35 お金づくり
「残念ながら、ないのデスよ~。今回の出店で他は全部売れてしまったデスし、次の製作にはまだまだ日数がかかるのデスよ~」
マジか……。
「それにこの『対人結界』は、25万以下のテントには付かない機能デスから、キミタチにはこれがいいと思うデスよ」
そうなんだ。
確かに、買うならこの『対人結界機能』がついているやつがいい。世の中にはろくでもない奴も多いから、絶対これがいい。
これがあれば宿代もかからないのだ。何とか手に入れられないだろうか……。くそう。この国に来て換金したばかりの時は、15万ポウあったから少しは現実的な金額だったが……。
ムーコの所持金を確認すると、ちょうど1万ポウ。オレとナタリを併せて1万9000ポウだったから、合計2万9000ポウ。とても手が届かない。……無理だ。
「失礼デスが……もしお金が足りないようでしたら、何かものを売ってお金を作ってはいかがでしょうか? ワタシ、『目利き』も出来るから価値あるモノでしたらなんでも買い取りますデスよ?」
モノを売ってか……。オレ達に何か売れる物があるだろうか……。
ポケットに手を突っ込んだら、ツナ缶があった。
流石にこんなんじゃ足しになんないよな……。
「この刀、売れる?」
ナタリが短刀をテント売りに渡した。
「これなら5000ポウデスね~」
「売ります」
ナタリが短刀を売った。5000ポウを受け取るナタリ。
つーか、決断早っ!
退魔刀も宝具だって聞いたのに、全然興味ないんだなこいつ……。
でも、これでプラス5000ポウ。合計3万4000ポウ。
ナタリがオレの腰元の刀を見てきた。
うっ。これは出来れば売りたくない。
この国に来てから思ったことだが、町の人は皆だいたい、何かしら武器を装備している。黄泉返りを別にしても、それなりに物騒だからなのだろう。刀は、扱えなくてもハッタリにはなる。持ってるだけで心強いのだ。特にオレみたいに腕力に自信のない奴には……。
だが……今はそれよりもテントだ。安全な住居さえあれば、骸骨の心配はいらない。
でも、売ったとしてもどのみちテントの金額には届かないんじゃ……。
とりあえずナタリが目で促してくるので、刀をテント売りに見せる。
「なかなかの業物デスね。これなら1万5000ポウで買い取らせてもらうデスよ~」
おおっ! 1万5000!
「やった!」
ナタリが喜ぶ。
くっ……仕方ない。売るのを決意する。
どうせオレには扱えないものだ。売ってしまえばいい。
1万5000ポウを受け取る。これで合計4万9000ポウ。
次に当然のようにムーコの持ってる薙刀を見ると
「わ、私は売りませんよ……っ」
と慌てて彼女が薙刀をぎゅっと抱く。
「ムーコ……」
「ムーコ姉……」
「いや、だって……私まで武器を手放したら、いざというとき困るじゃありませんかっ。私だけでも武器は持っておくべきだと思いますっ」
必死で薙刀の必要性を説くムーコ。
まぁ、言ってることはもっともだ。
「ムーコ姉、一度見てもらおう」
「い、いやです。その必要はありません」
詰め寄るナタリに、後ずさるムーコ。
「まぁまぁ、それ売ったとしてもたぶんテント代には届かないよ。何か売るなら、まず他を考えよう」
薙刀の値段は気になるが後回しだ。
「それもそうね」
とナタリ。
お互い売れそうな物を考える。……というかお互いの持ち物を見る。




