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Descartesの備忘録  作者: Descartes2018
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<マカインにて されど戦士は剣を振る-3>

<マカインにて されど戦士は剣を振る-3>


『・・・むうう、ヴェルキアよ、思いの外あっさりと片付けたものだな』


ハイラインは、目前で行われたヴェルキアと聖騎士による一方的なデスバトルに賛辞を述べた。

ハイライン自身は、ヴェルキアに戦闘を任せると言った手前、

ヴェルキアが二人の聖騎士に同時攻撃を受けたときでさえ、

後方の位置でバリアの維持に努めていた。

セイブル屈指の階層守護者による、堅牢なる防御の上に成り立つ圧倒的な剣技。

スキッドとガルシアは、ヴェルキアの剣から発せられる即死レベルのエネルギーの波動に屈した。


そして今、目前には聖騎士2名の遺体を安置した棺桶が並んでいた。

遺体となった二人がヴェルキアから提案されたこと。

それはX地点までのナビゲーターを決めるための<同士討ち>であった。

だが、スキッドたちは頑なにその提案を拒絶した。

そして、二人は絶対上位の能力者に敢然と立ち向かったのであった。

ヴェルキアは、同士討ちを否とする聖騎士たちに敬意を表し、

できるだけ苦痛を与えず一瞬で二人の生命を奪った。


棺桶はセイブル原産の特殊な素材で造られており、

遺体をほぼ完全な状態で保存する機能が施されていた。

棺桶の頭部にあたる部分は、透明な材質でできており、

そこから確認できるスキッドたちの顔を見る限り、

彼等がまるで生きているかのように見えた。


『これで、遺体に相応の処置を加えれば、再び蘇らせることもできる』


ヴェルキアは、スキッドたちの死に顔を眺めながら、

自分に言い聞かせるように呟いた。

圧倒的な勝利者であるはずのヴェルキアだが、

だがその立ち姿に、あるはずの勢いが感じられない。


そのヴェルキアに、ハイラインは問うた。


『なにゆえ、彼等にそのような処置を・・』


『武士の情け、とでも申そうか』


ヴェルキアは素っ気なく答えたようであったが、

彼自身その答えに納得していないもよう。


武士道か・・それが弱点にならなければいいのだが。

ハイラインは、ヴェルキアのなかの複雑な想いに、

ある種の不安要素を感じた。


『ハイラインよ、二人とも死んでしまったが、このあとどうしようかね』


ちらちらと、ハイラインに目線を配らせながら小声で尋ねるヴェルキア。


『むう、どうするとは、お主、先を考え一気にバッサリやったのではないのか』


驚いたように、少し声を高めにして眼鏡の位置を正すハイライン。


やっちまったのか、ヴェルキアよ。

まさかノープランだとは考えもしなかった。

仮にも80階層守護者とは思えぬノープラン。


微妙な空気が辺りを覆いつくし、沈黙がしばらく続いた。


『・・・それでは、棺桶から片方だけ生き返らせるというのはどうでしょうか。

 どちらにしても、再び我らを攻撃するでしょうが、

 もし案内ナビゲートを完遂すれば、相棒を生き返らせ、

 棺桶を解放する仕掛けを施すことを約束すれば良いでしょう。

 この二人は、我らにとりさしたるリスクのある存在とは思えぬゆえ』


ハイラインは、詰め将棋の解を披露するように答えた。


『お、おう、奇遇だな、私もそなたと同じような考えであったのだ』


ヴェルキアは左手の掌を右手の拳でポンと打ち頷いた。

棺桶作戦は成功だったのだ、そうだ、自分は正しい。

ヴェルキアは、早速スキッドの棺桶の前に立ち、剣先から青白い揺らぎのある光を注ぎ始めた。


ハイラインは、気づかれぬよう肩を竦めた。


『ジグ様、今度こそ助太刀に参りますぞ。

 ハイラインと私が、間もなく到着いたします。

 忌々しい聖騎士どもを、木っ端みじんに粉砕してみせましょうぞ!!』


 ハイラインのジットリした視線を振り払うようにヴェルキアが吠えた。

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