30 オレの答え
夕方。
ムーコ&ナタリと合流した。
今日もお互い『仕事と住む場所』は見つからなかった。
彼女たちが入りたいと言ったお店に入って夕食を食べ、宿へ戻る。
宿──『紅葉宿』は連泊にしておいたので、そのまま部屋へ入り、少し休んでから例のごとくお風呂。そして浴衣に着替えて布団の上でごろごろしながらミーティングとなった。
連日歩き回った疲れか、オレとナタリはそれぞれ転がった体勢。
ムーコはぜんぜん余裕なのか、お茶を入れて早くも茶菓子を貪っている。
「ムーコ、骸骨狩りの話だけどさ」
「はい」
「いざとなったら骸骨狩り、というのはどう?」
「いざとなったら……ですか?」
「うん。宿代があるうちは『仕事と住む場所探し』をして、もしも何も見つからずお金がなくなったら行く、というわけ」
オレは日中に受けた忠告もあり、やはり危険を冒すのは極力避けたいと思った。
幼い頃から武芸をやってるムーコとオレは違う。無茶をして、取り返しのつかない怪我をしてからじゃ遅いのだ。
それにもし面山賊と遭遇したら、どうしたってムーコの負担がでかくなる。女のムーコにばかり、危険を背負わせたくなかった。
「……いいんじゃない?」
ナタリが賛成した。
「……わかりました。確かにその方が良いのかも知れませんね。では、骸骨狩りはいざとなったらという事で」
しばし考えたてから、ムーコも同意してくれた。
「うん。じゃ、それでいこう」
「ただ……少し気になるのですが」
「ん?」
「いざとなった最終日に、初めて骸骨を狩りにいくというのも心配です。一応、前日に練習がてら、少し狩りに行っておいた方が良い気がします」
なるほど……。それもそうだ。
「確かにぶっつけ本番じゃあれか。じゃあ最終日の前日──つまり明明後日の昼までに、仕事とか何も見つからなかったら狩りに行くということで」
「はい」
「……うん」
まとめると二人が同意した。
「それでは、寝ます」
「えっ、もう寝るんですか!?」
オレが布団をかぶるとムーコが驚いて言った。
「さすがに連日歩き通しで疲れたよ。足がぱんぱんだ」
「あたしも……」
「……まだ、外に骸骨も出てきてないですよ?」
「別にいいよ。見たくない」
「……あたしも」
「むぅ……、私は見てみたかったのですが……。結構綺麗じゃないですか、骸骨。よく見ると淡く藤色に光っていますし」
「いや、怖いと思うよ」
「……あたしも」
「………………」
「…………………………」
ナタリがさっきから『あたしも……』しか言ってない。
「ナタリ、眠たいのなら無理に話さなくてもいいぞ」
「あたしも……」
部屋が暗いからか、ナタリはもう眠たげだ。
ていうか、これはもう寝てるのかも……。
ちなみに今は、行灯を点けていない。
初日はサービスで請求はされなかったが、灯りの油代は宿泊代とはまた別途にかかるのだ。わずかだけど、使った分は朝に請求される。
…………。
………………。
「……少し、あ──しましょうか?」
しばらく経って眠れないのか、ムーコがなんか言った。
うとうとしてて、よく聞き取れなかった。
「……なんて?」
「えっと……こりほぐしです」
そう答えたムーコが、布団をめくって寝転がってるオレの背中に乗った。
ぐぎゃ。
そして背中を指圧してくる。
「おおっ」
「どうです? 祖父からは、結構上手だと誉められます」
「うん、上手……だと、思う」
……気持ちいい。
しばしムーコのマッサージが続く。
「よいしょっと」
背中のマッサージが終わって、今度はオレの足をひっぱりあげるムーコ。
「いだだだだだだ」
「あれ。フブキくん、お身体が固いですね」
「……そう?」
「はい、固いとお怪我をしやすいですよ?」
「そうだね……」
「伸ばしておきましょう」
「はい」
今度は適度に引っ張られて、痛気持ちいい。
そして、次は足のマッサージもしてくれる。
天国だ……。
ムーコ、いい奴だな。優しいし……。
なんでこんなにマッサージしてくれるんだろ……。
あ、オレも次マッサージしてあげた方が……いい……のかな………………
◇
翌朝。
目が覚めると、目の前に浴衣がハダケ気味のムーコの胸元があってびっくりした。
どうやら寝落ちしてしまったらしい。
色々危ないので、とりあえず布団を掛けてやる。
てゆーか、なんでこいつオレの布団で寝てるんだ?
ナタリの方を見ると、こっちは布団も蹴飛ばして浴衣もハダケてパンツ丸出しだった。
こいつら…………。
悩んだ末、おこさないようにナタリにも布団をかぶせてやり、空いている布団で二度寝する事にした。




