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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
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112 山賊アジト




「まったく疲れたぜぇ。今回の仕事はよぉ」

「そうだな……。面倒な仕事だった」


 寺の横に建っているくらの前で、男二人が話している。

 見張り役の山賊。

 どうやらここが山賊アジトのようだ。


 オレとメイは、森の中をそちらの方へ回り込んで近づく。


かしらも人使いが荒いんだよなぁ。一仕事して帰ってきてすぐに見張り立たされるなんてよぅ」

「仕方ないだろう。こないだ大勢喰われたんだ。人手が足りない」

「けどよぉ。せめて楽しみたいもんだぜ。せっかく女もいくつか連れてこれたんだからよぅ」

「傷物にしたら高く売れなくなるからだ馬鹿。俺達が手を出したのがばれたら頭にぶっ殺されるぞ」

「わかってるよ兄貴ぃ。だから大人しく兄貴に愚痴ってんだよぉ」

「ぜんぜん大人しくねーじゃねーか。黙ってろよ」

「でもよぉ。見張りなんて意味がねぇんじゃねぇかなぁ」

「意味がねぇ?」

「ああ、これまで一度だって逃げ出せたもんもいねぇし、取り返しにくる奴もいねぇしよぉ」

「まぁ……いつも人攫ひとさらいだと分からないようにやってるからな。でも今回はちょっと違う。高く売れる上物の退魔師の女だからって、村人も使った。念の為だろう」

「でもかしらは、村の子供を返すつもりなんだろぅ? その方が『夜蜘蛛やぐも』は取引に応じれば子供は返ってくるって噂になって、今回みてぇに村人も使えるからってよぅ」

「ああ……。いや、いつもはそうだが今回は違う。黄泉よみがえり使って襲ってるっていうネタをばらしてるからな。それが広まったら困る。だから今夜にでも村を襲撃して皆殺しだ」

「マジかい。じゃ、じゃあ村の女は好きにしていいってことかい兄貴」

「そうだ。だからそれまで我慢しろ」

「そ、そういうことなら我慢するぜ俺は兄貴ぃ」


 ……話し声からして二人。

 上物の退魔師の女って、ムーコのことだろうか。

 内容から察するに一応無事のようだが……。


 ていうかメイの推測見事に当たっているな。こいつすごいかも。


「聞く感じくらのなかにいる可能性が高い。奴らをどうにかしよう」


 メイが小声でささやく。


「どうにかって……?」


 オレ達が隠れている森の茂みから蔵まで20メートルはある。

 途中に障害物もなく、ここから出ればすぐにばれる距離だ。


「まぁ見ててくれ」


 そう言ってメイは背負いカバンから何かを取り出す。

 彼が取り出したのは虫かごだった。

 なかに黒い蝶が入っている。


眠眠蝶みんみんちょうだ。これで奴らを眠らせる」


 みんみん蝶?


「と、その前に──」


 そう言ってメイは自身とオレの手に、お香のようなものをちょんと塗る。そしてすぐみんみん蝶とやらを虫かごから放つ。

 蝶はすぐオレ達から離れ見張りの山賊らの方へ行く。

 そして奴らの前を少し飛んだと思えば、すぐ見張りが崩れ落ちるように倒れた。


 ……ぴくりともしない。


「よし、行こう」


 そう言って茂みからでるメイ。

 オレもそれに続く。


 くらの前にすぐつく。石造りの立派な蔵だ。

 蝶は倒れた奴らの上に止まっていた。


「こうやって獲物を眠らせて吸血する蝶だ。よほど大きな音を出さない限り簡単には起きないから安心していい」


 メイの言うとおり、見張りはオレ達に気づく様子もなく爆睡している。


「当然だが鍵がかかっているな」


 メイがくらの門を見て言う。

 鉄製のよくあるごつい鍵だった。


「見張りが持っているのかな」

「その可能性もないではないが……」


 そう答え、メイが懐から何かを取り出す。

 また何か変わったアイテムを出すのかと思ったら、普通に針金などの鍵開け道具だった。


「ちょっと待っててくれ」


 そう言われ、オレはあたりを警戒しながら待つ。

 見張りが起きないか……。

 もしくは寺から人が出てこないか……。

 ドキドキしながら待つ。


「開いた」


 早っ。すごいなコイツ。

 メイが門を開ける。


「ん? もう交代か?」


 中にも山賊がいた。


「な、なんだテメェらはぐふっ」


 叫ぶ山賊に、そくメイが腹に一撃を入れる。

 そして上体が曲がったところに──



 ドガッ!!



 こぶしを首筋に叩きおろして気絶させた。

 おお……。

 真面目で平和主義者っぽい印象だったが、やるときゃやる奴なんだな……。


「ふぅ。まさか中にも見張りがいるとは」

「気づかれてないかな?」

「わからない。急ごう」


 うす暗いくらの奥へ行くと、そこには鉄格子てつごうし

 その中に──


「フブにい!?」

「ナタリかっ!?」

「うんっ」

「無事か!? 何もされてないか!?」

「大丈夫っ。縛られてるだけ」

「そうかっ。ムーコはいないのか?」

「ムーコねえ!? ここにはいないよ」


 いない? どういう事だ? 別のところか?

 とにかくナタリを救出しよう。

 目が闇になれてくると見えてきた。

 鉄格子のなかに、ナタリと他に10人ほどの女子供たち。


「メイ」

「わかってる」


 すぐにメイが鉄格子の鍵を開けにかかる。


「あっ、なんだテメェら!! ……っ! 敵襲だ!!」


 男がくらの入り口に入ってきていた。


「マズイ!!」


 オレとメイは反射的にそいつに飛びかかる。

 退魔刀たいまとうでオレがぶん殴ったところに、すぐにメイのこぶし

 そいつをぶっ飛ばして外にでると、寺からどたどだと山賊達が出てくる!


退魔師たいましだ! 女を取り返しに来やがった!!」

「なんだと!?」

「捕らえろっ! 生きて帰すな!」


 くそっ! あと少しだったのに……っ!

 取り囲んでくる山賊たち。

 その手には短刀、刀、槍などが握られている。


 刃のない退魔刀たいまとうとは違い、ふつうに斬れる刃物はもの

 人を殺すための道具だ。


「すまないフブキくんっ」

「いや、仕方ないっ」


 オレは2本の退魔刀たいまとうを構える。

 退魔刀たいまとう・『小太刀こだち二刀流にとうりゅう』だ。


 メイも腰につけていた棒を3本取り出し、それを繋げて1本の長い棒にする。

 金剛杖!? ナタリの金剛杖に似ている。

 それを構えるメイ。


「やっちまえ!!」


 山賊たちがオレたち二人に襲いかかってきた。




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