86 困難な道のり
お昼過ぎ。
オレ達はようやく、ジド国の北にある山へ入ることが出来た。
これまで遺体こそ目にすれ、黄泉返りとは一切遭遇せずにこれた。
理由はよくわからない。
早朝から移動を開始したのが良かったのか、ジド国を大きく迂回したのが良かったのか……。
もしかしたら奴らはあのジド国を覆う闇にとどまり、日中は日の射す場所へ出て来ないのかも知れない。
◇
2時間後。
湿地帯で蛭に血を吸われたり、ヤブ蚊だらけの藪ゾーンを苦労して越えることで、いつの間にか遺体も目にすることはなくなる。
さらにそこから4時間。
生い茂る草木をかき分け、足場の悪い急斜面を登り続けることで、ようやく歩きやすそうな場所へ出る。
「少しお休みましょうか」
先頭をゆくムーコが提案した。
「そうだな……」
辺りは開けた草原地帯。
地質の関係か、背の高い樹木がなく見晴らしも良い。
ここらなら少し、落ち着いて休めそうだ。
オレ達三人は、それぞれ適当に腰をおろして水分補給をする。
地図ではちょうどここらが、山の中腹部となっていた。
ジド国を迂回してきたとはいえ、早朝から10時間近く歩いて、ようやく一つ目の山の中腹。
ペース的にどうなんだ?
3つの山を二日で越える予定なのに、これはマズい気がする。
今日はがんばっても、あと1時間くらいだろう。
1つ目の山も越えられずに一日……。
やっぱり案内人がないのが痛い。
ダンディーさんは最速で2日かかると言った。もちろんそれは、案内人が歩きやすい道を選んだ上でのことだ。だが今回は、ジド国一帯が闇に飲まれていたことで、ジド国から山へ入る林道すら使えなかった。地図にはない獣道や道なき道を、むりやり突破するしかなかったのだ。
ちらりと見ると、ナタリが地面にぐてっと寝転がっている。
どうみても限界が近い。
幼いナタリには厳しすぎる道のりだった。
休憩と言わず、今日はもうここらでキャンプとした方が良いのかも知れない……。
「フブキくん、面山賊です」
「えっ」




