119 武者ゴーレム
──ドォオオオン!
目の前に現れるは、重厚な武者鎧を身につけた戦士。
縦横3メートルはあろうかという巨大な躯。
その名も『武者ゴーレム』!
だが、それはまだ『道満符』を5枚使って創った式神でしかない。
本番は──ここからだ!
「加護湿布! 筋力アップに3枚! 速度アップに1枚!」
オレがそう叫ぶと、残り4枚の道満符がオレの背中に貼られる。そして一瞬の輝きの後──
ゴゴゴゴゴッ!
全身に力が漲る。
ムーコのおかげで最低限治った足を、筋力強化で無理矢理動かす!
そして、感覚が──思考が──すべてが加速する!!
「なっ!」
メイが驚愕する。
彼が驚くのも無理はない。彼からは、絶対に9枚すべてを使ってはいけないと言われていた。
「な、なんですかあれは!?」
ムーコも驚く。
彼女は『道満符』のことを知らない。
「あれは道満符。式神を創ったりと多くのことが出来る宝具だ」
メイが説明する。
「式神を!?」
「ああっ。単純に使用した枚数が多いほど強い式神が創れる。だが対価がないわけじゃないっ! 当然、その分フブキくんの気力を消費する!」
「気力を!? 大丈夫なんですか!?」
「大丈夫なものか……っ。最悪でも5枚までと言っておいたのに……っ」
「ご、5枚以上使うとどうなるのですか!?」
「正直……今の彼では死にかねない……」
「そんなっ! 気絶するだけじゃないのですか!?」
「ああ……ふつうの宝具には、生命活動に必要な気力まで使わないよう制限がかけられている。だが彼のもってる『道満符』は古代宝具。例え死のうとも、彼が望むのならその効果を発動させる!」
「そんな……それって」
「ああ……たとえこの勝負、勝ってもフブキくんは……っ!」
「そんな……っ!」
メイが怒ってて、ムーコが悲しんでいるのが解る。
だけどごめん。
枚数をけちっては、奴に勝てないのだ。
道満符を扱う者だから理解るようになっているのか、奴には5~6枚程度で創った式神では勝てない。かと言って9枚すべてをつぎ込んでの式神は、今のオレでは《・・》コントロール出来るかどうかわからない。
最善策は5枚の『式神創造』と、貼り付けた者の能力を上昇させる『加護湿布』による分割。
それが──『道満符』を手にするオレには解るのだ。
「いくぞ、武者ゴーレム。奴の動きを封じてくれ。一瞬で終わらす」
オレが武者ゴーレムに命令を下すと、面頬の奥にある目がブゥンと光る。
そして命令に応えるべく動き出す。
2つ頭の鬼は、突然現れた『武者ゴーレム』を倒すべき敵と認識し、反応した。
ガッ──っと組み合う形になる鬼と武者ゴーレム。
鬼の方が2倍以上大きいが、パワーなら負けてない。ぐぐぐっと持ちこたえる。
それで充分!
──ズバン!!
オレは武者ゴーレムの背を踏み台に、一瞬で二本角を両方ともぶった斬った!
そしてもう一つの頭の方へ──
──ブォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!
冷たい冷気が吐かれる!
氷だ! 一本角の頭の方が吐いた氷のブレス!
だが──
「そんなことは判っていたんだよぉ!」
オレは宙で身を翻し冷気の直撃を避ける!
こいつの方はずっと何もしなかった。けど厭らしく嗤うテメェを見て、奥の手を隠しているってずっと思ってた!
予測していたからこそ可能な動き!
そして──
──ズバン!!
一本角もぶった斬る!
瞬間、鬼の全身がびくっと震える。
オレはその勢いのまま奴の横へ落下。
背後の2つ頭の鬼は──黒煙となって消えた。
そして、オレも意識も──。
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