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 南区の換金所についた。


「早いわね。早速狩ってこれたの?」

「はい。一本だけですがお願いできますか?」

「もちろんよ」


 おねーさんは、すぐに査定してくれた。


「はい。200ポウね」

「ありがとうございます」


 200ポウ。

 安いけど、事前に聞いていたので落ち込まない。

 予定通りだ。


「あの、次もたぶん『呪物じゅもつ』はちょっとだけかもですけどいいですか?」

「もちろんよ。遠慮しないで持っておいで」

「ありがとうございます」


 お姉さんに頭を下げて、すぐ換金所を後にする。

 ムーコとナタリが帰りを待っている。だけど、まだ200ポウ。

 目標は、出来れば『発熱うどん2杯分』の、1400ポウ。急がなくては。


 オレはすぐに、換金所の近くにあった『雑貨店ざっかてん』に入る。

 開店しているのは、換金所に来たときに確認していた。買う物も決まっている。

 ムーコが倒れた以上、骸骨がいこつりを1人でやることになると思っていたのだ。


 店内を見回して、都合の良さそうなものを見つけ、購入する。

 ロープ。

 高くてしっかりしたものは買えないが、180ポウで6m程の細い『紐ロープ』が買えた。


 すぐさま店を出て、また『見習みならいのもり』へ走る。所持金は残り20ポウ。



   ◇


 

 さっき骸骨がいこつを狩ったところへ戻ってきたら、近くに新たな骸骨がいこつが2体うろついていた。

 両方とも手ぶらで『かたなち』ではない。ツいてる。


 オレはすぐに、少し離れた木々の間の、低い位置にロープをしばる。

 骸骨がいこつを転ばせる為だ。

 草が生い茂っていて、まず走っていたら気づかないだろう。

 しかもロープの色は、枯れた草と同じ色だ。いける。


 そしてオレは再度、骸骨がいこつそばまでゆっくり接近する。

 気づかれてない。なら先手必勝だ。

 不意打ちで『拳大こぶしだいの石』を投げつける。


 命中。

 頭蓋骨が派手に割れて一体倒れる。


 すぐにもう一体がオレに襲いかかってくる。

 即ひるがえって、さっきのロープのところへ。

 そしてロープを飛び越え、そのまま適度に距離をとる。


 ──ずしゃあ。


 骸骨がいこつがロープで転んだ。

 オレはすぐに反転して、退魔刀たいまとうで殴りかかる。

 頭蓋骨を割って、腰椎を折って、脚も折る。

 そして、最初の一体のところへ戻る。


「──!」


 頭蓋骨が直りかけている!

 割れた部分が振動しながら、本来の位置へ戻っていく。

 そして、骸骨がいこつが立ち上がろうとする。

 早いっ。


 テント売りから『退魔刀たいまとうでの攻撃が、黄泉よみがえりの復元能力ふくげんのうりょくを遅らせる』と聞いていたが、ただの石だとこんなにも早く復元するのか……っ!


 オレはすぐに、それを叩いて阻止する。

 そして腰椎を折って、脚も折る。


 念のためすぐロープで倒した骸骨がいこつのところへ戻る。

 確認すると、問題なく倒せている。

 しばし待つと煙が出て、骸骨がいこつが消えた。

 最初と同じく『ボロボロのよろい』と『黒い骨』。


 またひるがえって石で倒した方を見に行くと、ちょうど骸骨がいこつが消えたところだった。

 同じく『ボロボロのよろい』と『黒い骨』。


「……うまくいった」


 一応、計画通りだった。

 上手く行き過ぎて、ちょっと拍子抜けなくらい。

 だがまぁ、こんなもんなのかも知れないな。骸骨がいこつ、あんまり賢い感じしないし……。


 とにかく『黒い骨』が二本手に入った。

 すぐに『ロープ』と『拳大こぶしだいの石』を回収して、また骸骨がいこつを探す。


 

 それから30分ほど。

 なかなか見つからなかったが、ようやく次の骸骨がいこつを見つけた。

 だが……。


 1、2、3……4、5、6、7……


 骸骨がいこつは7体からなる集団だった。

 それもデカい『かたなち』が4体もいて、そいつらはみんなよろいて、籠手こてとしっかり防具に身を固めている。さらにうち一体は、かぶとまで……。


 ……どうする?

 茂みに隠れながら考える。

 運良く、オレがまた先に奴らを見つけられた。

 奴らの進行方向から、おそらくオレの3~4メートル前を横切っていくだろう。

 そうなれば、不意打ちが出来る。


 うまいことやればトドメは刺せなくても、退魔刀たいまとうで2体分の行動は止められる。

 そしてすぐに距離をとって『拳大こぶしだいの石』で、残り5体を攻撃。

 石は途中、手頃なのをさらに3つ拾っておいた。

 合計4つあるから、最低でも1体の頭蓋骨は割る自信はある。それでさらに1体。


 不意打ちするのなら、今回ロープのわな設置は間に合わない。

 つまり残り4体……石がもっとうまく行けば残り3体だが、それだけは自力で戦わなければいけない……。


 あ……『かたなち』はどうなる?

 最初の退魔刀たいまとうでの不意打ちで『刀持ち』を狙うが、『都合良く2体とも刀持ち』は無理かもだな……。『刀持ち』は1体だ。

 次に『拳大こぶしだいの石』で、さらに『刀持ち』をもう1体。

 つまり最後に残る3~4体のうち、少なくとも2体は『刀持ち』になるだろう……。


 2体……。

 手ぶら骸骨がいこつが2体と、『刀持ち』が2体。


 ……やれるか?

 距離をとりながら一体ずつ戦えば、やれるんじゃないか?

 ……いや、これらの計算はおおざっぱな予測だ。

 実際、骸骨がいこつがどう動くかはわからない。


 中央区に逃げるときも、かぶとをかぶった骸骨がいこつは他の骸骨がいこつに指示して、『武器持ち』だけを前に出してきた。

 アイツを……ただ単純に襲ってくる雑魚ざこ骸骨がいこつと同じように考えたら危ない。


 …………でも。

 もしここでこいつらを倒せれば、7体×200ポウで最低1400ポウは手に入るだろう。

 そして、ロープを買ったおつりの20ポウと、さっき狩った2体分の骸骨がいこつでおそらく合計1800ポウ。……少なくとも1700ポウ。


 『発熱うどん』が一杯700ポウで、2人分で1400ポウだから、確実に二人に温かい食べ物を買っていくことが出来る。


 ……どうする。

 骸骨がいこつ達はもう近くまで来ている。

 決めるなら今だ。

 今、決めろ。

 …………。


 ──っ。駄目だ。

 リスクが高すぎる!


 時間がかかれば、不意打ちした骸骨がいこつも『復元』してしまうのだ。

 しかも、石で頭を破壊した程度じゃ、20秒ほどで立ち上がってしまう。

 速攻で倒しきる自信がない以上、相当な危険がつきまとう……っ!


 ムーコやナタリが心配だが、ここでオレが大きな怪我でもしたら、食べ物を買って行くことも出来なくなる……。それは駄目だ。

 テントを出てから、おそらく2時間。

 そろそろやばいのは解ってるが……ここは引くべきだ!


 オレはじっと茂みに留まる。


 骸骨がいこつ達はぎしぎしと身体を軋ませながら、隠れているオレの前を通り、去っていった。



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