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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
114/131

114 オレとメイの快進撃




「『うん』っ!」


 オレは『道満符どうまんふ』を()()()、放つ。



 ──ぼわん!



 煙が上がり、2体のおにが現れる。

 鬼と言っても、オレの股下までの背丈しかない小鬼こおにだ。

 1体が『弓矢ゆみや』で、もう1体『石斧いしおの』を持っている。


 実はこれ、式神しきがみだ。

 よくマンガやアニメなどで陰陽師おんみょうじなどが使役しえきし、意のままに操ったとされる式神しきがみ。 

 宝具『道満符どうまんふ』は、頭のなかで想像イメージした式神をつくることが出来た。


 メイに道満符どうまんふの説明を受けた後、オレはすぐにこの式神を創った。

 式神を創る種類には制限がありやり直しが利かない。なので本来なら時間をかけ考えて創るのが本当らしいが、そんな余裕もなかったし、幸いオレにはすぐイメージがわいた。


「いくぞ。阿吽あうんっ!」


 オレが声をかけると、



──『!』

──『ウン!』



 と、奇っ怪な声で返事をする2体の式神。


 ちなみに1体が『』であり、もう一体が『うん』のつもりで創ったが、出来たのは見た目の区別が付かない2体の小鬼。仕方ないので2体まとめて『阿吽あうん』と呼ぶことにしてある。

 ビジュアルをイメージするのって難しい……。

 そう考えながら、オレは襲いかかってくる面山賊めんさんぞくの刀を受け止める。



 ──ギィン!



 そこをすかさず『阿吽あうん』が攻撃する!



 ──ズドッズドッ!

 ──ドガンッ!



 そく崩れ落ちる面山賊めんさんぞく

 が、すぐにオレの背後に別の面山賊めんさんぞく



 ──ズドッズドッ! ドガンッ!!



 阿吽あうんのうち、一体が矢で動きを止め、もう一体が石斧で倒す。

 その面山賊めんさんぞくも地に伏せる。

 おぉ……すごい。

 想像以上に使える!


 実はこれ、ナタリと協力して面山賊めんさんぞくを倒していったときにあいつのサポートが余りに楽だったので、そういうこと(・・・・・)()出来・・()、というイメージで『阿吽あうん』を創ったのだ。

 もちろん阿吽あうんの武器も退魔刀たいまとうの効果をイメージして創ったので、それと同じ効果を発する。


 倒された面山賊めんさんぞくは黒煙となって消え、そこにお面のみが残った。

 よしっ。オレは『阿吽あうん』と共に、どんどん黄泉よみがえりを倒していく。骸骨がいこつだろうと面山賊めんさんぞくだろうとお構いなしだ!


「良い感じだねフブキくん!」

「ああ! ありがとう!」


 15体くらい倒しただろうか、振り返ってメイを見ると、彼は、既に残りの黄泉よみがえりをすべて(・・・)呪物化・・・させていた(・・・・・)


 もう!?

 こいつ……すごいっ! 一体どうやって……!?


 見ればメイのお面。あれから黄泉よみがえりの『呪物じゅもつ』みたいな禍々《まがまが》しさを感じる。

 あれも宝具……なのだろうか。


 メイが山賊(がしら)とその取り巻きに向き合う。

 オレもそれに便乗する。


「な、なんて奴らだ……」

「お、おかしら……マズイですよ、どうしたら」

「う、うるせぇ」


 狼狽うろたえまくる山賊たち。

 よし。このままなら倒せるっ。

 ナタリたちを助けられる……っ!


「ひーーはーーー! ひーーーーはーーーー! うごくんじゃねぇぇええええええ!!!」

「……なっ!」


 くらから変な男が出てきた。

 そいつは縄で縛られたナタリと子供の二人を連れ、彼女らの首筋に刃物を突きつけている。

 しまった……っ!


「で、でかしたニノイチィ!」


 山賊(がしら)がそう叫ぶ。


「ひーーはーーー!。動くんじゃねぇぞガキどもぉおおお。動くとつるっと刺しちゃうからなぁあああ。つるっとよぉおおお!」


 そう脅して、奴はナタリのほおを舌で舐めあげる。


「ひぃ……」


 気色悪がるナタリ。


薬物中毒やくちゅうのニノイチ。なかなか使えやすね」

「ていうか、またくらに無断で忍び込んでやくってたんじゃねぇですか? またハイになってやがるし」

「だとしたら懲罰ものでしょう」


 取り巻きが山賊(がしら)にいろいろと言う。


「ひーーーーはーーーー! ひーーーーはーーーー! おかしらぁあああ! おかしらぁあああ! おれだってたまにゃあ役立ってみせますぜぇ、おかしらぁあああ! 手柄ほめてくださいよ、ひーーーはーーーーー!」

「あ~、わかったわかった。そのまま人質を抑えておけよニノイチ」


 山賊(がしら)が、仕方ねぇなって感じでヒーハー男に命令する。

 だがヒーハー男は返事もせず、またナタリの頬を舐める。


「ひぃ……っ」

「うめぇぇぇええええ! うめぇぇええええ!!! おまえやくと同じにおいがするなぁああああ! ひーーーーはーーーー!」


 な、なんだあの変態は……っ。


「す、するわけないでしょ! へんたい!」


 ナタリが勇敢にも言い返す。


「うめぇぇええええ! うめぇぇええええ! たまらねぇよぉおおおおお!!」

「あー……見りゃわかるが、あいつは薬中やくちゅうだ。大人しくしねぇとさくっと刺しちまうぜ」


 山賊(がしら)がオレたちに言う。


「大人しくしてても刺すかもしれませんけどね……」


 取り巻きの一人が怖ろしいことを呟く。

 くっ……。


「とにかく武器を捨てて貰おうか」


 山賊(がしら)が命令してくる。

 どうすれば……。

 言うことを聞かないとナタリが……。いや聞いたとしても……。

 なにか方法はないのか……っ。


「ひーーーーはーーーー!! ひーーーーはーーーーー!!」


 くそっ。ヒーハー野郎がうるさい。

 ちらっとメイを見ると、彼は首を横に振った。

 そしてつけていた面をとって足下に落とす。金剛杖こんごうじょうも……。


 メイ……。


「ほら。後はお前だけだ。その変な子鬼もしまえ」


 山賊(がしら)がオレに言う。

 くそっ。何も方法がうかばない。


 今にも斬られそうなナタリを前に、オレも従うほかなかった。



   ◇



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