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85 不安
遺体。遺体。また遺体。
オレは判断を間違えただろうか……。
北の山へ入るために朝早くからジド国を迂回するルートをとっているが、これまでに何十体もの遺体を目にしてきた。
黄泉返りに襲われた者たちだろう。
ある者は骸骨に喰われ、ボロボロに。
ある者は面山賊に斬られ、ズタズタに……。
なかには外傷はないのに、なぜか肌が真っ黒に染まって事切れていたものもあった。
あの黒蛇の仕業か?
奴は未だ、ジド国に鎮座している。
「……なんにせよ人間の所業ではないな」
オレは小さく呟き、再考する。
本当に、北へ行くことを選んで良かったのだろうか。
判断ミスではないのか。
もしかしたらオレは、ライオンや恐竜がいるような場所へ、刀一本で目指しているアホかも知れない……。
「大丈夫です。お二人は私がお守り致します」
ムーコがそんな事を言った。
不安を見せたか?
いや、こんな状況……不安にならない方がおかしいか。
まさしく地獄。
地獄絵図。




