78 登録
翌朝。
ザッシオさん達が、オレたちを国の入り口まで送ってくれた。一度面山賊が出るようになった土地は、油断ならないそうだ。
「あの……ホントにいいんですか?」
「ああ、そっちは黒髪ボインちゃんやお前が倒した分だろ? 俺達が狩ったもんじゃねぇし。助けた礼もいらねぇ。困ったときはお互い様だしな」
そう言って、彼らはオレたちに面山賊の呪物──『お面の束』を渡し、去っていった。
「気のいい人達ね。ちょっと変わってるけど」
ナタリが言った。
「そうだな。いつか何かお礼が出来ればいいんだけど……」
この世界に来て、多くの人に助けられてばかりだ……。
「そいや、ナタリ。お前すごい急いで、ザッシオさん達を連れてきてくれたんだってな。めっちゃ頑張ってたって聞いたぞ」
国へ戻る途中、ザッシオさんの仲間のセクシー姉さんがこっそり教えてくれた情報だ。実際、面山賊のいた場所から国まで、走っても片道10分近くかかる。相当大変だっただろう。
「ありがとな、助かった」
「ありがとうございます。ナタリちゃん」
「あ……と、当然よ。仲間なんだし……二人だって助けてくれてるんだし……無事でよかったわ」
そう言って照れるナタリ。
「ではさっそく換金所に行きましょうか」
「そうだな」
オレたちは『お面の束』を持って、換金所へと向かう。
◇
換金所。
モニカさんに昨日助けに来てくれたお礼を伝え、呪物の査定をお願いする。
「ね、ねぇフブ兄……」
待合いのテーブル席で、ナタリがこそこそと話しかけてきた。
「ん?」
「もしかしてさ、換金金額……すごいことになるんじゃない?」
「すごいこと?」
……あっ。
「ね? この世界に来た日、ビャクさんに貰ったお面が一枚5万ポウもしたじゃん? 今回はお面21枚よ、21枚。同じなら21枚×5万で、105万ポウよっ」
105万!?
確かに……21枚×5万で105万。
マジか……。なんかいろいろあって気づかなかった。
でも、本当にそんなにいくのか?
「三人とも。換金が終わったわ」
モニカさんに呼ばれドキドキしながら行くと、カウンター上にはたくさんの大判小判が積まれていた。
「合計350万2900ポウよ」
えっ!
「350万!?」
ナタリが目を輝かせた。
「ど、どうしてこんなにも……」
オレが尋ねるとモニカさんは少し困った顔で、
「呪物見てなかったの? 面山賊の『頭』が2枚もあったのよ?」
「えっ!」
頭が2枚も!?
「あっ……もしかしてムーコが!?」
「あ、はい。フブキくんが来てくれる前に戦っていた面山賊のなかに、二体いました」
ま、マジかよ。
「すごいわね。『頭』は一般的に、面山賊50体分の戦闘力と言われているのよ」
モニカさんも驚いている。
「すごいムーコ姉っ」
ナタリも。
「い、いえ、おかげで殺されかけましたし……」
ぽりぽりと頭をかくムーコ。
なるほど。
どおりでオレでもどうにか倒すことが出来た面山賊相手に、ムーコが負傷してたわけだ。まさか、『頭』と戦っていたなんて……。それも二体。
もしオレがその『頭』達とあたっていたら、軽く殺されていたんじゃないのか……? 面山賊50体分の戦闘力て。
今更ながらにぞっとする。
「ふふっ。とりあえずおめでとう。これで君たちは正式に『退魔師』となれるわ」
おおっ!
「あ……でもまだ骸骨500体を狩れていませんが……」
「そんなの。面山賊を討伐したんですもの。充分よ」
なるほど……そりゃそうか。
「しかも君たちは『頭を二体も』討伐してるからね。一気に『四級退魔師』よ」
マジか!
なんかすごい!
オレは以前貰った『退魔師の各級認定条件と特典&支給品表』を取り出して、『四級退魔師』のところを見る。
【四級退魔師】──級判定員による判定──『宝具3割引き』
おお! 宝具3割引き!
これ、無理だと思って考えもしなかったけど、『烈風の薙刀』をさらに安く買えるのでは!?
「あの……お姉サマ。あたしは骸骨だけで面山賊は倒してないけど、それでもいいの?」
ナタリがモニカさんにそんな質問をした。
なるほど……そういうのは考えてなかった。どうなのだろう。
「ええ、それは問題ないわ。むしろ退魔師は『チーム単位で級付け』するのが通例よ。例えば……そうね。『防御役』や『治療役』など、直接討伐する役割でない退魔師がいることで『前衛』が級認定条件を満たせる場合もあるからね。退魔師会としては、成果をあげてくれればいいわけだから、チーム単位なわけ」
なるほど……。
「さっそく登録手続きをしてく?」
モニカさんの問いかけに、オレたち三人は顔を見合わせて答える。
「はい。お願いしますっ」




