66 買い物
翌朝。
朝食を屋台で済ませる。
それから換金所の掲示板に『仲間募集の用紙』を貼り、そこでモニカさんに『武器屋』の場所を教えてもらった。
オレ達3人は、そこへトコトコと向かう。
「……なぁ、ムーコ」
「はい、なんでしょう?」
「あのさ、昨日強力な武器があれば、骸骨をより早く倒せるって言ってたけど、そんなに変わるかな? 改めて考えると、オレ自身武器が強力になっても、あんまり変わらないと思うんだけど……」
お金もないし、支給品のこの退魔刀でいいんじゃないかと、オレはムーコに尋ねる。
ナタリも金剛杖があるし、ムーコも神社で亡くなった人からいただいた薙刀がある。
わざわざ別のを買う必要はないと思った。
「いえ、それが実は私、気になることがありまして……」
「気になること?」
「はい。骸骨の大襲撃で中央区へ逃げている時、私たち一度別行動になったじゃないですか」
「ああ、なったね」
ムーコが殿をつとめてくれてた時だ。
「あの時、不思議な武器で戦っている人を見たんです」
「不思議な武器?」
「はい。槍使いの人だったのですが、一突きで骸骨を3体吹っ飛ばしていたんです。後ろの方の骸骨は、直接攻撃が当たっていないのに、ですよ?」
「マジで……?」
「はい。一度しか見なかったので、その時は一番手前の骸骨が吹っ飛んで、その勢いで後ろの骸骨2体も倒れたのかと思いました。単純にすごい力だな、と。けれどなんか変な違和感を覚えていて……今考えてみれば、あの槍に何か不思議な力があったのではないかと……。つまり結界テントに『対人結界』の機能があるように、槍にもなにか特別な機能があったのではないかと……」
……なるほど。
「つまり武器には、黄泉返りの『復元能力を抑える』以外にも、いろんな機能を持っているものもあるんじゃないかってことか」
……そういや、中古テントを売ってくれたザッシオさん達も、宝具は『戦闘用宝具』と『日常用宝具』に分けられるとか言ってたな。つまり色々種類がある……。
「はい。私はそう思います。今思えば、最初の神社でビャクさんって人が骸骨2体をまとめて粉砕した時、一太刀しかしてないのに3太刀分の斬撃が走っていたと……」
「え……マジで?」
「はい。暗かったのであの時は勘違いだと思っていたのですが、この国でいろいろ知ってからは、あれは本当に3太刀分の斬撃だったのではないかと」
マジか……。
全然気づかなかった。単純にビャクさんすげぇとしか……。
なるほど……。もし本当にそんな強力な武器があるのなら、武器屋をのぞく価値はある。
◇
武器屋についた。
南区には武器屋が一つしかないらしく、場所も換金所から通りを一本ずれただけですぐ近くにあった。こじんまりとした店である。
「おじゃましまーす」
「はい、いらっしゃい。ゆっくり見ていっての~と言いたいところじゃけど、もう品がなくての」
一応声をかけると、店の奥にいたおじいさんがそう答えた。
店主だろうか。
「品が……?」
店内を見渡すと……確かになにもない。
あれ?
ここ、武器屋だよな?
「退魔師はじめる人がめっちゃ増えて、みんな売れちゃってのう。あるのはコレだけじゃ」
そう言って、おじいさんが頭上を指さす。
そこにはいかにも高級そうな薙刀が、一つだけあった。
薙刀……か。
見上げると、商品名と値札が貼ってある。
──【烈風の薙刀:180万ポウ】
烈風の薙刀…………。
えっ! 180万?
ちょ、高くね? 武器ってそんなにするの!?
「ん? そこのお嬢ちゃん。アンタは薙刀使いかの? 見るのなら降ろすぞい?」
おじいさんが、自前の薙刀を持ってるムーコに尋ねる。
「はい。見てみたいです」
ムーコの目は輝いていた。
おじいさんが飾ってあった薙刀を降ろし、ムーコに持たせる。
おお……。
『烈風の薙刀』は綺麗な青色のラインが柄の部分に入っており、黒髪で凛としたムーコによく似合う。
……けど、180万て、高すぎる。
とても買えない。
ていうか、180万の価値なんてあんのか?
ムーコの自前の薙刀とどう違うのか、全くわからない。
「この『烈風の薙刀』は3級宝具品じゃ」
おじいさんが誇らしげに言った。
「3級……宝具?」
「うむ。……キミ達マレビトかの?」
「あ、そうです」
「じゃあ知らないのも無理はないの……。宝具にも退魔師と同じで、品の善し悪しで級があるんじゃよ」
「そうなんですか」
でも3級と言われても、凄いのかどうかよくわからない。
「ちなみに宝具は1級宝具から6級宝具まであり、数が少ない級ほど上等な品となる」
なるほど……。
「さらに言うと、1級から3級は基本的に量産の利かない一点物の激レア宝具じゃ。値段は高いが、その分付加効果も優れておる」
付加効果……。
やっぱり結界テントのように、他にも何か機能が?




