目覚めた力
「さてどーやってあのドラゴンを倒す?」
ヤマトの質問も妥当なものだった。戦力になるガルドも一対一では、負けてしまうような敵だ。ヤマトは完璧に足手まといなのだ。使える魔法はプチシリーズ。
頭を悩ませてるところにガルドが言う。
「ヤマト、君は敵の攻撃に当たらないようにするんだ。攻撃は極力しなくていい。絶対に死ぬなよ」
そう言ってガルドはドラゴンに向かって魔法を連発している。ヤマトは不思議に思っていた。魔法の属性は一人一つが当たり前なのだ。なのにガルドは基本の四属性全てを使っている。だが、そのガルドが押されている。
「あいつやべーな。押されてる」
「ヤマト少し離れてくれ。大技を放つ」
ガルドはそう告げるとドラゴンの攻撃を避けながら大きな氷の結晶を使っている。
「合体魔法! アイススピア!!! 」
もの凄い勢いでドラゴンに向かって、氷の結晶が飛んでいく。それがドラゴンの片方の翼に刺さる。ドラゴンは苦しそうに地面に落ちた。だがそこで油断していた。ドラゴンが火の魔法をヤマトに向けて放ったのだ。
「えっ」
ヤマトは突然のことに動けない。
「危ない!! ヤマトーー!! 」
「え、何も起こってない? 」
呟きながら前を見たヤマトは言葉を失う。そこには片腕を失い倒れこむガルドの姿があった。
「……! ガルド! まさか俺を庇って。嘘だろおい! 起きてくれよガルド! 」
ガルドはピクリとも動かない。
「息はしている。まだ生きている早くサリアの所に連れて行かねーと」
ヤマトがガルドを担ごうとしたその瞬間ドラゴンがまた飛んだ。そして血走った目でこちらを見ている。そうとうお怒りのようだ。
「今てめーの相手している余裕は無いんだよ! 」
そんなことを言ってもドラゴンには届くわけがない。ドラゴンは魔法の準備をしている。
「クソ!プチウォーター! プチウォーター! 」
ヤマトは必死に自分の使える魔法を放つが全然効いてない。このままじゃ二人とも死んでしまう。
「もうどーすればいいんだ……」
その時ガルドがヤマトに言った。
「ヤマト…俺を…置い…て逃げ……」
「そんなことできるわけないだろう」
ヤマトは必死に二人で助かる方法を探す。だが思いつかない。
「ふざけんなよ。こんな所で二人で死ぬなんて絶対にさせない!! 」
ヤマトの手には巨大な水の塊が出来上がる。その周りには風が渦を巻いている。
「くらえっっ! 」
その塊を打った瞬間ヤマトは気を失った。
ヤマトは夢を見ていた。誰もいない世界で自分だけは生きている。ガルドもサリアも村もない。
(ここは何処なんだ? ガルドは? サリアは? )
ふと手の方を見る。そこにはガルドとサリアの顔が……
「うぁっっ!! 」
「あっ起きた! よかったヤマト君。目を覚まして」
サリアが涙目で抱きついてくる。少し柔らかい感触と匂いがヤマトをくすぐる。
「サリア。ガルドは…? 」
「ガルドは片腕を失って今も目を覚まさない。でも息はしているから、そのうち目を覚ましてくれると思う…」
ヤマトの横でガルドは寝ていた。無くなった片腕はもう戻らない。生きているだけ幸いだった。
「ヤマト君。あの後何があったの? 私が避難を終わらせて合流した時は、ドラゴンはバラバラの死体になってた。そこに倒れた君とガルドが居たの。あんな事ガルドがするとは思えない。」
そう言いながらサリアが詰め寄る。
「ねぇ教えて 」
「教えてって言われても僕もよくわからないんだ。ガルドが大技を打ったらドラゴンが地面に落ちた。けどそこで俺が攻撃されてヤマトがそれを庇って。そこからは殆ど覚えてないんだ」
それは半分嘘で半分本当だった。
ヤマトは少しだがその後何があったのか覚えている。だがそれが信じられなかった。だってドラゴンを倒したのは自分だったのだから。
ちょっと長く書いて見ました。
合体魔法については今後また触れるのでその時まで乞うご期待です!