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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
111/131

111 道満符




 メイがすごい勢いで山を駆ける。

 オレもそれにどうにか続く。


 早い。

 彼は大きな木製のカバンを背負っているのに、離されないようにするのがやっとである。


「……それはなにが入っているの!?」


 オレは彼にカバンのことを聞く。


「売り物だよっ。行商人だからね! もちろん戦闘用宝具などもあるっ。山賊から連れ去られた人たちを取り返すのに必要だからね!」


 なるほど。


「キミの仲間も必ず取り戻すっ! それでどうか村を許してほしい!」

「無事に戻るならなんでもいいけど……メイさんは戦えるの!?」

「もちろん! 行商ぎょうしょうは戦えなきゃやっていけないからね! 一応、退魔師たいましの資格も持ってるよ!」


 そうなんだ……。

 まぁそうか、一人で売り歩いているみたいだし当然か。


「音無メイという! メイでいい! よろしく頼むっ!」

「……氷上フブキ! こちらこそよろしく!」


 悪い奴じゃなさそうだ。村出身の行商人とはいえ、彼からは何も悪いことはされてない。むしろ山賊のこととか教えてくれて、今もこうして協力してくれているのだからオレは感謝すべきかも。


「助けてくれてありがとう! オレ一人じゃどうにも出来そうになかった!」


 オレはそう重ねて伝える。

 村人ともめていたとき、彼がこなければムーコ達がどうなっているのかも分からず、助けに向かうことも出来なかったかも知れない。


「礼には及ばないよ! 村から連れさらわれた者も助ける必要があるし、むしろ何日も村を守ってもらったのに、盗賊に加担した村人の態度を本当にすまない!」


「……子供を人質にされたら仕方ないよ! それより山賊のことをオレに言わないままでいても子供は帰ってきたんだろ!? なのにオレの為に話してくれたんだから感謝だ!」


 山賊と取引したという村人が言っていた。

 山賊は『夜蜘蛛やぐも』という有名な一味で、以前から『約束を守れば人質は無事に返す一味』と言われているらしい。

 なのでオレに話をしたことで、子供が返らないリスクが高くなったはずだ。だから感謝すべきなのだ。


「いや、おそらく山賊は子供を返さないよ……っ」

「えっ!?」

「いつもなら返すかも知れないが、今回に限り山賊は村人に手口を明かしている! それも、黄泉よみがえりを操ることが出来るなんて宝具を、所持しているということまでだ! これを放置するのは不利益でしかないっ! 事が済めば、口封じにすぐ村は襲われつぶされるはずだ!!」


 そ、そうなんだ……。

 なるほど、確かにメイの言うとおりな気がする。

 でも……。


「でもやっぱりありがとうだよ! 村人はともかく、オレはキミ個人からなにも被害を受けてない! むしろメイがいなかったら仲間がどこに行ったのかも分からなかった! 本当にありがとう!!」


 オレは心から感謝をする。

 彼が村に来てくれたのは幸運だった。

 そう言えば彼が村に来る予定は、明日の昼だったはずだ。


「……大切な仲間なんだね!」

「ん……。ああ!」


 大切な仲間だ。いつの間にかそうなった。

 でも当たり前だ。あんなに良い奴ら、大切になるに決まってる。

 絶対に……助けるっ!


「こ、これは……っ!」


 先を行くメイが声を上げた。

 なんだと思ってみれば、彼の胸元にある守り袋が淡く光っていた。


「メイ。それはなに!?」


 オレが尋ねると、


「………………答える前に、キミに一つ聞きたいことがある!」


 と、彼は急に真剣な顔で聞いてきた。


「な、なに!?」

「今回……もし村の子供だけが連れ去られてて、キミの仲間が無事の場合、キミは村の子供たちを助ける為に一緒に来てくれたかい!?」

「……? オレが力になれるなら行くけどっ!?」


 当たり前だろう。


「それはなぜっ?」

「なぜって……そんなんほっとけないだろっ!!」


 そう答えると彼は「……そうか」と呟いて急に立ち止まる。


「なにっ!?」


 オレも急停止する。


「これは『道満符どうまんふ』という『宝具』だ」


 オレがさっき尋ねた光る守り袋を、彼が手にとって答える。


「どうまんふ?」

「ああ、道満どうまんという昔の術者が作ったと言われる宝具だ。『古代こだい宝具ほうぐ』に分類される」


 古代宝具……?


「これをキミに」


 メイが淡く光っている守り袋をこちらに差し出す。


「……くれるの?」

「ああ。キミが持つと良い。というか、キミにしか使えないだろう」

「オレにしか?」


 オレが『どうまんふ』というのを受け取ると、淡く光っていたそれが、オレの全身に広がって──消えた。


「これは……」

「『道満符どうまんふ』がキミを認めた」

「認めた?」

「ああ、その『道満符どうまんふ』は使い手を自ら選ぶ。キミは『道満符』に選ばれたんだ」

「……選ばれたって」

「使い方を説明する」


 そう言って、彼は守り袋を開けてくれと言う。


「いや、でもそんな時間は──」 

「大丈夫、すぐに済む。それにこれがあれば、仲間の救出達成率が飛躍的にあがるハズだ」


 飛躍的に!?


「わかった。じゃあ頼むっ!」


 迷っている時間すら惜しい。メイがそう言うのなら聞こう。彼はオレよりこの世界や宝具に詳しい。


 守り袋を開けると、道満符どうまんふと書かれた護符ごふたばが入っていた。

 全部で9枚入りのようだ。


 …………。

 ………………。


 彼に『道満符どうまんふ』という宝具の説明を聞いた。

 そしてそのアドバイスに従い、『道満符』を使うための準備も終える。


「さぁ、これでキミは使えるはずだ。──試してみて」

「……わかったっ」


 教わった通り、『道満符どうまんふ』を発動させる。



 ────!!



「こ、これは……っ!?」



    ◇



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