106 オレとナタリとヤナギダさん!
南側の畑へたどり着くと、そこはたくさんの面山賊と逃げまどう村人の防衛チームでごった返していた。
「一体ずつ倒すしかない! ヤナギダさん一緒にお願いできますか!?」
「もちろんだ!」
「ナタリ! ヤナギダさんが攻撃した奴を、二人がかりで即倒していきたい! やれるか!?」
「やれる! 任せといてっ」
金剛杖を手に、頼もしく答えるナタリ。
本当はナタリを面山賊と戦わせたくないが、余裕がない。いざというときはオレが身体張ってでも守る。治癒符はあるんだ。きっと死にはしない。
ちょうど向かってくる面山賊。
それにヤナギダさんの退魔矢が刺さる!
見事だ! 足を射抜いて動きを止めた!
「おらぁ!」
「やあ!」
オレとナタリのコンボで面山賊が地に伏す。
すぐさま、2体組みの面山賊が来る!
ヤナギダさんが、即、一体の足を射抜く! 上手い!
あと一体はオレが……っ!
──ギィン!
刃が交合う!
そこをナタリが一閃!
面山賊の頭を叩き潰す!
──ズダンッ!
「ナイスだナタリ!」
「もう一体!」
「ああっ!」
足を射抜かれている面山賊を、即座に畳みかけ倒す。
これで3体討伐!
そこへ目の前に退魔矢を持った村人が逃げてきた。後ろには面山賊がまた2体!
「オレ達のうしろへ! 出来たらヤナギダさんと一緒に撃ってくださいっ!」
「──! わかった!」
オレの指示に、すぐ理解を示してくれる村人さん。
先程と同じようにヤナギダさんが、一体の足を退魔矢で止める!
そこをオレとナタリで即屠る!!
そして2体目!
見れば、そちらもすでに足を射抜かれている!
撃ったのはヤナギダさん。てか上手くねこの人!?
遅れて、今来た村人さんの一射も刺さる。
面山賊は武器を落とした。
「武器さえなけりゃ!」
──ズババンッ!!
二刀流で、即叩き潰す!
これで5体か! なんか幸先良い!
でもムーコも心配だ。最速で殲滅してムーコの元に戻るのだ!
あたりを見ると、オレ達の登場で流れが変わったようだ。
ばらばらに逃げまどっていた村人さん達が、数組みごとにまとまって反撃しだしている。
さすが! 伊達にこんな山奥で暮らしていない!
武芸経験がなくとも、力強い……っ!
オレ達は、他の村人たちと戦っている面山賊を、不意打ちで倒していく。
ヤナギダさん達とナタリとの連携で、どんどん倒していく!
ていうか──
「ナタリ! やるなお前っ!」
こいつ、オレとの連携が上手い。いくら不意打ちや弱っている面山賊相手とはいえ、こんなにさくさく面山賊を倒していけるなんて……。
「えへへ。伊達にムーコ姉に武芸教わってないよ!」
「そうだな。──でもそれだけじゃなく、センスがいいよ」
ていうか頭が良いんだろう。オレと敵の動きを良く観て、ここぞってところで攻撃を入れやがる。
「フブ兄、あとアイツだけ!」
「ああ!」
おそらくラスト一体! オレと同じく、刀を二本持っている面山賊だ!
オレとナタリがそいつに迫るなか、ヤナギダさん達の退魔矢が放たれる。
──ギィィィン!!
──ギィィィィン!!
弾き落とされる退魔矢。
すごい! 初めて矢を落とされた!
が──
「オラッ!」
オレが斬りかかる!
──ギィン!
──ギィン!
二刀でもって、奴の二刀を封じる。
そこにすかさずナタリの渾身の一撃!
──ズガンッ!
頭を砕かれ、地に伏す面山賊。
なんか、即殺だった。
瞬殺って言えるほど早くないが、即殺。「おおぉ……」と村人から感嘆の声があがる。
そして一間を置いて──
「やっただぁ!」
「助かっただー!」
村人たちの歓声。
見た感じ倒れている人はいない。けが人はいるようだが、死者はいないようだ。
良かった……守れた。
安堵した瞬間、畑脇にある小屋が弾け飛んだ。
「うわっ!」
「きゃ!」
飛んでくる瓦礫からナタリを守る。痛い!
なんだこれは!?
見れば──粉塵が収まったところに、
──『ヴォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!』
面山賊!
それもデカい! 高さは190センチ程度だが、横がやたらデカい!
3人分のゴツさだ!
ていうか、雄叫びをあげる面山賊なんて初めて見たぞ!?
「フブ兄! あれ頭だよ! 面山賊・頭!」
「マジか!」
なんか身体の大きさでお面が小さく見えるが、よく見ればお面に『頭』と書かれている。あれが頭か!
右手には、巨大な鎖付きの鉄球。
左手には、これまた巨大な大鉈。
村人たちは「うわぁ」と逃げ出した。
逃げる村人に『面山賊・頭』が鎖付き鉄球をぶんまわして投げる!
──ズドォォォオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!
畑のあいだに立っていた大木が、音をたてて倒れた。




