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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
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95 ムーコと相談




 村を襲う黄泉よみがえりについて話を聞く。

 まず前提として、村には24時間効果のある結界が張ってあったのだそうだ。


 ジド国のように夜11時で効果が薄れるものと違い、小範囲ゆえと、()特別・・()土地柄・・・ゆえ(・・)それが可能なのだとか。

 しかし、いつの間にかそれが機能しなくなり、一週間ほど前から毎晩黄泉(よみ)がえりが来るようになったとのこと。


 襲ってくる黄泉よみがえりの種類は2つ。

 一つは、オレ達もよく知るめん山賊さんぞくたち。

 もう一つは、『武者むしゃだるま』という。


 なんでも大岩おおいわほどもある頭部とうぶだけの化け物で、髪の毛を伸ばしては人をとらえ、そのまま食べてしまうのだそうだ。

 村人も応戦するも、結界が壊れる前までは彼ら自身も見たことのない黄泉よみがえりだったそうで、急所きゅうしょの位置も分からず被害続きとのこと。

 被害内容を聞くと、大人の男が5人。小さな女子供おんなこどもが3人だそうだ。


「……子供も襲われたんですか?」

「ええ、女子供は家に閉じこめて守っていたのじゃが、どこから進入されたのか、いつの間にか……」


 マジか……。

 つらそうに語る村長。


「こんな村じゃけ、男手も減って守りきれなくなってきての……」


 ……これはどうにかして守ってあげたい。

 見ればムーコはさっきまでと違ってしっかり話を聞いている。

 幼い頃(かどわ)かしにあって、見回り組の同心どうしんに救助されたムーコだ。力になりたいのだろう。


「……ムーコ、ちょっと」

「はい」


 オレは話をするためムーコを外に連れ出す。

 ナタリはおばちゃんたちと盛り上がっているし、3人が席を立つのもあれなのでそのまま交流を任せた。



   ◇



 外に出て、手頃な場所にオレ達は腰をおろす。


「ムーコ。また未知みち黄泉よみがえりだけど、どう思う?」

「そうですね……」

「……オレは正直、想定してたより未知みち黄泉よみがえりは危険だと思った。『わらじ足』みたいな奴は、運が悪ければ出会い頭で即死だ」

「はい」

「出来ることなら関わりたくないんだけど……可能なら力になりたいと思う」


 オレは自分の正直な気持ちを言う。

 出来るだけ危険は犯したくない。

 けれど、オレに出来ることならば力になりたい。


 そうムーコに伝える。


「ふふ。フブキくんなら、そう言うと思ってました」


 そう微笑むムーコ。


「……ムーコは? どうしたい?」

「私はフブキくんが決めたことに従います」


 えっ……。


「いや、でもムーコも村を守りたいんじゃないのか?」

「そうですね……。そういう気持ちはあります」


 あります?


「えらく消極的だな。ムーコなら『絶対助ける』って言うと思ったんだけど……」


 少し意外だ。


「…………フブキくん。私はもう、以前の私とは違います。側仕そばづかえの契約けいやくをし、フブキくんの従者じゅうしゃとなった身。フブキくんのめいによって動く者なのですよ」

「ムーコ……」

「ですから、フブキくんが望むようにして下さい。私はその為の『ちから』となります」


 ……ムーコ。

 なんでそこまで…………。


「私は──フブキくんを敬愛けいあいしております」

「けいあい……?」

「はいっ」


 微笑み、まっすぐオレを見てくるムーコ。

 その表情に照れはない。

 っていうかオレの方が照れる。


 でも、けいあいってどんな意味だ?

 好意の一つだろうけど、なんとなくしかわからん……。


「……ムーコ。けいあいって、どんな意味だっけ?」


 オレが尋ねると、彼女は一瞬きょとんとして──


尊敬そんけいして……したしみの気持ちを持っているという意味です」


 と、またにっこり微笑んでくるムーコ。

 そして、今度は少しほおも赤い……。

 なんかムーコに赤くなられると、尚更こっちも照れくさくなるのだが……っ。


 ──でも。

 尊敬……か。そして親しみ。


 オレはあの時──2Mトリオを蹴散けちらしナタリを守ったムーコに、尊敬の念を覚えた。そしてそんなに強いのに、普段はぼーっとしててとっつきやすく、気楽でいられる相手。

 正直、親しみも感じている。


「なんか尊敬にしろ、親しみにしろ、オレの方がムーコにそう感じているぞ?」

「……っ! うれしいです。フブキくん」


 めっちゃうれしそうにするムーコ。

 う……。なにこいつ可愛い。

 こんなに可愛い奴だったっけ!?


 なんか少しドキドキする。

 うー……。

 いや、


「でもオレは、お前みたいなすごい奴につかえられるような、そんな価値かちはないと思うぞ?」


 今更ながら、オレの側仕そばづかえとなったムーコにそう言ってみる。


「いいえ、そんなことはありません。フブキくんはまことに素晴らしいお方ですよ」


 即否定して、これまたにっこりするムーコ。

 …………むぅ。

 なんだこの信頼感。

 なぜだ……。


 やっぱアレか。こないだの面山賊めんさんぞく40体とのバトル。

 ムーコを守るために命がけで戦ったことで、過大評価をされている気がする。

 あの行動にそんな価値はないと思うのだが……。


 んー、まぁいい。話が進まん。

 ムーコのこれは、いずれ等身大の評価に戻るだろう。それより今は──


「わかった。じゃあ、村を守る方向で彼らと話を進めるぞ?」

「はいっ」


 元気良く答えるムーコ。

 うむ……。一応これを相談したくてムーコを連れ出したのだった。

 あとは……ナタリにも一応聞いとくか。まぁだいたい答えは想像つくけど……。


「あ、あの……フブキくん」

「ん?」



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