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鳥居のむこうは別の世界(旧:異世界でヒロインとサバイバル共同生活する話)  作者: ふすまを閉めてく猫。
第3章 力になれることがあるのなら、力になりたいと思う
105/131

105 異変




 夜10時頃。

 オレ達は見張りをはじめる。


「今夜防衛すれば、近日中に北国シーラだ。油断せずいこう」

「りょーかいフブにい

「了解ですフブキくん」


 二人が元気よく答えてくれる。

 前日までの3日間、村人たちの事前情報とは異なり、日を追うごとに黄泉よみがえりの襲撃は減っていった。オレ達が来る奴すべて討伐しているからだろう。少しずつこのあたりに生息?している黄泉よみがえりの数が減っているかも知れない。

 このままいけば、割と楽に防衛任務を終えることが出来そうだ。


 だが、油断は禁物。

 なぜなら、まだ村人が言っていた『落ち武者だるま』という黄泉よみがえりが来ていないのだ。


 村人の被害もそいつからが多いらしく、倒せていないから急所の位置もわからない。その姿形すがたかたちと、髪の毛を伸ばして人を捉え、そのまま食べてしまうという情報以外解らないので、オレ達にとっては未だ最も警戒が必要な黄泉よみがえりと言える。

 今夜も気を抜かず、がんばろう。


 ちなみに、もう夜に仮眠はしていない。交代でテントで休みはするが、3人とも明け方から日中まで寝ているので眠くないのだ。おかげで、何かあってもすぐ全員が戦いに参加出来る。

 まぁ昼夜逆転は健康に良くないから、あまりうれしいことではないが……。



  ◇


 

 真夜中。

 突然、ぎゃあと、怖ろしい絶叫が聞こえた。


 見張りの方だ!

 オレ達と同じ、東側を見張っている村人の悲鳴!

 見れば、40メートルほど離れた場所にいる村人さんに、黒い何かが巻き付いていた。


 な、なんだあれは!?

 うねうねとうごめく黒いもの。あれは──髪か!

 髪が森から伸び、村人の身体をとらえている!

 ──やばい!


 すぐに駆けるオレとムーコ。

 だがあっという間に引きずられる村人。

 早い! ものすごい力だ!

 大の男がなすがまま引っ張られていく!


「た、助けてくれぇ!」


 叫ぶ村人。


「く……っ! ラッ!」


 森の中へ引きずり込まれる直前、オレが退魔刀たいまとうで髪を断ち切る。

 髪は思いのほか簡単に斬れた。


「た、助かっただっ!」

「下がってくださいっ!」

「お、おう! あ、でも足が……っ」


 村人さんは足を引きずっていた。

 オレはすぐに肩をかして、村人さんと共に村の方へ下がる。

 森は敵の姿が見えなくて怖い。

 だが、おそらく──


「落ち武者だるま、ですね」


 ムーコが落ち着いて言う。


「ああ、聞いてた奴だ」


 オレのそばに、ナタリと退魔矢たいまやを持ったヤナギダさん達が来る。

 すぐに足を痛めた村人さんを、もう一人の村人さんが背負い避難させる。


「ついに来たか……」


 ヤナギダさんが呟く。

 のそりのそりと、森の奥からそいつは出てきた。

 月明かりに照らされ、はっきりと姿が見える。


 ──でかい。

 大型のワゴン車くらいあるだろうか。

 髪をうねうねしながら、こちらをギョロリと見てくる。


「……っ!」


 遠方から悲鳴。

 南の──畑側の方だ!


 耳を澄ますと、雄叫びと悲鳴が入り交じって聞こえる。かなりの騒ぎとなっているようだ。

 これまで面山賊めんさんぞくが2体来たときも、こうはなってなかった。つまり、これはそれ以上の黄泉よみがえりの襲撃に遭っているということ。


 どーする!?

 ここで目の前のこいつを倒してから助けに行くか!?

 いや、でもこいつは急所がどこにあるのかわからない。

 どれだけ時間がかかるのか……っ!


「ムーコ、アイツやばそうか!?」

「──! いえ、一人・・なら(・・)けません(・・・・)

「わかった! オレ達は南を助けに行ってくる! 倒せなくても負けないでいてくれムーコ!」

「……っ! わかりました! どうかお気をつけて!」

「おう! 行くぞナタリ! ヤナギダさんも!」

「うん!」

「わかった!」



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