<マカインにて - 聖騎士No.10-2>
<マカインにて - 聖騎士No.10-2>
まがいなりにも、ナンバーの付いたマカインを代表する戦士である。
全ての特殊合金製スズメバチを、一瞬で蒸発させることはそれほど難しくない。
しかしそれでは面白くないとでも考えたのか、
マキャラートは愛剣を手に取すると、
鎬を水平にしたまま、
近くの一匹を思い切り叩きにかかった。
いわゆる、これがマキャラートなりの<ハエ叩き>なのだろう。
ブブゥーン ブンッ ブンッ
攻撃を受けた特殊合金製スズメバチは、
猛然と振り下ろされる鎬の接近を察知したか、
ダメージを受けるぎりぎりの間合いでかわした。
マキャラートは構わず、返す刀で隣の特殊合金製スズメバチを上からスマッシュ!
しかしこれもまた、あざ笑うかのようにマキャラートを空転させた。
それから何度も特殊合金製スズメバチとの鬼ごっこが繰り返されたが、
一度もかすすることなく終了。
『ふ、ふふん。なるほどなるほど、
実に良く出来たおもちゃだ。
なぜ攻撃してこないのかは分からんが、
この俺様を怒らせるスキルが相当高いことだけは認めよう』
マキャラートは努めて冷静を装うとしているが、
怒りのマグマが破局噴火をもたらすまであと僅かというところ。
暇ゆえに始めた<ハエ叩き>たったが、
まさか敵前で<ひょっとこ踊り>を披露することになろうとは。
『よーしわかった、かくなる上は・・・・』
マキャラートの様相が一変した。
それは、まるで別人格と入れ替わったような変貌だった。
マキャラートの身体を包む真紅ののオーラが消えさり、
深いブルーのそれに包まれ新たなステージが始まった。
マキャラートは全身の力を抜き自然体で剣を構えるや、
今までの力任せの叩きとは違い
ダンサーか舞い踊るようにゆっくりとした動作でハチどもに近づいた。
スズメバチたちは、今までどうり剣をスカしてやろうとしたが、
突然動きが鈍くなり、
ブッ ブババババ フン ・・・ ドサッ
三匹の特殊合金製スズメバチは、
見事なまでに真っ二つに切り裂かれ、一斉に地面へ落下した。
一見ゆっくりと振り下ろされたかのように見える連続剣だったが、
実は思いも寄らぬ一撃必殺の太刀だった。
その原理は、直径5メートルほどの空間に時間的ディレイをかけることで、
相手の動きを相対的にほぼ停止した状態にさせる恐るべき技だった。
この技はどんなに俊敏な敵であっても、
剣のゾーンにさえ入れば身動きとれぬ状態を強制的につくり出す。
マキャラートの仕事は、動きを止めた相手を着実に切り捨てるだけ。
ぱちぱちぱちぱち
背後で戦闘待機していた<MONBURN type01>10体が、
一斉に拍手を始めた。
『お、おう、ありがとな』
ロボットに褒められてどうなんだという部分はこの際スルーだぜ。
この忌々しいハチどもを一瞬に黙らせた自分をむしろ称えたい。
ハエ叩きを全部かわしたお前等には、少しだけ賞賛を与えよう。
やられたらやり返す、
そうやって俺は今までも、そしてこれからも戦っていくんだ。
失敗したら倍返し、俺はいつかNo1になってやる!
マキャラートNo10は剣を振りかざし、
未来の自分へエールを送るため空を見上げた。
ぱちぱちぱちぱち
拍手の音がサラウンドでマキャラートを包み込む
<MONBURN type01>は後ろにいるのになぜ。
一人芝居に余念が無いマキャラートは、
いつの間にかハチどものご主人たちが広場に入ってきたことに、
気がつかなかった。
『見事だ、なかなか興味深い技を見せて貰ったよ』
貴重な斥候部隊を瞬殺されたハイラインが、
銀縁眼鏡を光らせ拍手を惜しまない。
『うむ、マカインにもこれだけ優れた剣士がいるとはなあ』
ヴェルキアも、拍手の中ハイラインに同意した。
『でもなー、フィニッシュのあとがちょっと芝居がかってて恥ずかしいぜ』
タルカスが、マキャラートの切り捨てポーズを真似て茶化した。
『・・・・お前ら、特にそこのお前、
俺様の一番気にするアンタッチャブルゾーンを、
ピンポイントでほじくってくれたな、許さん!』
相手が3人も居たことは予想外だったが、
マキャラートNo10に不可能はない。
マキャラートは、後方の<MONBURN type01>に包囲を促しつつ、
侵入者の殲滅モードに入った。




