21 助け合う仲間
「それでですね。お金の問題なんですが……このまま行くと明日からの3日間しか宿には泊まれません」
ムーコが当面の問題を口にした。
「……このまま、というのは?」
「はい。このままこの宿で二部屋とり続け、予測される食費やその他細かな出費を仮定で考えた計算です」
なるほど……。
「猶予は3日あっても、なるべく早く安い借家を見つけた方が、楽だよね?」
「そうですね。それで出費が押さえられれば、お仕事は多少遅くても……」
オレの確認にムーコが同意する。
「……見つかるかな?」
ナタリが不安そうに言った。
「借家は大丈夫じゃないか? さっきも言ったけど、換金所のダンディーさんって人が力になってくれそうだし……」
むしろ問題は仕事だ。あまり働いた経験がないからそこが心配になる。
「まぁ、いざとなったら野宿すればいいですし、気温もそう低くないですから、毛布があればなんとかなりますよ」
いや、野宿はいやだ。あんな2Mトリオとかうろついている町じゃ家は必須だ。とくにオレとナタリには。
「ま、がんばってさがそ。3日以内に『借家』と、出来れば『仕事』だね」
「そうですね」
「うんっ」
オレの確認にムーコが同意し、ナタリも良い返事をして今後の方針がまとまった。
うん、こうやって皆で考え協力していければ、きっとなんとかなる。
それからもしばらく話をしていると、いつの間にかナタリが眠ってしまっていた。かなり疲れてたのだろう。すーすーと寝息を立てている。
「寝ちゃったね……どうしよ」
オレは小声でムーコに言う。
「今日はこれでお開きにしましょう。お話の続きは、また後日三人で」
「そうだね」
「私もこちらにお布団持ってきますから、フブキくんはあちらの部屋で寝て頂けますか?」
「いいけど……なんか悪いな。こっち一人部屋で狭いのに」
「いえいえ、寝るだけなので広くても狭くても同じですよ」
「それもそうか」
オレがそう答えるとムーコは自室に布団を取りにいき、部屋を交換して寝ることにした。
「では、おやすみなさい」
「おやすみ」
部屋のドア前で就寝の挨拶を交わし、隣室へ入ろうとすると、
「……あの、フブキくん」
ムーコに呼び止められた。
「ん?」
足を止めてムーコを見る。
が、ムーコは何かもじもじしてて、なかなか言い出さない。
なんかちらちらとオレを見て、口を開きかけては躊躇う。
「どうしたの?」
不思議に思ってオレは再度尋ねる。
「あ、いえ……そのー…………先ほどナタリちゃんに言った、『同じ境遇の仲間』というのは……『助け合える仲間』というのは…………私も、ですか?」
ムーコが上目遣いで、伺うように聞いてきた。
「えっ、それはもちろん。そうなれたらいいなって思ったんだけど…………嫌だったら無理にとは……」
「い、嫌じゃありません。むしろうれしいです」
オレの返答に、ぱぁっと明るくなるムーコ。
なんだ、そんな事気にしてたのか。以外と繊細なところがあるんだな。
「それなら良かった」
「では、よろしくお願い致します」
おずおずと手を差し出してくるムーコ。顔が少しだけ赤い。なんだこいつ。
照れくさいのならこんな真似しなけりゃいいのに……『仲間』とか『友情』とかが好きなのかな。女のくせに、ムーコは妙なところで子供っぽいところがあるようだ。
でも……そういう奴はオレも嫌いじゃない。
差し出された手をオレは握り返す。
「こちらこそよろしく」
「はいっ」
何気なく返した言葉に、ムーコはとびきり嬉しそうに笑った。




