101 防衛戦という名の訓練
──バキン! グシャメキ! ドグシャ!
オレは骸骨をぶった斬って、頭蓋骨を踏みつぶす。
あれから5分くらい経っただろうか。
もうすでに10体は倒したのだが、骸骨が尽きない。
のろのろとした動きで、森からどんどんやってくる。
「おぉ……、ホント良い訓練になるな」
「そうだねっ!」
ナタリが金剛杖を振って、軽やかに骸骨を粉砕する。なかなか洗練された動きだ。
やるな、ナタリの奴。
見れば村人さんも、問題なく骸骨を倒している。
うん……。見張りだけでも退屈だし、骸骨程度がこうしてたまに来るくらいが調度いい。
引き続き、目の前に来る骸骨を討伐する。
──バキン! グシャメキ! ドグシャ!!
これで11体達成となる。
「うぉ!?」
村人さんの狼狽える声に振り返ると、彼の前に変な骸骨がいた。
腕が何本もある骸骨。
そしてその全てに、『骸骨刀』が握られている。
な、なんだあいつは!?
「うわぁ!」
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
高速で振るわれる沢山の骸骨刀に、村人さんの退魔刀が弾き飛ばされる。
そして尻餅をつく村人さん。
──やばい!
オレは村人さんの落とした退魔刀を拾い、彼と変な骸骨の間に割って入る。
目の前の骸骨は、どす暗い靄のようなものを纏っていた。
これは瘴気か!?
奴の目がこちらを捉え、妖しく光る。
怖ぇ……。
なんだこいつは……っ。
オレは二本の退魔刀を構え、間合いをとる。
腕が全部で6本。
阿修羅像みたいな奴だ。阿修羅骸骨。
「フブ兄っ! ムーコ姉起こしてくる!」
ナタリがそう言って、すぐテントに向かう。
その際に村人に金剛杖を渡して行った。
ナイスだナタリ。
骸骨とは言え、未知の黄泉返り。
ムーコ・ヘルプ・ミーだ。
オレはゆっくり迫ってくる目の前の骸骨相手に、左へ左へと間合いをとる。正面から戦いたくない。時間を稼ぐのだ。
だが村人が逃げない。彼は尻餅をついたままだった。
ちょ。腰を抜かしたのか!?
再度、あわてて間に入る。
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
「く……っ」
高速で振られる6本の骸骨刀。
なんとか弾き、距離をとる。
強いっ!
村人さんの退魔刀を借りて良かった。
1本じゃ防げないっ。
だが……これでオレが奴を引きつけておけば村人は安全だ。
あとはムーコが来てくれるはずっ。
「……えっ」
しかし想定とは違い、奴は腰を抜かした村人へ向かう。
こいつ……完全に村人をターゲットにしてやがる。
ほかの骸骨と違って知性があるのか!?
「くっ」
オレはまた二者の間に入る。
村人を守らねば……っ!
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
「く……っ」
再度、骸骨の連撃を受ける。
どうにか弾くことが出来たが──
やばい!
反撃が出来ない!
周囲には、じわりじわりと他の骸骨たちが集まってくる。
こ、これはちょっとマズイかも……!
雑魚骸骨達とはいえ、何十体にも包囲されると厳しい。
なかには槍を持っている奴もいて面倒そうだ。
──ブゥゥゥン。
目の前の骸骨──阿修羅骸骨の目が、また妖しく光った。
すると周りの骸骨達の動きが変わり、明らかにオレ達の周囲を取り囲むように移動しだす。
なんだこいつ!
他の骸骨に指示をだしたのか!?
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
「ぐ……っ!」
どうにかまた連撃を受け止め弾く。
が、すぐにまた間合いを詰めてくる阿修羅骸骨。逃げ場がない。
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
「……っ」
完全に殺りに来ている……っ!
奴の攻撃が重くなり、間合いも取れなくなってきた。
どんどん距離を詰められる……っ! やばい!!
「フブキくんっ! 無事ですか!?」
ムーコが来た! ムーコが来た!
だが答えている余裕はない!
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
──ズギャギャギャギャギャンッ!!!!!
──ズギャギャギャギャギャギャギャギャギャギャッ!!!!!
殺るか、殺られるか!
「うぉぉぉぉおおおお!!!!!!!」
──ズバン!
奴の手首の骨をぶった斬る!
そして畳みかける!
「オラァッ!!!!!」
ズババババン!
手首をぶった斬ってぶった斬ってぶった斬る! そして──!
足っ! 胴体っ! 頭蓋骨ッ!
──と、流れるように3連撃!
よし……っ!
「どうにか倒せた……っ!」
「はぁああああああ! ──烈風斬り!」
ズバァン! ──ズブァァァァアアアアアアアアアアアア!!!!
ムーコの烈風の薙刀による付与効果、強力な烈風が周囲の骸骨たちを蹴散らす!
それをすかさず、村人から金剛杖を返してもらったナタリが破壊していく。
──ズバン!! バキッ!! グシャメキ! ドグシャ!!
あっという間に、十数体の骸骨達も殲滅させられた。
助かった……。




