表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
83/131

83 原因




 どうしてこうなった。

 いや、原因は一目瞭然いちもくりょうぜんだ。


 眼下がんかに広がる真っ黒で大きなやみ。そのなかで時折、黄泉よみがえりのむれうごめいているのが見える。


 そしてその中心。

 学校の校舎ほどもあろうかと思える巨大な黒蛇が、輪ゴムのように丸まり眠っている。


 あり得ないほど大きな蛇。

 あれがジド国を落としたのは明らかだった。




 四日前。


 つまり『烈風れっぷう薙刀なぎなた』を試した翌日のこと。

 面山賊から助けた子供のことでお礼がしたいと、オレたちを訪ねてきた人たちがいた。


 彼らとその子供は、このジド国の南方──つまり『見習いの森』を抜けた先にある山の向こう側で生活する人たちで、そこにオレ達を招待したいとのこと。

 小さな山村ではあるが、めいっぱい歓迎するのでどうか来てくれないかと言われた。


 当然戸惑った。

 村までの道のりはそれなりに険しく、辿り着くのに丸1日かかるという。ほとんど登山のようなものだ。オレやムーコはともかく、ナタリにその道のりは厳しい気がする。


 それに村の人たち──3人のうち一人は女性ではあるが、残りの二人は腕力のある大人の男だ。おまけに武装までしている。いきなりそんな人たちと山の中をともに行動するのは、少し怖い気がした。


 だが詳しく話を聞くと、彼らはモニカさんと古くからの知り合いであり、信頼できる人たちだと分かる。また、当のナタリが行きたがっていたので、村へ行くことを了承したのだ。




 それから四日。

 村でおもてなし(主に三日三晩の宴会)を受け、途中まで見送ってもらい、ようやくジド国が見下ろせる丘へ出られたらこの有様である。


 ジド国を燃やし続けたであろう火の手は消えており、今は黒いやみからわずかに煙が立ちのぼるばかり。

 正直目の前の状況が信じられず、戸惑いを隠せない。


「どうするフブにい……」


 ナタリが不安そうに聞いてくる。

 どう答えたものか……。


 あれは、たぶんだけどたたがみ。『退魔師の昇級条件表』に記載されていた、祟神さいしんとかだろう。当たり前だが、オレたちにどうこうできる存在じゃない。


「どこか別のところに行くしかないな……」


 当たり前のことを答えるしかできない。

 もうあそこへは帰れない。あそこはもはや死者の国。


 何千何万とうごめく黄泉返りのむれが、そこに生きている者がいないことを物語っている。


「山村に戻るか、()くか(・・)……ですね」


 ムーコが言った。

 北というのは、ジド国の北方に位置する山を3つほど超えた先にある、シーラという国のことだ。


 4級退魔師になった翌日、ダンディーさんから元の世界に戻れる可能性があると言われ、その手がかりはジド国の北方にあるシーラ国にあるという。



 ──元の世界に戻りたいのなら、まずはシーラを目指すと良い。



 そう言われ、地図を貰ったのだ。

 地図にはシーラ国までの道のりがかかれており、途中いくつかの村や集落などがしるされている。


 正直オレは元の世界に帰れなくても構わないが、戻りたいというナタリに協力するなら北……シーラ国、ということになるだろうか。


 だが同時に北は、強い黄泉よみがえりが多いとも言う。

 ジド国周辺では見られない、わった(・・・)らが(・・)沢山・・いる(・・)のだとか(・・・・)……。


 どうするか……。


「山村に戻ったとしても、彼らと会えるとは限らないな……」

「そうですね」


 山村の人たちはオレ達の出発と同時に、逆方向の南へと旅だった。

 移住するのだそうだ。

 面山賊の被害が多くなり、より安全な、南の山をいくつも越えた先にある小さな国へ行くのだと言っていた。

 なんてタイミングで……。


 いや、元々もっと早くに移住する予定だったらしい。子供を助けたオレ達に礼を尽くすために、出発を遅らせていたのだ。

 むしろ……不幸中の幸いか。

 彼らのおかげで、難を逃れたと言える。


 もし山村に行ってなかったら……。

 もしジド国にいたら、オレ達はどうなっていたかわからない。

 ……モニカさんやダンディーさん。

 ジド国で出会った人たちは、無事どこかへ逃げることが出来たのだろうか……。


 今となっては知る由もない。

 ………………。


「北かな……。南へ行っても山村の人たちに追いつけるとは思えないし、その先の道がわからない」


 地図はジド国を最南端として描かれていた。


「そうですね。南の山は標高も高く山頂が白んでいました。私たちの装備では越えられないでしょう。逆に目の前の北の山は幾分低いです。……ただ、黄泉よみがえりの脅威きょういが、どれ程かは判りませんが」


 そうだった。

 黄泉よみがえり。

 奴らさえいなければ北で確定なのだが、その脅威きょういが未知数で判断に迷うのだ。


「……あっ。いや、でもオレたちには結界テントがある。これがあれば行けるのでは?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ