1章ー2「幸せ平等の定理」
「桜木龍一さん。私は天使リリィ、貴方の命は今日の今で終了です。それを伝達、及び処刑実行に来ました。」
龍一は急に目の前に現れた12歳ほどの羽の生えた少女に驚いていた。
「それでは処刑させていただきます。」
パァァァァッ
少女の装飾物であるピアスは輝きだし、少女の手には真っ黒な剣の形をしたものが握られている。
そして少女がその黒い剣を龍一に振りかざす‼
「ちょっと待ったぁああああああああああああ‼」
~前日~
「うう・・・あん。ごめんね。まさかあんに初めて感謝した人を私が・・・殺さなきゃいけないなんて・・・」
彼女の名前はリリィ。私の友達の天使で私の同期だ。彼女は明日桜木龍一の処刑にランダムで選ばれたのだ。
「しょうがないよ。これが私たちの仕事だもん。でも、「幸せ平等の定理」って残酷だよね・・・。だって12歳で死ぬ運命なんて・・・可哀そうだよ・・・」
私はそう答えるとリリィは黙って下を向いた。
「ちょっと待ったぁああああああああああああ‼」
ドンッ
私は天界から急いで地上に急降下してそのまま体当たりをしてリリィを突き飛ばした。
ズザァァァッ
リリィはこけて擦りむいた。そして起き上がりながらこう言った。
「あん!?何するの?邪魔しないでよ!!・・・まさか、あんた「幸せ平等の定理」を破ってその子を・・・生き残らせるつもり!?」
「そ、そんなつもりはないけど・・・だけど・・・やっぱり12歳で死ぬなんて可哀そうだよ・・・」
「あんは日本ばかり見ているからそんな風に感じるのかもしれないけど、この世界には5歳までに死んでしまう貧しい人たちがたくさんいるんだよ!?」
リリィは激しい口調で私に怒鳴りながら言った。
「わかってる・・・。わかっているけど・・・」
そう本当はリリィだって辛いことなんてわかってるし、ここでやめてしまえばあとでリリィは上級天使の方々に怒られるだろう。「幸せ平等の定理」で決まったことだから運命は変えられない。それもわかっている・・・・・・・けど・・・・・。
「お願いだリリィ‼処刑は私がやるから、龍一に・・・少しでいい‼時間をあげて‼」
私は龍一とリリィの間に入りリリィに懇願した。・・・すると
「どかないと・・・あんも殺す・・・・といってもそこを・・・どかないつもり?」
リリィはあんに近づき黒い剣「覚悟の剣」をあんに突き付ける