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Descartesの備忘録  作者: Descartes2018
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<セイブルにて その3>

<セイブルにて その3>


『願いといってもねえ、問題の癒着エリアで何が起きているのか、

 ボクにもまだよく分かっていないんだよ、じじい』


『そこをなんとか、殿ぉ~!』


豊臣秀吉かよ(誰


『ちょっと待って、今ねマスターと繋がるとこだから』


余りにじじいがうるさいので、

緊急通信回線(緊急でないと繋いではいけないと念押しされてる)でマスターと交信することにする。


《ソラ、緊急通信回線使用の許可を受けてくれ》


ボクは、ソラに接続をオーダーした。


《かしこまりました、ただ今接続申請中です》


ソラは、てきぱきとボクの中で作業を進める。

マスターは、ちょっとだけ間を置いてからボクに話しかけてきた。


《いやぁ、ウンチのキレが悪くてちょい遅くなったさー》


厠に行ってたのか、マスター。


《で、何かわかったかい?》


ボクは、セイブルに到着後じじいと遭遇してからこれまで、確認した出来事と暗黒雲に飲み込まれたらしい生命と物質について報告したのち、これらの救済について可能性があるのかどうかを尋ねた。


《ああそれねえ、救済できるかどうか、マカインのほうも調べてみないとわからんね。

早速だが、これからマカインのほうに行ってくれるか》


マスターの判断は、次元を跨いだ視野に立っているはず。

流石にボクとはひと味もふた味も違う。

マカインも、暗黒雲の侵食でここと同じ目に遭っているかもしれない、

そういうことか。


《わかりましたマスター、ボクをここからサルベージし、

 マカインまで転送を願います》


この際じじいはどうでもいい。

面倒そうなので、このままマカイン(アチラ)にトンズラしよっと。

わけわからん一本道に殆ど興味は無い。、

新たなる世界へ旅立ちに備えるのだ。


《そのことだが、そこのお爺さんも一緒につれていったらどうかね》


《はい?》


マスターの思わぬ提案に、不覚にも思わず上ずった声を漏らす。

新たなる旅立ちに、じじいは不要。

もっとこう、旅立ちには何か素敵なテンプレがあるでしょ、マスター。


《お爺さんはダンジョン本体のアバターらしいが、

 私のちょっとした工夫でマカインに転送ができる。

 あちらの探索にきっと役に立つはずだ》


マスターの言葉に、思わずじじいをガン見するボク。

当然マスターの声はじじいに届いていない。

じじいは、捨てられる寸前の犬のような不安そうな眼差しで、

ボクをジッと見守るだけ。


『おい、マスターがじじいも連れていけだと』


それを聞いたじじいは、両手を大きく広げ天に向かって叫んだ。


『殿の上様がそのようなことを?』


徳川吉宗かよ(誰


『もっとも、ワシはこのダンジョンに寄り添う只のアバター。

 ここから少しでも離れればあっという間に消滅してしまうはずじゃが』


じじいは、首を左右に振り残念そうに肩を降ろした。


《ジグ、じじいはマカインに移動させても消滅しない。

 また、本来の能力をそこでも使用できるようにする。

 更に、このダンジョンを私が責任を持って侵略から守ると伝えるのだ。

 階層ごとのボスキャラ達は、キャラも立ってるし強いぞ。

 存分に利用すれば良い。

 だが、くれぐれも奴らにナメられないようにな、ははは、最初が肝心だ。

 よろしく頼むぞ、どうやらまたトイレに行きたくなってきた》


言うだけ言って、プチンと途切れる回線の音。

通信が切れたか。

はははってなに。

ボスキャラ達って、一筋縄ではいかないってこと?

少なくとも、じじいの指示には従うはずじゃないのか。


マスターはときどき肝心なことを言い忘れることがあって、ボクはそれが不満だった。

マスターの意志をボクなりに忖度し整理すると、

<マカイン調査の中で何らかのトラブルが生じた場合、

 じじいのダンジョンのボスキャラたちを、サーカスの猛獣使いのごとく駆使し解決せよ>

 という風に解釈した。


《い、イエッサー!》


既にマスターには聞こえていないはずだが、やけくそで承諾の返事。


《ジグ様、マスターからマカイン転送用のキーを承っております。いつでも転送できる状態です》


直立不動のボクに、ソラからの報告があった。


《ソラ、じじいも一緒に転送できるのかな》


ボクは、敢えてその点を確認した。


《はい、そのとおりです。ついでに申し上げますと、私のキーを使用すれば、

 ダンジョンから指定のボスキャラを転送可能です》


いやいや、早速あちらでトラブルが生じて、

解決のためにボスキャラに頼ったものの、ボクの言うことを全く聞かなかったらどうする。

この辺りのもやもやを残したまま出発するしかないようだ。


ボクとマスターとのやりとりの時間は、

じじいには数秒にしか感じられなかっただろう。


『じじいも一緒に行くぞ。その間のダンジョンはマスターが保護する。

 お前の生存も保証するそうだ。まさかマスターの指示に逆らうことなんてないよね?』


ボクはじじいを睨んだ。


『そ、そこまで仰るのであれば、じゃが一点だけ・・』


じじいは人差し指を立て申し出た。


『なんだ、もう時間がないぞ』


『ワシの名前はGJ、じじいではござりませぬ』


『・・・・じじいだな、やっぱり』


《アテンションプリーズ、ただ今から、ジグ様およびじじいをマカインへ転送いたします》


色々わからないこと満載だが、いざマカインへ・・

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