<マカインにて - 敵か味方か3>
<マカインにて - 敵か味方か3>
マカイン大森林の入り口付近。
ジグたちが最初に降り立った平原に、三人のダンジョン守護者が現れた。
グリストルダンジョン60階層、70階層、80階層の各守護者たち、
それぞれ、タルカス、ハイライン、ヴェルキアいう。
かつて、セイブル内戦の決着手段として創られたダンジョンは、
葉巻型を形成し両側に入り口があった。
グリストル、パネレンタと称する相反する勢力は、
ダンジョン中央に設けられた<勝利の間>をめざし、敵側のダンジョン入り口から攻略に旅立った。
協定により、先に攻略したほうがセイブルの覇者となるはずであった。
だが不幸にも、グリストル、パネレンタの選抜チームは、
互いのダンジョンを攻略できず、ダンジョン守護者により殲滅していった。
セイブルが内戦で消耗するさなか、
時を同じくしてセイブルとマカイン両世界の次元侵食が発生した。
偉大なる戦士を失ったセイブルは、ダンジョンのみを残し暗黒雲に飲み込まれていったのである。
三人が平原に現れ、しばらく時がすぎた。
『・・・しかし、あれだな』
60階層守護者のタルカスが、大平原を見渡し低く呟いた。
黒檀色のフルフェイスガードを装備し、表情は全く読み取れない。
全体が黒で統一されたボディースーツは、暗闇でこそ威力を発揮しそうである。
『うむ、あれだ・・』
70階層守護者のハイラインが、同意するように頷いた。
二人は彼方の地平線まで続く平原を眺め、
いったい何を感じているのだろうか。
バトルスーツの上に白衣を着用したハイラインは、
さながら大学病院の医師といった銀縁眼鏡がよく似合うインテリ守護者である。
『ともかく、GJ様のガイダンスどおり、
まずここから指定されたX地点まで移動する。
移動後、GJ様たちを包囲している敵勢力を我々が殲滅する』
80階層守護者のヴェルキアは、
三人のリーダー格らしくGJに課せられた使命を二人に確認にした。
赤と金色が交互に織りなす、織物のような模様のスーツを着用していた。
『それにしても俺たち全員、実践経験がまったく無いわけだ。
キャロラインの野郎が、美味しいところを全部持っていっちまいやがって。
このまま現場に到着して、まともに戦うことができるのかね』
ヴェルキアに促され、森の入り口に向かうなか、
タルカスが弱音ともとられかねない独り言を吐いた。
『仰るとおり、
その疑問は論理的かつ戦闘を行う上で重要な切り口ですな』
ハイラインも、タルカスの疑問を肯定した。
『・・・少し肩慣らししてから赴くとするか?』
ジグの置かれた窮地を知らないわけでもないだろうが、
ヴェルキアは二人にそう問いかけた。
『それなら、互いの能力を最大限活かせるように、
フォーメーションアタックをいくつか試してはどうかね』
ヴェルキアの提案を受け、ハイラインがそう提案した。
彼は、二人より策士としての能力はかなり高かった。
これまで、各々の閉ざされた階層に於いて、
侵入してきた敵を単独で全滅させるため存在していたわけだが、
三人同時に敵と相対することは想定外だった。
『悪くない考えだ。
お互い個人プレーが本来のスタイルだが、
フォーメーションによる攻撃のほうがより効果的かもしれないな』
タルカスが、頷きながら賛同した。
『それでは、事前にGJ様より頂戴した情報を活用し作戦を立案しますので、
この場でエクササイズしましょうか』
ハイラインは、眼鏡の銀縁を人指し指で持ち上げかけ直した。
『わかった、おぬしの策を説明してくれ』
タルカスは、既にやる気まんまんである。
両手をポーンと合わせると、
全身を覆う戦闘モードのオーラを徐々に強めていった。
ヴェルキアは、その場に立ったまま自然体で指示を待つ。
ハイラインが<フォーメーション#1>を説明しようとしたその時、
上空から急速に接近してくる存在をそれぞれ感知した。
『おやおや、ご丁寧に練習相手が向こうからやってきてくれたようです』
ハイラインは、上空に向かい額に手をかざした。




