60 早速実践
3時間後。
「──おらぁっ!」
──ギィィン!
オレが振るった退魔刀が、骸骨の刀をはじく。
そこを一閃!
骸骨が砕ける!
「お見事です、フブキくん」
「すごいフブ兄っ」
ムーコとナタリが賞賛する。
「いや……ムーコの教え方が上手いんだよ」
オレは骸骨の頭蓋骨を踏みつぶして答える。
ムーコの……彼女の『巴乃流武芸術』というのは、とても素晴らしかった。
世界で一番簡単に強くなれる武芸流派。──と言うだけはある。
ただ素直にムーコの動きを真似するだけで、オレは武器を持った骸骨相手に、早くも余裕を持って戦えるようになった。
もちろんまだまだ強い骸骨には苦戦し、ムーコに助けて貰ったりもするが、完全に罠ナシでの骸骨狩りだ。
それもこれも、すべてムーコのおかげ。
この世界に迷い込んで一緒になった仲間に、ムーコがいて本当に良かった。
ちなみにナタリは──と言うと。
『単独の奴がいい』、『刀持ってない奴がいい』、『大きくない奴がいい』とか言って、結局一度も戦わなかった。
「……ナタリ」
「あ、明日はやるわよっ………………明日は」
──と、恥ずかしそうに目をそらす。
うん……。
慎重なのはいいことだと思うぞ。
そして今日の骸骨狩りの成績は──
ムーコが5体、オレが11体、ナタリが0体。
合計16体だ。
いや、オレが午前中に罠で狩った9体分も含めると、25体か。
正式な退魔師の……六級退魔師の条件が『一ヶ月で500体討伐』だったが、このペースでもあと……えっと…………20日くらいでなれることになる。
改めて、『巴乃流武芸術』はすごい。
「よし、今日はもう換金して帰ろうか」
「はいっ」
日も暮れてきたので、今日はこれで帰ることとなった。
換金金額は4100ポウだった。午前中の分を合わせると合計5800ポウ。
一日の一人当たりの食事代が、600ポウ×2食で1200ポウ。
3人で3600ポウ程だから、2200ポウも貯蓄出来る事になる。
いや、銭湯代も少しかからるから、それよりも少し減るか……。
「でも、あたしたちで料理とかすれば、もう少し節約できるね」
換金所をあとにしてナタリが提案した。
「じゃあ、いずれ調理器具でも買うか?」
「そうですね」
それから南区のテント街近くの銭湯(一人150ポウだった)へ入り、これまた近くの飲食店で夕食をとり、テントへと入った。
それからは、朝起きてから骸骨狩り。
昼、休憩の為にいったん戻ってごはん。
そしてまた日暮れまで骸骨狩り→銭湯→夕食→テントでおやすみ。
という、そんな生活が一週間続いた。
その間に一度、換金所の近くにある雑貨店で、『防刃手袋』というのを3つ買った。
なんでも、『メネヌー』という頑丈な鹿の皮で作られたもので、骸骨程度の攻撃なら、しっかりガードしてくれる優れた一品だそうだ。
手袋一組で4000ポウ、3組で1万2000ポウ。たまりかけた貯金がすべてなくなったが奮発して買った。
嫌な話、骸骨のボロ刀で腕を多少斬られたくらいならまだ許容できるが、それが指に当たったらと考えると色々怖い。そう考えれば安いものだ。
実際これを身につけてから、少し積極的に戦えるようになった。




