14 おっさんの憤り
「こ、この国は、大丈夫なんですか?」
オレは不安になって聞く。
「俺の見立てでは大丈夫だと思う。この国には、各国で生き残った『腕利きの退魔師』が多く集まっているからな。実際、黄泉返りの侵略を長いことこの国で留めている。これ以上奴らに、人間の領土は奪われはしまい」
そうなんだ……。
「あの……確認なんですけど。『退魔師』って、黄泉返りっていう化け物を狩る人達のことなんですよね?」
「そうだ。命を張って。村や国々を守ってくれている強者達だ」
「……そういえば、門番さんに神社の事を伝えたら、武装した人達が大勢集まって来ました。彼らもその退魔師なんでしょうか?」
「ああ、ほとんどそうだろう」
なるほど……。確かに、ああいうビャクさんのような強そうな人たちが沢山いるのなら、大丈夫かも知れない。いや……でも神社で亡くなってた武装した人たちは?
「ちなみに彼ら退魔師が向かった先……つまり、あんた達が来た『ヒスイ神社』がこれだ」
おっさんが『ジドの国』から少し西側へ離れた、小さな『鳥居』のマークを示す。
「大切な人間の領域だ。比較的安全な内地ゆえ、『若い退魔師』しか配置されていなかった。しかし、それでも奪われると困る、それなりに重要な拠点の一つだ。だからその拠点が、面山賊に襲われているという情報を持ってきてくれたのは、この国に住む者にとってはとてもありがたい事なんだ。だから、世話になったと言った。その礼として協力するというわけさ。……さ、座ってくれ」
おっさんは笑顔でそう言い、オレ達をイスへ促す。
なるほど……。漠然とだけど、なんとなくは理解できた。
「のども渇いただろう。水しかないが」
俺たちがイスに座ると、おっさんはカウンターに水を出してくれた。
ずっと何も口にしてなかったからありがたい。お礼を言って頂戴する。
それで思い出した。
「あ、すみませんが、何か冷やすものをいただけませんか?」
「冷やすもの?」
「はい。連れが……この子が途中ゴロツキにちょっと殴られてしまって……」
そう頼むとおっさんはすぐに、
「……! ああ、あいわかった!」
と濡れた手ぬぐいと、冷やす用の水も出してくれた。さりげにオレの前にもだ。
オレたちは礼を言って受け取り、患部にあてる。
「まったくひでぇ奴がいるもんだ。こんな可愛らしい子まで殴るなんてな」
憤るおっさん。
「あの……オジサマ」
「ん? なんだい嬢ちゃん」
ナタリがおっさんに話しかけると、笑顔で応じるおっさん。
「あたしは元の世界に戻る方法を知りたいの。協力してくれるのなら教えて欲しいんだけど……」
ここでナタリが、オレ達の一番知りたいことを尋ねた。




