98 ローテ
入浴を済ませ、夜の9時半頃。
オレ達は東側の正面入口前に結界テントを設置して、順番に見張りに立つことにした。
本当なら戦力的にムーコだけがこの東側で、オレとナタリが南の畑側で防衛に当たるのが良いのだろう。
村人の防衛チームから、そういう提案もあった。
だがそれは2つの理由で却下された。
一つは、「側仕えたる者、主の側を離れたくありません」と、ムーコが反対したから。
もう一つは、口にこそしなかったが、オレが村人を信用していないからというのが理由だ。
防衛を頼まれ協力して村を守る村人たちとはいえ、初対面でいきなり信用など出来ない。目の届かない場所で、ムーコ一人を他の村の男たちと夜間防衛になど当たらせられない。これでも年頃の女の子だ。いくら強くても、そういうのはちゃんと弁えなきゃいけないだろう。
そんなわけで、いま東側の正面入口をオレたち三人が陣取っている。
まぁ連携の問題もあるし、こっちから来るのがほとんどらしいから、この選択も悪くないだろう。
「じゃあ、とりあえず仮眠と見張りを回そうか」
「一人ずつ仮眠だね」
「ああ」
見張りは2人体制で、一人ずつ仮眠することにした。
理由は単純に、未知の黄泉返り相手に夜間一人で見張りなど危険すぎるからだ。二人いれば、なにかあってもすぐに応援を呼べたり、手助けしたりできる。
まぁ実を言うと、これも村人を信用していないからというのもある。
どれだけ気のよさそうな人でも、本質が見えるまでは信用しないのがオレ。警戒心が人一倍強く、自分でも『ちょっとな……』と思わなくもないけど、妥協することは出来ないのだ。
ちなみに『村人の防衛チーム』だが、
退魔刀を持っている農夫が11名。
退魔矢という、弓矢を扱える狩人が6名。
──の、計17名だ。
武芸経験のある者はおらず、退魔矢でダメージを負わせた面山賊1体に対して、5~6人で囲んでどうにか倒せる程度だそうだ。
多対一だろうと面山賊を倒せるので、ナタリ単体よりは戦力になる感じだが、面山賊が2~3体も来たらかなり苦戦するそうなのでちょっと心配だ。
大の大人なのだからもうちょっと頑張ってほしいと思いもしたが、考えてみればオレもムーコに武芸を教わる前は骸骨一体相手に苦戦していたし、ふつうはそうなのだろう。一月くらい退魔師やってて初心というか、はじめの頃の感覚を忘れかけていた。反省である。
一応、班編制としては、弓矢2名、退魔刀5名の計7名チームが2つ。
オレとムーコとナタリに、村人の弓矢2名、退魔刀1名の混成で1チーム。
割り当てでは、前者の2チームが南面入口と村の中央の休憩場で交代に見張りをし、後者のオレ達『混成チーム』が東正面入口を守る形だ。
ちなみに村を案内してくれたヤナギダさんは、オレ達混成チームに属する。彼としても、オレ達3人の実力を知っておきたいのだろう。残りの二人もヤナギダさんの狩人仲間だそうだ。軽く挨拶したが、皆まじめな職人タイプな人たちと見受けられた。ヤナギダさんの配慮だろうか。
彼らはオレ達から30メートルほど離れた場所で見張りに立ち、同じように3名で交代で休みをとるらしい。なのでこちら東正面防衛は常に2名の休みと、4名で見張りということになる。




