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70 アドバイス



「なるほど、2人は骸骨を相手に、そこそこ戦えるようになったか。そして、ムーコちゃんの方はもともと武芸者と」

「はい」

「ふむ……。まず、そうだな。基本的に面山賊もあたま身体ボディが急所だが、骸骨と異なり、どちらか(・・・・)一方・・()破壊・・すれば(・・・)呪物化じゅもつか』できる」


 どちらか一方を……?


「そうなんですか……それは少し楽ですね」


 退魔刀たいまとうで攻撃すれば3分は復元しないとはいえ、2つの急所破壊は結構面倒なのだ。


「ねぇ……。破壊すればって、どうやって? あたしの金剛杖こんごうじょうじゃ無理じゃない?」


 ナタリが疑問を口にする。

 あ、確かに……。骸骨ならともかく、肉体のある面山賊相手に金剛杖で頭や身体を破壊するのは難しいな……。


「ていうか、オレの退魔刀でも難しくないか?」


 普通の刀と違って、退魔刀には刃がないのだ。骸骨相手にだって、これまで『斬る』というより、どちらかというと『叩き斬る』という感じで使ってきた。力ずくで突き刺せば倒せるだろうが、それだけではとても面山賊と戦えそうにない……。


「ああ……それは心配いらん。退魔刀でも金剛杖でも、問題なく面山賊を壊せる」

「えっ、そうなんですか?」

「うむ。金剛杖を含め退魔刀の本来の働きは、不浄・・()モノ(・・)()()だからな」


 不浄なモノを断つ……?


「他の人からは、黄泉よみがえりの復元能力・・・・()える(・・)と聞いたのですが」

「うむ。今でこそそう言われることも多いが、それはあくまで退魔刀の働きの、副産物・・・によるものだ」

「副産物……」

「そうだ。本来の退魔刀の働きは『復元能力を抑える』ではなく、『不浄なモノを断つ』だ。だから人は斬れないが、刃がなくとも不浄な存在である黄泉よみがえりは斬れるし、金剛杖でなら叩き壊すことが出来る。……面山賊もその例外ではない」


 そうなんだ……。


「そして忘れがちなことだが、黄泉返りの復元能力は、瘴気・・()として(・・・)機能・・して(・・)いる(・・)点にある」

「瘴気を!?」

「そうだ。だから『不浄なモノを断つ』退魔刀で攻撃することで瘴気も遮られ、結果的に復元も抑えられているというわけなんだ」


 おお……そうだったのか。全然知らなかった。

 今更ながら、理解した。


「ありがとうございます。勉強になりました」

「うむ……。それはいいんだが、問題はここからでな。厄介なのは骸骨と面山賊とでは、戦闘能力にかなりの差があるという点にある。『骸骨を狩れるが、面山賊は無理だ』という者が多いんだ」

「はい……」


 それは、果物屋の女店主も言っていた。


「それぞれの特徴だが、骸骨は数が多いと面倒だが、力はさほどないし刀もボロいから、そんなに危険じゃない。足も速くないから、全力疾走すればまず逃げきれる。だが面山賊から逃げ切るのは難しい。骸骨と違い、しっかり筋肉もある。そして何より奴らは、山や森で戦うことに慣れてるから厄介だ」


 なるほど……。


「どのくらい強いんですか?」


 オレはダンディーさんに聞いてみる。


「どのくらいか……。うーむ。そうだな……。基本的に奴らは生前から山賊だ。徒党を組んで人を襲うのに慣れている殺人集団。先ほどの怪我した退魔師達も、何度か面山賊を倒してきているそこそこの腕前だったが、今回は数が多すぎたようだ」


 なるほど……。


「ま、少なくとも町のゴロツキ程度じゃ、あっという間に殺されるレベルだ」


 マジか……。

 そんなに強いのか……。

 だが、町のゴロツキならムーコも蹴散らした。ムーコなら……。


 ムーコを見ると、彼女は眉間に皺を寄せていた。


「どうした、ムーコ」

「先程運ばれていた方が、何度か面山賊を倒しているというのが……気になって」

「……どうゆうこと?」

「あの、先程の退魔師さんって、あんまり強くないですよね? 彼らが面山賊を倒せるとは思えないのですが……」

「ムーコ、あの人達を知らないじゃん」

「そうですけど、見たらだいたいわかりますよ。あの人達にビャクさんが戦って逃がした面山賊を倒せるなんて、とても思えません」


 そうなのか……。

 武芸者としての人を見る目──という話か。

 オレにはわからない。


「ちょっと待て、ビャクの旦那が逃した? それは前に聞いてなかったな。ビャクの旦那が面山賊をしとめられず、逃がしたってのか? 戦ったのに?」

「は、はい……そうですけど……」

「逃げた面山賊……どんな奴だった?」

「どんなって…………あっ」


 あたま……。

 ビャクさんから貰った面山賊のお面は、3つとも『ぞく』と書かれていたが、逃げた奴はたしか『あたま』と書いてあった。

 オレはそのことを伝える。

 すると、なるほど……と、深く納得する様子をみせるダンディーさん。


「フブキ……。そいつは『あたま』と呼ぶんじゃない。『かしら』と呼ぶんだ」

「かしら?」

「そうだ。『面山賊・(かしら)』──言ってみれば奴ら面山賊の頭領とうりょうだ」


 頭領……。


「さっきも言ったが、基本的に面山賊は生前から山賊だった奴が成るモノ。つまりアホみたいに腕っ節も強い奴もいれば、さして強くない奴もいる」


 なるほど……。

 強い奴も弱い奴も……。


「だが、『かしら』は例外なく強い。なぜなら50や100にも及ぶ、面山賊どもを束ねている存在だからだ」


 そうなのか……。


「フブキやナタリちゃんはもちろん、ムーコちゃんも『かしら』には手を出さない方がいい。『面山賊・(かしら)』に殺された退魔師は、軽く100を超える。将来を期待された才能ある新人退魔師も、たくさん殺されてるんだ」


 まじかよ……。そんなにも……。


「ビャクの旦那でなかったら、全員死んでいたところだ」


 ダンディーさんはとても真剣な顔でそう言った。



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