表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/131

68 貯金&節約生活



 翌日から、薙刀を買うための『貯金&節約生活』が始まった。


 昨夜、あれからテントでミーティングし、やはりあの薙刀を買おうということになった。


 何ヶ月かかるかわからないが、ムーコがあの薙刀をいたく気に入ったことと、オレ的にも中途半端にオレやナタリの装備を強化するよりも、いざという時の為にチーム一の実力者であるムーコの戦闘力を、アップさせた方が良いと考えた為だ。


 あの薙刀の付加効果はすごい。

 ムーコがあれを使えば、こないだの50体の骸骨相手だろうと蹴散らしてくれるだろう。そう思える程の威力だった。


 名付けて『ムーコ一騎当千いっきとうせん作戦』。

 ただ……ホント、何ヶ月かかるのかが問題である……。



   ◇



「今日はお風呂入る?」


 夕方、骸骨狩がいこつがりを終えてナタリが言った。


「昨日入りましたし、今日は手ぬぐいの水洗いで済ませましょう」


 ムーコがそう答える。

 手ぬぐいの水洗い──井戸水を使って、体を拭くだけで済ますことである。 


 昨日武器屋の後に、商店街で『手拭い×3(2700ポウ)』と『風呂桶×1(800ポウ)』を買ったのだ。長期的にみて、銭湯代を節約するためである。


 本当は替えの下着や肌着なども買いたかったが、パンツ一枚8000ポウ、肌着一着1万5000ポウもしてとても買えなかった。オレの元いた世界と違って、機械で大量生産とかがないからだろうか。


 これまで下着は水洗いで夜のうちに干して、服は重ね着を分けて使い回している。なかなか面倒ではあるが、仕方ない。

 食費や治癒符代のことを考えると、余裕はないのだ。


「ま、明日もうまく稼げたら入ろうぜ。薙刀買うために、貯金していきたいしな……」

「そっか……そうだね」


 ちなみに今日の成績は──


 ムーコが8体、オレが11体、ナタリが8体の、合計27体。

 換金金額は5800ポウ。

 現在の所持金は、合計2万550ポウとなる。



 ◇



 2日後。


「今日はお風呂いいよね」

「うーん。あまり汗もかきませんでしたし、今日もやめときましょう」

「えー。もう3日も入ってないよムーコ姉」

「ですが、今日も節約すると、お風呂代一人160ポウですから、3人で480ポウも貯金できるんですよ」

「たった500ぽっちじゃん」

「ちりも積もれば山となるですよ」


 口をとがらすナタリに、ムーコが微笑んでそう言った。


「うー……」


 うなだれるナタリ。

 ムーコの発言力は強い。

 この貯金&節約生活は、ムーコの薙刀を買うためではあるが、そもそもその薙刀でムーコにいざという時に守ってもらう為なのだ。

 自然、彼女の言葉は重くなった。


「うーじゃあ、あたし、夕食少な目にするからお風呂入っていい?」


 ナタリは口をとがらして言う。


「そこまでお風呂に入りたいのですか……」


 ムーコが驚く。

 そこまで驚くことじゃないと思うが……。


「まぁ、ナタリ入りたいなら入ってこいよ。オレがそのぶん節約するし」

「いいの!?」

「ああ」


 まだ温かいから、オレは井戸の水で洗えばなんとかなる。


「ありがとうフブにい!」


 そして湯屋へ駆けていくナタリ。


「フブキくん、甘やかしすぎでは?」

「毎日楽しくいくのも大切だろ?」

「しかし、お風呂くらいそんなに入らなくても……」


 ポリポリと頭をかくムーコ。


「いや、お前こそ頭洗え。前から思ってたけどちょっと臭いぞ」

「えっ! 臭い!? 臭いですか私!?」

「ああ……ちょっとな。3日前に風呂に入ったときも、おまえ頭洗ってねーだろ」


 女の子だから言うのを遠慮していたが、こいつは言わなきゃ駄目なやつだと、ここ数日の暮らしで気づいた。布団一緒なんだから、ちょっと困るのだ。

 ガーンとうなだれるムーコ。


「く、臭い私はいやですかっ?」

「…………」


 なんと答えれば、いいんだろう…………。


「わ、私もお風呂、行ってきていいですか!?」

「いっといで」



   ◇



 夜。

 3人でミーティングをし、お風呂は3日に一回となった。


「おやすみなさいです」

「おやすみー」

「おやおやー」


 照明とかないので、暗くなるとすぐ眠りにつく。たぶん夜の8~9時頃だろうか。


 ちなみに夜寝るとき、オレはテント用の大きな布団の真ん中で寝ている。

 ムーコとナタリの間である。


 なんかテント生活初日に、二人が骸骨の瘴気でダウンして温める為に真ん中で寝てから、そこが定位置となった。

 けっして両手に花とかしたいわけじゃない。


 一度端っこで寝ようとしたら、

 ──「フブにいは真ん中」

 ──「フブキくんは真ん中です」

 と、なぜかそう決められてしまったのだ。


 個人的にオレは、端っこでのびのび寝返りをうって眠りたいのだが、女二人が決めたことに逆らえるほどの発言力はなかった。

 今日もおとなしく真ん中で眠る。


 夜中、うとうとしてると、隣から小さな声が聞こえた。


「うー。お金欲しいよぅ。お風呂入りたいよぅ……」


 ナタリの……寝言だろうか。

 頭を抱えて呟いていたのが印象的だった。   



   ◇



 翌日、ちょっとした奇跡が起きた。


「ちょ、ちょっとフブにい、ムーコねえ、これ!!」


 ナタリが、倒した骸骨のよろいうらを確認してると、特大の小判を見つけた。

 いや、特大だから大判か。

 一万ポウ金貨の20倍くらいでかい。

 これ……見たことないけど、何ポウの価値があるんだろう。


 さっそく換金所に持って行って聞くと、『20万ポウ通貨』と言われた。


 すごくね!?


「やったねムーコ姉! これで薙刀まであと50万ポウよっ」

「はい、ナタリちゃん」


 きゃっきゃと喜ぶ女子2人。


「ねぇ、お風呂2日に一度入ってもいいよね。いっぱいお金入ったし」

「うーん、そうですね。じゃあそうしましょうか」


 お風呂が、2日に一度のルールになった。



 ◇



 さらに翌日。


「またあったぁ!!」


 ナタリがまた大判金貨を見つけた。

 今度はかぶとの内側にあったらしい。

 換金所に持って行くと、また20万ポウと言われた。


 ……すごい。


「あと30万ポウだねムーコ姉」

「はい、ナタリちゃん」


 また喜ぶ女子2人。


「ねぇ、お風呂毎日でもいーかな、ムーコ姉」

「うーん、そうですね。ナタリちゃんお風呂好きみたいですし……」

「またきっと見つけるから。お願いムーコ姉」

「そうですね。フブキくんも綺麗好きみたいですし、そうしますか」


 お風呂は毎日でもOKとなった。

 ナタリの発言力が一番強くなった瞬間である。


 というか、ナタリ。なんかもってんなコイツ……。

 守護霊というか、福の神的なのが……。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ