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Descartesの備忘録  作者: Descartes2018
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<マカインにて それぞれの強者たち5>

<マカインにて それぞれの強者たち5> 


『ジグ様、この娘は危険です。

 ここで簀巻きにして、そのまま転がしておきましょう』


キャロラインが、いまいましげに言い放つ。


『ワシもキャロと同じ意見じゃ、表と中身に看過できぬ乖離がございまする』


さすがはセイブルの強者たち、ソラの分析に頼らずとも、

マオマオの異様な言動とごく微量だが全身から漏れ出る負のオーラに、

警戒を最大値まで引き上げたようだ。


『マオマオさん、それともマオマオちゃんかな。

 何処から来たのか知らないけれど、

 ボク達と一緒に中へ入りたいのなら、もっと真面目に化けたらどうなの』


 こうなれば、結果を気にせず一気にたたみ掛けるしかない。

ボクはマオマオの最初から正体がバレるような登場の仕方に、

甚だ疑問を感じていたのだ。


『あ~らみなさん、随分なお言葉ですこと。

 せっかくあたしが一緒に入ってあげると言ってるのに、

 簀巻きにするだのバケてるだの、

 まるであたしが妖怪変化みたいな言われ方ですわ』

 

 マオマオはその場にゆっくり立ち上がると、

質問には直接答えず腰に両手を当て、

ボク達三人を見回しながら眉を顰めた。


 ボクはやれやれといった感じで両手を広げ、

もう少しだけ、この茶番劇に付き合うことにした。

マオマオには某かの策略があり、且つ建物に入る術を知っているのだとすれば、

ボクたちがここに来る以前に、悩むことなく単独で潜入しているはずだ。



 更に彼女はこうも言っている。

建物の中には、多数のマカイン住民が逃げ込んでいると。

つまり彼女は、この世界に於けるこれまでの出来事について、

ボクたちが必要としている重要な情報を持っていることになる。

ここはひとつ、必要以上に彼女を刺激することは控え、

できるだけ情報を引き出す作戦にいくべきではないかと考えた。


《ジグ様、実に素晴らしい考察です。

 あの娘から情報を収集できれば、

 それを私が分析し対策としてお示しいたします》


《分かったソラ、ボクに任せてくれ》


ソラの後押しもあり、マオマオに対する接し方が決まった。


『マオマオ、先ほどは少し失礼な言い方をしたかもしれない。

 代表してボクが謝罪する、すまなかった。

 それにしても、キミはなぜボクたちとわざわざ一緒に入りたいのかな。

 もう一つ、最初に扉の開け方云々言ってたけど、

 扉には何か特別な開け方があるということなのかい』


『ふふん貴方は少しだけ話しが分かるようね、いいわ教えてあげる。

 この扉だけど、実は内側からしか開けられないようになっているのよ』


 マオマオは、ボクからの謝罪で機嫌が直ったようだ。

この調子で知っていることをどんどん喋って貰おう。


『ほほう、面白い仕掛けじゃのう。

 どれどれ、ワシが少し気合いを入れて・・』


 マオマオの言葉を聞き、じじいが扉に近寄ると、

自慢の杖で扉をガシガシ叩き始めた。

だがじじいの打撃に扉はビクともせず、部分的に破損することもなかった。

じじいの杖の威力は、見た目以上に強力であることは承知の通り。

例え無造作に叩いたにしても、ここから入ることの難しさを見せつけられた。




『お爺さんたらせっかちねぇ、

 そんなことやったって、その扉はビクともしないわよ』


マオマオはウンザリしたような流し目で、

じじいと扉の格闘を揶揄した。


 

『ならば其れがしが・・』


自分の番だとばかりじじいを押しのけ、

今度はキャロラインが長剣の柄でガシガシと。


『やめ~い!相当バカにされているぞボクたち』


ボクは、意気込むキャロラインに一喝した。

キャロラインも、しばらくして扉の堅牢さに納得がいったらしく、

肩で息をしながら扉から退いた。


『で、どうすればいいんだ、マオマオ』


ボクは困ったような表情で腕組みし、マオマオに問いかけた。


『とりあえず、4人で扉の前に並びましょうか』


マオマオはそう言いながら、扉の前にスッと直立した。

彼女に習い、ボクたち3人も並列に立つ。

扉は高さ3メートル、扉の幅はそれぞれ2メートルとかなり大きい。

マオマオはキャロラインに身体を持ち上げて貰い、

マオマオの顔と同じくらい大きなドアノッカーを、

両手で四度叩いた。


『コンコンコンコン・・』


すると、まもなく扉の中から地響きのような野太い声が応えた。


『誰だ、ここは既に閉ざされた門である、

 何人たりとも開けるわけにはいかない、帰れ!』


キャロラインに抱えられたまま、マオマオが答える。


『我らは異世界からの来訪者。

 <大殺戮>から逃れたマカイン住民の<最後の砦>を、

 <あの方々たち>から守るべくやって参りました。

 デイリング帝国国王オクタデリヌス様に、謁見を希望いたします』


マオマオの言葉に、しばらく何も返答がなかった。

<あの方々たち>って言ってたな。

言葉に敬語が入っているところみると、

やはりマオマオは殺戮者の一味と言えようか。

このままコイツを中に入れてしまうことは、

殺戮者の片棒を担ぐことになるかもしれないな。

ぼんやりとそう考える間に、扉の向こうから大きな声が響いた。


『よかろう、ではひとつ質問がある』


声の主は、構築物に入場する条件として質問を投げかけてきた。


『お前達に、開門のカギを渡すとしよう。

 そのカギは、次の3つのうちどれが正しいか答えよ。

 ひと~つ、金のカギ、ふた~つ、銀のカギ、みっつ・・』


おや、どこかで聞いた話しだな。

これって、最後のやつが正解に決まってるやん。


『みっつ、・・・どうでもいいカギ』


ええええええ、話しが違う、ちょっと違う。

動揺するボクをよそに、マオマオは即答した。


『どうでもいいのよね~、だって全部不正解なんですもの?』


マオマオの答えとほぼ同時に、建物の上から大きな何かが落ちてきた。

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