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うっすらと記憶に残る夢
何か人の様な靄の様な者から尋ねられている記憶がある
『・・・・・・・・・・・・・・・』
何か行きたい所と聞かれ「今やっているゲームの様な世界に」と答えた記憶がある
『・・・・・・・・・・・・・・・』
何が欲しいと聞かれ「今やっているBSBの中にあるメモリーカードの中の性能を」と答えた記憶がある
『・・・・・・・・・・・・・・・』
何か欲しい能力はと聞かれ「食料・食事を含む一般生活に必要なアイテムを出す能力を」と答えた記憶がある
夢から覚め、最初に見たのは機械獣トリケルのドアップだった。
ここはゲームの世界であるはずの、見捨てられた惑星【ポーゴート】。
「夢だけど、夢じゃなかった?!」
惑星ポーゴート
今より500年ほど前の話。
地球は人にあふれ太陽系に住処を広げたが、それでもなお人が増えた結果太陽系外に住処を求め進出する。
宇宙船団は5つに分かれそれぞれが目標とする場所へ向いそのうちの一つ、ポーゴート号と言う船がとうとう惑星に降り立った。
環境的には辛うじて人が住める程度であり、有機生命体が初めて降り立った地であるため草木すらなくポーゴート号の人々が最初に行ったのは、植物を繁殖させることだった。
それは遺伝子改造をし成長速度が速く、設定された酸素濃度になると遺伝子変化を起こし成長速度が元に戻ると言う物で、降り立ってから30年ほど経過し惑星が草木に覆われ大地が肥え土地開発を始めた時にそれは現れた。
人が乗り込み動かす5m程の作業用人型ロボット、シュバ・アーマーにて木々を倒していた所1体の【動物】が現れたのだ。
だが、ポーゴート号から動物等を放出していない状態で動物が現れるはずもなく、太陽系からの超長距離観測、衛星軌道上からの観測においてもそんなものは観測できなかった。
だが動物は現実に居て襲い掛かって来る以上、立ち向かわなくてはならずその動物を倒し解体した。
その動物は金属でできており、人類が生物としてあり得ないとされていた無機物の生命体と言う矛盾した生物。
遥か昔この地に栄えた知的生命体が創造したのか、それとも太陽系で作られたのを誰かが持ち込んだのか、それは誰にも分らなかったが確かにそれは存在した。
解体・調査した結果無機物でありながら、鉱物・金属をエネルギー源とし成長・繁殖までする不可思議な存在を【機械獣】と呼称、危険生命体と断定し駆逐し、人々は生活圏を広げることに成功する。
そこから100年ほど経つころには太陽系からの移民が来訪し、人類が栄え新たなる歴史を紡いでいた。
機械獣は減少を続け問題が無いように思われたが、頑丈だったはずのシュバ・アーマーの1体が機械獣に倒された。
果たして1体だったのか、偶然だったのか、意図があったのかは解らないが倒されバラバラになり、機械獣に餌として食べられたのだ。
そこから不思議なことが起こり始める。
シュバ・アーマーの行方不明数が1件、また1件と出始めたのだ。
機械獣がシュバ・アーマーの倒し方を学習したのだと人々は噂したが、ポーゴート星政府はそれを否定。
機械獣に倒されたシュバ・アーマーは調査の結果、老朽化・高所からの転落による故障と言う偶然があって発生したものであり、通常なら機械獣の能力ではシュバ・アーマーと拮抗さえできない物と政府は発表、騒ぎは縮小していく。
だが、それは、町に現れた。
シュバ・アーマーが内蔵していたジェネレーターを体内に持ち、シュバ・アーマーが所持していた武装を体表にもち、シュバ・アーマーと同じかそれ以上の機動力を持つ機械獣が。
街は予想すらしていなかった事態に1夜にて壊滅。
機械獣は倒し食したシュバ・アーマーの能力を取り込んでいた。
そこからシュバ・アーマーを超える能力をもつ様々な機械獣が現れ、政府・富裕層はポーゴートから脱出。
機械獣達に宇宙進出されてはたまらないとばかりに、宇宙船そのものやデータの破壊と言う置き土産を残して。
そして、人類がポーゴートに降り立って500年の歳月が流れた。
「シュバ・アーマーの世界かここは!!」
脳内でオンラインゲーム【シュバ・アーマー】設定を思い出しながら画面に映る、砂鉄等を主な餌とし攻撃しなければ敵意を向けない通称、温和型機械獣・トリケルが地面を食べているのを見ながら俺は頭を抱えた。