39 移行確認
オレたちは、テントを手に入れた。
イケメンが提案した売値は22万ポウ。テント売りが提示した23万ポウよりもさらに1万ポウ安い値段だ。『ザッシオが横取りしたお詫びに』だそうだ。先着順とある以上それは悪いことではないと思うが、この世界にきたばかりのオレたちにはありがたいことなので、それで売って貰った。
それからは『持ち主登録』を彼らから、オレたちに移す作業をした。
まず先に、設置してあるテントに彼らが『登録解除』して、次にオレたちが『登録』する。
具体的には、テント入り口の横についている『認証石』というものに彼ら三人が同時に触れ『持ち主登録解除』の意を念じることで解除。
入れ替わり、今度はオレ達三人が同じように『認証石』に触れ『持ち主登録』と念じると登録完了だ。
すぐに終わった。
ちなみに『認証石』は持ち主登録すると緑色になり、誰も登録してない状態だと白色になる仕様だそうだ。
シンプルな機能でわかりやすい。個人的にとても気に入った。
ただ気になるのが、明らかにこの世界の世界観とはそぐわない、高度な技術。
いったい宝具師とはどんな人なのだろう。
そのあたりはテント売りさんも、ザッシオさん達も知らないらしい。
この国にとって重要人物であり、極秘に扱われているのだとか。
ただ一説には、宝具師のほとんどがマレビトだと言われている話も……。
つまり、別の世界からの技術。
そう聞いて宝具師さんに会いたいと思った。だがすぐに、こんなすごい『宝具』というものを作る彼らも、元の世界に戻れていないのだという事実に気づいて、そんな気もなくなった。
だってそうだ。戻れるなら戻るだろうし、宝具師本人がたとえ戻りたくなくても、ニーズがあるなら『マレビトが元の世界に戻る宝具』なるものも作りそうなものだ。
元の世界には戻れない。そう言われているのは、それが作られていないという事。作れないという事……。
「さて、持ち主登録の移行もしたし……ザッシオ。やるか?」
イケメンが仲間のザッシオさんになにやら声をかけた。
「あいよ。気は進まないが仕方ねぇ」
そう応えるザッシオさん。
彼がオレ達の前に来ていきなり刀を抜いた。
そして大きく振り上げ──オレ達のテントに斬りかかる!
──グィン!
刀が、テントの周りの何かに弾かれ、ザッシオさんが吹っ飛ぶ。
「ふっ。オレの一撃を弾くとは、流石にいいテントだぜ!」
ぱっと起き上がり、彼は刀をしまう。
「見てわかったと思うけど、『持ち主登録』が完全にキミ達に移行してる確認だ。これで安心して使えるよね?」
イケメンは爽やかに笑う。
おぉ……驚いた。そういうことか……。
「ちょっと、いきなりそんなことしちゃダメでしょ」
セクシー女がザッシオさんとイケメンに怒る。
「心配ねーよ。宝具だし」
「そうだよ」
「違うわよっ。この子達がびっくりしちゃうでしょって言ってんの。彼らはマレビトさんでテントの事とかまだ良く知らないのよ? アンタ達ちゃんと配慮しなさいよっ」
セクシー女が、スパンっとイケメンとザッシオの頭をはたく。
「あ、そうか……」
「気づかなかった。すまない」
男二人が詫びてくる。
面白い三人組だった。




