11 制圧
女に手をあげるクソは死ねばいい。もう知らん。殺す。死んでも殺す。
理性がとんだ。
ドッ! ガッ!
──ズタン!!
ナタリに手を挙げた男が地に倒れた。
オレじゃない。ムーコがやった。
まさしく一蹴。男は口から泡を吹いている。
「許しません」
ムーコがキレてる。
「てめぇ!」
すぐに別の男がムーコに襲いかかる。
が、先を制したムーコが男の足首に一撃! ──と思ったら返し技で顎、みぞおち。流れるように技をたたき込んだ。
二人目の男が崩れ落ちる。
それを見て最後の一人が腰から刃物を抜く──ことも出来ず、ムーコの薙刀で手を打ちのめされ、ひるんだ隙にまた連撃。
三人目も地に伏した。ぴくりとも動かない。完全に意識を失ったようだ。
……すごい。
もしムーコの薙刀が『退魔刀』という刃のないものでなかったら、こいつら死んでいたんじゃないか!?
「気絶したフリはやめてください。あなたには手加減をしました。起きないと刺します」
ムーコがそう言うと、三人目に倒した男がびくっと身体をふるわせ上体を起こした。おぉ……フリかよ。まじか……。
「何故、このような真似を?」
男にキツく問うムーコ。
「…………金がほしかったからだ」
いまいましそうに男が答える。
「お金……お面をほしがっていましたね。どこかで買い取ってもらえるのですか?」
再度尋ねるムーコ。しかしそれには返答を渋る男。
「答えなければ刺します」
ムーコが薙刀の切っ先を男に突きつける。
刃のない『退魔刀』とはいえ、先端はそれなりに尖っている。刺そうと思えば、人間の身体くらい簡単に刺せるだろう。
「…………換金所だ」
男が悔しそうにつぶやいた。
「どこですかそこは」
「答えたら見逃してくれるか?」
「答えなければ刺します」
「……お、おまえ達が歩いてきた道沿いにある。ここから二つ前の十字路だ。そこにある。本当だ。頼む。見逃してくれ、悪かった」
ムーコの質問に答え、許しをこう男。
「そうですか……どうしますかフブキくん」
いきなりオレにふってきた。
「一番被害を受けたのはフブキくんです。フブキくんが決めるのが良いかと思います」
そ、そうなのか……?
「……ちなみに私の祖父は、こういうタチの悪いならず者と揉め事を起こしてしまった場合、復讐できないように目をつぶしていました」
たんたんと話すムーコ。
そこでオレは大男と目があった。
とたんに青ざめていく大男。
「わ、悪かった! 兄ちゃんっ。許してくれっ。もうあんたたちには近づかない。約束するっ!」
必死に謝りだす男。先ほどまでの余裕は失われていた。
「目をつぶしておきますか?」
再度聞いてくるムーコ。
「……いや、いいよ」
なんかすでにオレより傷んでるし。正直ムカつくけど……そんな残酷なことはできない。
「そうですか。ナタリちゃんはどうです?」
「…………あたしもいい」
ムーコの問いに、頬をさすりながら答えるナタリ。
「そうですか……。じゃあ行ってください」
とムーコは男から薙刀の切っ先をはずす。
「へへ……すまねぇな」
「次はナイですから。二人にもしっかりお伝えください」
ムーコが告げると、彼は笑みを引っ込めて頷いた。
そして、倒れている男達を起こし去っていった。




