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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
107/131

107 無理!!




 オレ達は逃げた。

 あんな化け物、戦えるわけがない。

 一目散に逃げる。


「ど、どうするフブにい!?」


 オレとともに逃げるナタリが叫ぶ。


「あれを倒すのはオレ達じゃ無理だ! 倒せるとしたらアイツしかいない!」

「──わかった。じゃあ引き連れていくしかないね!」

「ああっ!」


 運がよいのか悪いのか、かしらはオレ達2人を追いかけてくる!

 だがそのゴツさゆえか、オレ達より足は遅い。


「ナタリ! 東口についたらすぐテントへ入れ!」

「わかった! フブにいは!?」

「オレは──」



 ──『グォォォッォォオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』



 面山賊めんさんぞくかしらが吼える!

 そして飛んでくる鉄球!

 オレ達のすぐ後ろにあった小屋が粉々に吹き飛ぶ!!


「ひぃぃ!!」


 オレとナタリが悲鳴をあげる。

 怖ぇ……っ!

 なんて怖さだ!

 身体の芯から身が竦むっ!


 だが、これでようやく東口が見えてきた!


「ナタリ、テントへ!」

「うん!」

「ムーコ!」

「フブキくん! 『かしら』ですかっ!?」

「ああ! 倒せるか!?」

「はいっ! ですが『落ち武者だるま』の方は!?」

「そいつはオレがやる!」


 ああ、勢い言ってしまった。

 だが他に方法はない。せめて引きつけておく。


「──! わかりました! 一応、『後頭部』と『あごの下』以外すべて攻撃しましたが復元してしまいました! ですからそのどちらかが急所だと思いますっ!」

「マジか! わかった、ありがとう!」


 オレとムーコが交差して、互いの敵を入れ替える。



 ──『グォォォッォォオォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』


 ──「はぁああああああああああ!!」



 背後で面山賊めんさんぞくかしらの雄叫びとムーコの気合い。

 くそっ。こんな危険なことになるなんて……っ!


「ちくしょお!」


 オレはそのまま『落ち武者だるま』へ立ち向かう。


「おおおおお!」


 迫りくる髪を避ける!

 捕まったらやばい! 斬って斬って斬り進む!


 二刀流にして良かった! 手数が倍だからどんどん接近できる!!

 奴まであと5メートル!

 急所は『後頭部』か『あごの下』……。


 ──あごの下!?

 あんなデカくて重そうな奴のあごの下なんて、どーやって攻撃すんだ!?


 くっ……取り合えず後頭部だ!

 落ち武者だるまの横に回り込むオレ。

 奴もオレを追うようにぐるっぐるっと向きを変えてくる!

 だがオレが回り込む方が早い!


「おら……っ!」


 奴の後頭部に退魔刀たいまとうをお見舞いする!

 そして即、迫り来る髪から逃れるよう距離をとる!


 奴の後頭部は黒いもやをまき散らすが──


「だめかっ」


 すぐに復元する後頭部。

 なら、あと考えられる急所は『あごの下』!


「フブキくん! 全力で撃ちますっ!」

「ムーコ!?」

「はぁあああああああ!! 烈風れっぷうり!!」



 ──ブォン! ズブファアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!



 猛烈な烈風れっぷうが、だるまの体を持ち上げる!

 髪は烈風れっぷうでなびいて完全に無防備!


「オラァ!!」


 ヘッドスライディングの要領で、奴のあご下に退魔刀たいまとうを入れる!



 ──ズンッ!



 落ち武者だるまの巨体が震えた。

 そして──



 ──ブワァアアア!!!!



 全身が黒いもやとなって消えていく!

 やった! 倒せた!

 振り返って見ると、ムーコの背後で同じように消えていく『面山賊めんさんぞくかしら』の巨体。


「えっ! もう倒したのかムーコ!?」

「はいっ。これは力だけの奴でしたので、前に倒した『かしら』より楽でした」

「マジか……すごいな」


 やっぱムーコすげぇ……。


「フブキくんもお見事です。すばらしい反応でした」

「いや……」


 どっちかと言えばがむしゃらで格好悪かったはずだ。

 倒せたのも、ムーコのおかげで急所の位置を絞りこめてたわけだし。

 ムーコがすごい。


「無事か!?」


 ヤナギダさんがこちらへ来る。


「はい。なんとか終わりました」

「そうか。よかった」


 安堵した表情を見せるヤナギダさん。

 数日のつきあいのオレ達を案じてくれる。


 彼に南側での被害を聞くと、どうにか死者はなし。

 怪我人も、みんな治癒符ちゆふで治療できたとのこと。

 良かった……。


「これも治癒符をくれたアンタたちのおかげだ。ありがとう」

「いえ……」


 治癒符は事前に配っていた。

 いざという時、すぐ手当できるかどうかが命の分かれ目となることもある。

 役に立てて良かった。

 なにより、村の子供達への被害をゼロに出来たのが嬉しい。


 ムーコの顔を見ると、彼女がにこりと微笑む。

 もうすぐ夜明け。

 そう。これで防衛任務は終わりとなる。

 明日には行商人さんが結界を直し、北国シーラへ案内してもらえるのだ。


 そう言えばナタリが出てこない。未だテントで震えてるのだろうか。

 ふふっ。戦いが終わったことを知らせてやらねば。


「ナタリー終わったぞー」



 テントをあけて中を覗くと、そこにナタリの姿はなかった。



   ◇


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