決意の日
ガルドが目覚めないまま3日が過ぎた。
「ガルド……」
「この村にはね回復魔法を使える人がいないから、王国まで行かなきゃなんだけどこの傷じゃ動かせないし……」
「なぁサリア。魔法学校て所に行けば回復魔法を使えるようになるんか? 」
「わからない。魔法にはそれぞれ属性にあった特性があるの。火は矛、水は回復、風は盾、土は伝達に特化してるの。
ヤマト君は回復を使える水属性だけど風も持ってるから盾もある。両方使えるって思ったと思うけど片方しか使えないの。しかもそれは自分じゃ選べない」
「でも回復の可能性はあるんだろ」
サリアは頷く。
「じゃあ魔法学校に行く。ここにずっといてガルドが死ぬのを待つよりもそっちの方がいいに決まってる」
「魔法学校がある王都にはここから2日かかる。魔法学校の入学手続きはこちらで伝達をしておくわ。行くなら私の馬車を貸してあげる」
「何から何までありがとう」
「ガルドのためだもの。なんでもするわ」
「そっか」
「でも入学式まで後一ヶ月ある。それまでにプチの上位互換シリーズの魔法を覚えましょう」
「でも一ヶ月もあったらガルドは死ぬんじゃないのか? 」
「え? そんなの仮死状態にすれば大丈夫よ?知らないの? 」
サリアは不思議そうに首を傾げる
(そんなのしらねーよ!そんなことできんのかよなんでもありだなここ!)
「えーとりあえずその仮死状態?にしてガルドはなんとかなるとして」
問題はここからだ。
「サリア。お腹空いたー」
お腹がすごい音で鳴る。考えてみればガルドに貰ったリンゴに似た果実を貰って以来、何も食べてない。
「ふふっすごい音ね。そうだねご飯にしようか」
ご飯を食べ終わってからヤマトは直ぐにサリアに借りたベッドに寝転がった。
ヤマトはまた悪夢を見ている。
何もない世界に一人でポツーンと立っている。少し歩いた所にガルドがいた。サリアもいた。
「ガルドー!サリアー! 」
こちらを振り向いたガルドの首がない。サリアは泣いている。後ろからは大量のモンスターとファイアドラゴン。そしてサリアも首から上だけを……
「うぁっ! またこの夢か。もううんざりだよ」
なんでこの夢を見るのかわからない。どんどん精神的に病んでいく。このままじゃおかしくなりそうだ。
「何かに没頭すれば忘れるのかな」
それから一ヶ月ヤマトはサリアに教えてもらいながら魔法の練習をひたすらした。それでも夜にはやはりあの悪夢を見る。でもまた朝が来る。寝れば悪夢を見る。そんな生活をひたすらに続けた。
「ヤマト君。とうとう出発の日だね」
「あぁ。ありがとうございます。色々と教えて貰って身の回りのお世話まで」
「いいのいいの。それよりも回復魔法絶対覚えてきてよね!そしてちゃんと生きて帰ってきてね」
最後は涙声で話すサリアにヤマトは静かに、行ってきますだけを言って村を出た。
ヤマトはある決心をする。壊れた村を立て直す。まだ目を覚まさないガルドを元気にしてあげる。それだけを心に刻む。
僕が創る
僕が助ける
僕がなんとかするんだ
そう決心したのは村を出発して直ぐのことだ。
やっとあらすじの所回収できた。
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