88 生きるセンス
「すごいな。キズ一つ付いてない。マジで『絶対防御』だ」
「やはり良い買い物でしたね」
「ああ、買って良かった」
オレとムーコがテント絶賛してると、テントからナタリが出てくる。
その頬が膨らんでいた。
「どしたナタリ」
「怖かったんだけど」
ああ……
「すまん」
「すまんじゃないよー! いきなりオトリにされて焦ったよあたし!」
「そうか……。でもチャンスは突然やってくるもんだしな……」
「そうですね。良い機会でした」
ムーコも同意する。
「良い機会って、ムーコ姉もそう言うの!?」
「ナタリちゃん、よくがんばりましたっ」
「褒められた!?」
「そうだな。面山賊相手に良い挑発だった。やるなナタリ」
「ええー……まぁ必要なことだってのはわかるけどさー。でもフブ兄、顔出すなって言ったそばから顔出せってめちゃくちゃだよー……」
そう口を尖らすナタリ。
ん……そうだっけか?
「まぁとにかく、これで結界テントの安全性が確認できた。今後対処できないほどの黄泉返りがでたときも、テントの中へ入ってやり過ごすことが出来るぞ」
「まぁ……そうだね」
「ナタリがあのとき、指輪とか売ってテントを買ってくれたおかげだ。ファインプレーだぜナタリ」
「そ、そう?」
「ああ、考えてみれば国が落ちた今、結界テントはオレ達唯一の安全地帯だ。これがあるのとないのでは全く違う。さすがナタリ。生きるセンスが違う!」
「生きるセンス……そっかな」
「ああ、おまえは初めて見たときから、人とは違うと思ってたぜ」
「えへへ……」
「よし。……おだても済んだし、今日はもうここらでキャンプにするか」
「ちょ」
「飯食ってゆっくり休もうぜ」
「ふふふ。了解です」
そういう事となった。




