった!?


立ち上がる事を後回しにし、急いで影の正体を確認するため振り返る。既に振り上げられた石斧。それを見た瞬間に体の力は抜けていた。


巫女なら魔法とかそれくらい使えよ。誰か助けて、守ってくれよ。勇者だぞ?俺。


諦めた藤田の意識はうっすらと現実を認識する程度まで堕ちていた。


いた。


突如として、閃光が現れ思わず目をつむる。


その間にも感じた地面の揺れと鼓膜が破けそうな音に不安になりながらも現実を認識するため暗闇を開くと。


あの巨人は見る影もなく逆にそれと見合うほどのクレーターが豪勢な盾を中心に出来上がっていた。


その光景はどこか圧倒的だった。




とある王国の宝物庫にて


定期的に確認作業を行っていた兵士が破壊音を耳にし急遽その中を確かめていた。


天井に空いた穴から入る光に照らされた、何も置かれていない台座。


その状況は兵士にとっては衝撃的過ぎた。


「で、伝説の盾が逃げた」そう叫んだ兵士は急いで玉座の間へ走り出す、自分の罪を考えぬままに。


「お前やめろ。」玉座の間の扉にて激しく鎧がこすれ合う。


「何事だ!少しは静かにしろ‼」中から扉を開き、出てきた男がその状況を制すように一喝するがその開かれた扉の僅かに兵士はその最後の誇りをぶつけていた。


「伝説の盾が逃げました!」奥の奥まで届かせるようにそう兵士が声を荒げた。


さっきまであった落ち着きはらった様子はもうない。


「お前らの監督不行き届きではないのか?」


「そんな事よりこれは重大な国際問題ですよ。我々に管理を任せてくれた国々もそれ以外からも。」


「本題はそこではないだろう馬鹿者!」


「な!」


「このままでは世界が救えなくなるやも知れんのだ!分かっておるのか!」


遂に王が口を開く


「静粛に。多分問題はそこではない。伝説の盾は逃げたのではない、盗まれたのだ‼」


様子は様々だが皆その革新的なアイディアに驚いていた。


「ですが伝説の盾を盗み出すとなると人外レベルの化け物、あり得るのですか?」


「72柱の悪魔」


「伝説の盾が逃げた。どちらとも現実的ではない、だが最悪の事態を想定すべきだろう。」その言葉で、顔を下げる臣下達。


「今すぐ公表せよ。」


「王よ、それは流石に…」そう進言した臣下を一瞥する。


「ここはどこだ?我々は対悪魔用の要塞を世界から渡されている。それはどこまでも信用によるものだ。その信用をどこまでも過去の行動に起因する物。忘れるな‼」

どこか圧倒的だった。

手抜きじゃないですよ。この表現個人的に好きなんです。圧倒的って言葉に心が圧倒的される気がして。

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