40 ごろごろミーティング
それから彼らは、このテント街での生活ルールを簡単に教えてくれた。
まず、テントは町中で設置してはいけないらしい。
みんなが自由に好きなところに設置しては、通行の邪魔になってしまうからだそうだ。
だがテント街ならば、どこに設置しても良いとの事。
また、近場の『水飲み用の井戸』、『安い銭湯』、そしてテント生活に必要な物が手に入る『商店街』なども教えてくれた。これらは非常に助かる情報だろう。
そして次に、『宝具』についても教えてくれた。宝具には『戦闘用宝具』や『日常用宝具』などいくつか種類があり、それぞれお店で普通の道具と一緒に売られているとの事。
ちなみに退魔刀が、戦闘用宝具。
テントやホテイ袋が、日常用宝具。──だそうだ。
一通りを教えてくれた後、「縁があったらまた会おう」と彼らは去っていった。
オレは彼らが退魔師っぽいので、骸骨狩りについても聞こうかと思ったが、聞きそびれてしまった。というか、てっきりムーコが聞くかと思ったのだが、彼女は何故かそれらについて一切何も聞かなかった。
◇
オレ達はテント売りの場所から、テント街のなかの空いている場所に移動して、テントを設置した。
ザッシオさん達から売ってもらったテントも、内装はおしゃれで綺麗だった。一応『対人結界機能のあるテント』は、すべて女性向けが前提となっているので、必然的に内装に凝った作りになるのだそうだ。
ナタリとムーコは、すぐに気に入ったようだ。
二人ともさっそくテント内で寝転がって、内装を楽しんで見ている。
「フブキくんも一緒に寝転がりましょう」
「えっ」
「ほら、フブ兄こっち」
ナタリとムーコが真ん中を開ける。
そういうのちょっと照れくさいんだけど……まぁいいか。
遠慮なく真ん中に寝転がる。
「おおっ」
天井が高い。
それに……結構広いな。四畳半ほどあるだろうか。
「……いいな、このテント」
「ですよね」
オレのつぶやきに、ムーコがご機嫌で返す。
「お家問題はこれで解決ね。ふふふ」
ナタリも超うれしそうだ。
オレもうれしい。
◇
それからオレ達は、ごろごろしながら今後についてのミーティングをすることになった。
手元に残ったお金を確認すると、7万9000ポウ。
「一日2食計算で、2週間は大丈夫そうだわ」
「なるほど」
「では、それまでにお仕事が見つかれば問題ないですね」
うれしそうに微笑むムーコ。
その為にがんばってテント情報持ってきてくれたのだろうか?
オレが骸骨狩りに積極的じゃないから……。
「……ありがとうムーコ」
「えっ」
「ムーコのおかげでテントにたどり着いた」
「あっ、ど、どうもです。あっ、でもナタリちゃんが、いっぱい物を売ってお金を作ってくれたおかげです」
「ああ、そうだな。ナタリもありがとな」
二人のおかげで、こんないいテントをゲット出来た。
「お互いさまよ」
にこっと笑うナタリ。
さっぱりしたいい奴だ。
よし。借家問題は解決したので、残りは仕事問題だ。
今まで見つからなかったが、オレ達と似た状況の人達が多いテント街周辺なら、何かあるかも知れない。
ぱっと見ただけで色々と発展途上な地域だ。
きっとなんとかなるだろう。
それよりも──
「これからどうする? やっぱ買い物かな?」
テントはゲットしたが、それだけだ。テント生活するには色々と物が必要だろう。
「そうね。お布団やまくら……それに、寝間着も欲しいわ。あ、あとテント用の小さな照明器具も欲しいわね。ふふ」
ナタリがごきげんで言う。
「なるほど。確かに明かりも必要か……」
「私はおなかが空きました」
「あ、ムーコはお昼まだだっけ」
オレとナタリが先に食べているところに、ムーコがテント情報を持ってきてすぐ店を出たから、彼女はまだなにも食べていない。
「んじゃー、とりあえずムーコのお昼にしようか。それからザッシオさん達が言ってた、近くの『商店街』に行こうぜ。まずそこで必要なものをそろえよう。……そしてその後、余裕があったら少し仕事探しもする。それでどう?」
「おっけー」
「はいっ。了解です」
しばらく休んでから行動することとなった。




