73 少年2
「すみません。勝手に動いてしまって」
黒煙となって消えていく面山賊を見ながら、ムーコが言った。
「いや、すぐに動かなきゃ助けられなかったからだろ。無事子供を助ける事が出来たし、いいんじゃないか?」
「フブキくん……」
安堵するムーコ。
──が、その表情にすぐ緊張が走る。
ムーコの視線の先──50メートル程先から、面山賊が走って来ている!
それも1、2、3、4、5、…………7体!
「すみませんフブキくん、ナタリちゃん。ここは私がくい止めますから逃げて下さい」
「なっ……」
「子供をお願いします! 囲まれたらとても守り切れません! 早く!」
ムーコは真剣そのもの。
「──くっ! わかった!」
「いやよ!」
「ナタリ! オレたちがいるとムーコの邪魔になる!」
◇
坂を転げ落ちるように駆ける。
息が苦しい。
なんだこれは!?
なんでこんなことに……っ!
「くっ……」
オレの前にはナタリ、そして助けた子供が一生懸命に走っている。
振り返り確認するが、面山賊は一体も追ってきていない!
ムーコが止めたんだ!
あの人数の面山賊を相手に……っ!
くそっ!
ムーコの指示のもと、ナタリと子供を国まで送る。
これで良かったのか!?
訓練したのに……っ!
一緒に戦うと約束したのに!
またムーコに任せてオレは……っ!
ちくしょう!
ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!!
………………。
「……くっ」
落ち着け。
一度に二人は助けられない。これでいいんだっ。
まずはナタリと子供を国まで届ける。それからムーコを──
「あっ! フブ兄っ!」
前方を走るナタリが、骸骨と遭遇した。
『刀持ち』5体!
さっきの骸骨と違い、ナタリに襲いかかってきた!
応戦するナタリ。
少年を庇うように戦う。
──が、5体同時はナタリにきつい。
防戦になるナタリ!
オレが駆けつける。
「邪魔だボケェ!!」
──ズバババァン!! ボキャ! グシャメキ!!
5体とも蹴散らす!
「フブ兄!」
「急ぐぞナタリ!」
「うん!」
◇
『見習いの森』の入り口まで来た。
「ナタリ! 先に行って、門番さんやダンディーさんに知らせてくれ!! 助けを呼んでくれ!」
「わかった! フブ兄は!?」
「オレはムーコのとこに戻る!」
「──っ! 気を付けてね、フブ兄!」
「おぉっ!!」
オレはムーコのもとへ、全力で駆ける!
ムーコ……!
無事でいろよ!!




