92 遭遇その2
『わらじ足』のところから登ること3時間。
1つ目の山の山頂に到達する。
途中、何度か骸骨の群や面山賊の集団がいたが、ムーコがいち早く発見することで戦わずにやり過ごしてきた。
さらに3時間。
そこからは尾根沿いを歩くことで、楽に2つ目の山の山頂へたどり着く。
問題は3つ目の山。
山同士が離れており、一度下らなければいけない。
見た感じ、道も困難そうだ。
どうすっかな……。
「今夜はこの辺りでキャンプと致しますか?」
ムーコが提案する。
「そうだな……」
あと小一時間ほどで日が暮れる。現実的にここらでキャンプするしかないか……。
食料は今晩でなくなるが、明日一日くらい食べなくても歩けるだろう。だが見た感じ、残りの道程は明日一日で越えられそうにない。二日まるまるかかりそうだ。
食べ物がなしで二日。
歩き続けられるだろうか……。
水筒に水だけはある。
やれるか……?
かなり厳しいが、他に方法はない。
「あと一時間ほど下って、適当なところでキャンプにしようか」
二人に確認すると、ムーコは「了解です」と答え、ナタリはこくりと頷いた。
少し水分補給の休憩をして、再出発とする。
◇
山頂から一時間も下ると木々が生い茂り出した。
日も暮れて来ているので、ここらでキャンプだ。
良い感じに大きめの木々の間に、テントを設置する。
本来なら木のそばでの野営は、倒木の可能性がありあまり良くない。だがそこは結界テント。
その心配はないだろう。
それよりも、やはり遠くからテントが目につくことを怖れた。
テント内にいれば安全だろうが、起きたら面山賊の集団に囲まれていたは勘弁願いたい。
「よし、設置完了。飯食って寝るか」
「うん」
「柔軟もしましょう」
「え、あれあんま好きじゃないんだよな……めんどくさくて」
「フブキくんは身体が堅すぎです。それに柔軟して身体をほぐすと、疲れもとれますよ」
「そうか……」
まぁ言うこと聞くよ。
ムーコはオレの武芸の師だからな。
めんどくさいけど……。
テントのなかに入る前に、軽く上体を伸ばす。
したら頭上が少し陰った。
「フブキくんっ!」
「うわっ!」
──ドォオオオオオオオオン!!!!
なんとか避ける。
でかい足が落ちてきた!
『わらじ足』!
「ナタリちゃん!」
ムーコがナタリを突き飛ばす。
──ドォオオオオオオオオン!!!!
ナタリとムーコの間にもわらじ足!
2体!?
いや、上を見ると3つ目の闇がムーコの頭上にも……っ!
「ムーコ上!」
「はいっ!」
──ドォオオオオオオオオン!!!!
3つ目のわらじ足!
3体か!
オレは退魔刀を抜く。
ムーコも烈風の薙刀を、ナタリも金剛杖を手にする。
三人がそれぞれ上を見る。
「ナタリやれるか!?」
「だ、だいじょうぶ! 避けられると思う!」
「倒せなくてもいい! 無理するな!」
「うん!」
──ドォオオオオオオオオン!!!!
オレに二度目の踏みつぶし!
どうにか避ける! そして──
「おらっ!」
退魔刀で横一文字に斬る!
ズパァン!
あっけなくわらじ足は黒煙となる。
──ドォオオオオオオオオン!!!!
ナタリが避ける。
──ドォオオオオオオオオン!!!!
ムーコも避ける。
そして、それぞれ攻撃!
ドパァン!
ズパァン!
残り二体も、あっさり黒煙となる。
ふぅ……。
どうにか倒せた……か。
黒煙が消えた足下には、小さな『わらじ』が一足。
呪物だろう。
それを拾おうとして、背後の気配に気づいた。
振り向くと、武器を持った男達。
──5人もいる!
な、なんだこいつら……!?
山賊か!?
くそっ。上から襲ってくるわらじ足のせいで、接近に気づかなかった。
不穏な空気が流れる。
ど、どうすれば……!?
「あ、あの…………どうかお助け下さい……っ!」
男たちが一斉にしゃがみ、頭を下げた。
…………ええっ!?
◇




