表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王転生  作者: あさま勲


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

決着

 シャドウは自らの影に意識を向ける……すると影が蠢き出した。

 魔王の配下たる魔物たちだ。

 千年前、世界を滅ぼしかけた魔王が従えていた魔物達である。

 その魔物達を、かつて勇者の駆るシルドラは切り裂き、なぎ払い、そして焼き払った。

 あれから千年。

 その月日が、シルドラの力を更に強くしている。

 この魔物達ではシルドラの足止めすら難しいだろう……が、目を逸らす程度の事はできる。

 シャドウにとって、この魔物達は使い捨ての道具に過ぎない……魔王を失う事を考えれば、例え全て失っても惜しくはない。

 この世界すらも、シャドウにとって魔王と釣り合うほどの価値は見いだしていないのだ。

 失ったら補填の利かない切り札とも言えるカード。それを切るわけだが、ここで切らねば敗北は確定。

 手札は使い潰してはいるが、ここを乗り切らなければ、全てが御破算になる。

 勇者リーファも、今回は味方……否。味方であると同時に、魔王同様にシャドウが守るべき対象でもある。

「既に、状況はジリ貧ですねぇ……」

 放った魔物たちは、いとも容易くシルドラに薙ぎ払われてゆく。

 補充の利かない切り札とも言える戦力が、瞬く間に削られてゆくのだ。

 だが、シャドウは慌てていない。

「アタシがイーファと戦った時にアレを使ってたら、アタシは今ここに居なかったかも……」

「当時は現状を維持したいだけですから、使う必要はありませんでした。これは、魔王様と勇者殿を私の手元に留め続けるための切り札です」

 その魔王と勇者が、シャドウの手から奪われようとしている。だから、久しぶりに全力を出す事になるだろう。

「聖剣……アナタに返すわ。元々は、アナタが使っていた物だし扱えないハズは無い」

 シャドウは、リーファの差し出す剣を受け取る。

「お借りします……ですので、終わったらお返ししますよ?」

 シャドウの言葉に、リーファは笑うように息を吐いた。

「なら、次の持ち主であるイーファに渡してあげて?」

 そう言いつつ、リーファは空を見上げる。

 周囲から雲が集まっている……が、まだ雷を呼べるほどの規模では無い。

 シルドラに致命傷を与えるには、もっと大きな雷雲が必要なのだ。

 かつての魔王が使った紫電の魔法……その最大の威力を誇った術が、雷雲から喚び出された雷だった。


 魔物たちを捨て石にし、シャドウはシルドラとの間合いを詰める。

 まず狙うは、翼の皮膜……さすがに飛ばれてしまっては、もう手に負えない。

 聖剣が翼の皮膜を大きく切り裂く……まだ飛べるだろうが、何度も繰り返せば空という逃げ道を塞ぐ事ができる。

 もっとも、皮膜ぐらいしか堅い鱗に覆われたシルドラに刃が通りそうに無いがゆえの翼狙いだ。

「懐かしいな、サーラよ! こうやって稽古を重ねた千年前を思い出す」

 千年前のシルドラには、普通に剣が通用したので使っていたのは木剣だった。何より、今と比べて、遥かに小さかったのだ。

 体長数メートルの幼い竜。その幼竜を千年の月日が、数十メートルはあろうかという巨竜へと変えた。

「シルドラ……何を考えているんです?」

 あっさりと、肉薄させたシルドラに違和感を憶えシャドウは問う。

 その巨体故に、肉薄されたシルドラには死角が多い。にもかかわらず、放った魔物たちやシャドウに対し、こうも容易く肉薄を許した……それが腑に落ちないのだ。

「世界が終わる……その意味について考えている。もし我が死んだら、我にとって、それは世界が終わるのと同義では無いか? 世界が存続したとして、我が存在せぬ世界に何の意義があるのだろうか?」

「意義を感じたからこそ、魔王に名乗りを上げたのでは?」

 シャドウは言ってやる……シルドラなら、声は届くはずだ。

 もっとも、シルドラが見いだそうとする意義などシャドウにとって、どうでもよい事だ。

「変化のない繰り返しの日々。それに何の意義がある? 魔王と勇者を繰り返し演じさせる事で、魔王が行う世界の剪定を最小限に留めた……それ故、街は発展……つまり肥大し、システムのリソース食い潰し、間もなく限界を迎えようとしている……このままでは近々世界は滅ぶ」

 それは知っている。

 千年前に現れた魔王も、発展した世界の大半を更地にする事で世界のリソースを確保したわけだ。

「世界など滅びてしまえ……その叫びは聞いたはずです」

 シャドウはシルドラに言うが、その言葉が届いたかは怪しい。

「そもそも、サーラにとって世界とは何だ? 人間に紛れ生活する魔王を中心とした生活か? その魔王を裏切り、次なる魔王と勇者を祭り上げ、延々と続くイタチごっこに興じ続ける事が貴様の望んだ世界か?」

 シルドラは更に言葉を続けようとするが、シャドウは、それを許さなかった。

 瞬時に間合いを詰めたシャドウが振るった聖剣。

 その刃でもって、シルドラの右目を周囲の骨もろとも叩き切ったのだ。


 片目を失っても、シルドラは動じない。

「サーラよ……貴様は世界と心中する気か? 世界を滅ぼす寸前にまで至った千年魔王。その魔王が、最後に思い直し守った世界を、貴様の手で終わらせるつもりか?」

 勇者は、とうの昔に既に気づいている。遠からず魔王も気づくだろう。

 自身が、世界を滅ぼす寸前にまで至った千年魔王だった事に。

 千年魔王は、片割れを失った双子だった。

 その母親は、失った片割れを忘れぬようにと、無事だった一人に二人の名前を与えた。

 それが関係しているのか、それとも、一つの体に二人の魂が入ってしまったが故の片割れの死産か。

 ともかく、千年魔王の魂は二つに分割できた。

 その二つに分かれた魂に、システムに介入し体を与え魔王と勇者を交互に演じさせる事で世界の剪定を最小限に留める。

 それが、シャドウが信じた千年魔王が守ろうとした世界だ。

 たが、剪定されぬ世界は拡大を続け、間もなく世界を構成するシステムの容量が限界を迎える。

 その結果、何が起こるかは解らない。

 世界は滅びるのか、あるいは存続し続けるのか……

「シルドラ……アナタもシャドウを守りたいんだ?」

 どこか諦めたかも用にリーファは呟く。

 その言葉で、シャドウは動きを止めた。

 そして、シルドラから飛び探り距離を取り直す。

「勇者殿……何を言うのです?」

 シャドウの問いにリーファは笑うだけで答えない。

 氷のように、冷たい笑みだった。

 空が黒く染まり、時折、稲光が走る……雷雲が構成されたのだ。

「天に集いし雷の子らよ。我が意に従い敵を打ち砕け。来たれ、光の鉄槌!」

 百年魔王も使ったという雷の魔法。たった一撃で千を越える軍勢を壊走させた、魔法の雷が、銀竜シルドラを直撃した。

この魔王転生。

ふたばちゃんねるのお絵かき板で『ぜすとあ』さんが描いてた『勇者さんと魔王たん』みたいな話が書きたいなぁ……とか思って考えた話だったっけ。

ちなみにググれば『ぜすとあ』さんのホムペの残骸は確認できますね……最終更新日が十六年も前だぜ!

ふたばでの投稿は、リアルタイムで見てたっけなぁ……ああ、ワタシも歳をとったモノだ。


この魔王転生。感覚的には元ネタと同じく魔王と勇者の馴れ合い気味な馬鹿話って感じで考えてたんだけど……どうしてこうなった?

ファミリアを完結させたら、こっちを優先的に書いて完結させる予定です。


最近……ってワケでもないけどスターシステムを意識して書いてます。

手塚治や赤塚不二夫が作品を跨いで同じキャラを使い回すアレですね……今の漫画家でも似たような事をやってる人は居ます。

転生とかじゃ無いんで知識や経験は継いでませんが、性格や行動パターンなんかは共通してます。

ファミリアのシャドウと、この魔王転生のシャドウ……中身的には同一人物ってな感じで書いてますね。

ファミリアのシャドウは、まだ純真で、この魔王転生のシャドウは人生経験を積んだ上で艱難辛苦を味わいまくって悟りの境地に近いところまで行っちゃってるって感覚で書いてますんで、厳密には同一人物とか言いがたいんですが……

イーファリーファという名前が気に入らなかったんでファミリアでのシャドウ君の相方はキーアリーハになりました。

つか最初こっちもキーアリーハだったんですがキーアとリーハに分けた場合、名前っぽく見えないんでイーファリーファにしたような記憶がががが……つか放置期間が長すぎて憶えてないよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ