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ゾット帝国外伝 丘の民の伝説編  作者: 剣竜
第4章 交錯する3人の主人公たち
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第九十五話 意外なる参加者!? 北アルガスタ予選(前編)

『ゾッ帝の個人的な考察No.11』


ゾッ帝原作に登場するキャラクターの個人的な考察を少し載せて行こうと思います。

名前:ミサ 性別:女 歳:11 一人称:あたし

恰好:亜麻色のポニーテールでエメラルドグリーンのベレー帽を斜めに被り、額にゴーグルを装着している。両耳にハートのピアス、首にはハートのネックレス。

服は白のブラウスで胸に小さな紅いリボンが付き、スカイブルーのガーディガン。

コウモリの形をした黒いマントを羽織り、両手に革の黒いグローブを嵌めている。

下はピンクのフレアスカートに太腿丈の黒いスパッツを穿き、膝から下は縞のニーソックス。靴は黒いショートブーツ。


コウモリの形をした黒いマントというのがよくわかりません。

バットマンは違う。ドラえもんに似たような秘密道具があったような…?

しかし裕P先生はドラえもんをほとんど知らないので偶然ですね。

ベレー帽がよくわかりません。軍に所属しているわけでも無いので何で被っているのか。

キャスケット帽と間違えた…?

ゴーグルはホバーボードに乗るときに使うのでしょう。こちらは納得ができます。


 魔王教団の手によって蘇った生ける屍。

メノウとショーナは遺跡でこれと交戦し、撃破。

それを北のアルガスタの支配者であるシャムに報告へといった。


「シャムさん、報告書にもまとめたけど一応口頭でも説明するよ」 


「あ、ああ。しかし本当なのかい?ゾンビって…」


 ショーナの提出した報告書を見ながら言うシャム。

確かに俄かには信じられぬことだろう。

それを補足するためメノウが説明を加える。


「生ける屍と言っても、骨を魔術で動かしてるだけじゃ。単純な動きならばそこまで難しくはない」


 死者蘇生の魔法では無く、無生物を動かす単純な魔法を応用した物だとメノウは言った。

だが、あの魔法は正確にはそんな単純なものでは無い。

魔王教団の紋様や再生能力、そして生前の動きを再現したような攻撃パターン。

当然メノウもそのことは理解している。

しかしそのことを説明するとどうしても話が長く難解なものになってしまう。

分かりやすくするため、簡単な魔法であると言ったのだ。

 

「魔法のことは詳しく知らないが、そういう物なのか」


「そうじゃ」


「もし民間人が足を踏み入れていたら大惨事になるところだった。キミ達に調査を依頼してよかったよ」


「もしまた何かあったら俺達に言ってください。出来る限りお手伝いしますよ」


「ありがとう。今回の仕事の報酬は後で使いの者に持って行かせる」


「頼むぞい」


「それじゃ、失礼します」


 そう言ってショーナとメノウは彼の部屋から出ると、貸してもらっている客室へと戻っていった。

そのまま部屋のベッドに倒れこむショーナ。

ソファに静かに座るメノウ。

ここでショーナはあることに気が付いた。

いつもならばもう少し口数の多いメノウだが、どうも先ほどから妙に静かだ。

具体的に言うと、この屋敷に帰ってきてから口数が少なくなった。


「メノウ、さっきからちょっと様子おかしくないか?」


「ショーナ、お前さんはあの男についてどう思う?」


「シャムさんか」


「そうじゃ」


「どうって…?よくわかんねえよ」


「ワシも…わからない…」


 そう言うとメノウは頭を抱え、何かに悩んだような表情を見せた。

今までこのような顔は見たことが無い、ショーナも初めて見るメノウの顔だった。


「人の言葉の真贋、善悪の屑を見抜く力。それには絶対的な自信があるのじゃがなぁ」


 自慢じゃないがな。

そう言いつつも彼女はさらに話を続けた。


「じゃが、あのシャムというあの男だけは何かが違う」


 この北のアルガスタの支配者、シャム。

他の地区の支配者だった者達とは違い危険な思想も、野望も持ち合わせてはいない。

あの暴君だったモール・エレクションの弟とは思えぬ人格をしている。


「あの男だけは何を考えているかわからん…わからんわ」


「シャムさんが何を考えているか…か」


「悪人のようでもあり、聖人のようでもある。何を考えているのかがまるで掴めん…」


「けどさ、そんなに悪い人には見えないぜ」


「う~ん…」


 メノウが抱く悩み。

それは『人の心が読めない』という事実そのもの。

善か悪か、それを見極めることの出来ぬイレギュラーの存在そのものが彼女にとっての悩みの種。

とくにシャムという男はこの地区の支配者。

他の地区の支配者たちが三人とも悪人だっただけあって、この男も信用していいものなのか。

 と、その時…


「貴女にも読めませんでしたか。彼の心は…」


 そんな中、メノウ達の部屋に一人の少女が姿を現した。

いつの間にそこにいたのだろうか。

扉が空いたような気配は無かった、窓は空いているがそこから入ったとも思えない。

それは灰色の布を纏った小さな灰色の少女。

グラウだ。


「グラウ!?」


「お前さん、いつも突然現れるのう。『最初』はそうでも無かったのじゃがな」


「私が会わせたいと言った人物、それがあのシャムという男でした」


 グラウも、メノウほどでは無いがある程度は人の善悪や考えを見抜くことはできる。

しかしそんな彼女でもあの男だけは分からなかった

西アルガスタでメノウに言ったのはそういう意味だった。


「それでワシにヤツの考えを見抜いてほしかった、そういうことじゃな」


「はい。しかし…」


「スマン、ワシもわからなかった」


 軽く頭を下げるメノウ。

ここでグラウは少し発想を変え、ショーナに話を聞くことにした。


「ショーナ、キミはあの男に対しどんなイメージを持った?」


「え、俺?」


「何でもいい。キミの考えを教えてくれないか」


「う~ん…」


「ワシからも頼む、ショーナ。」


 北のアルガスタの支配者であるシャムに対し、ショーナのみ悪い先入観を持ってはいなかった。

メノウの『読み』が使えない場合、彼の直観の方が役に立つかもしれない。


「そうだなぁ、少なくとも俺はあの人が悪い人には見えなかったぜ」


「うん」


「見た感じ軍閥長としては質素な生活をしてるし、仕事も積極的にしてる。民衆からの支持も悪くは無い」


「確かにそれは事実だ」


「けど…」


「けど?」

 

「なんじゃ?」

 

「あの人、確かに『何か』が怪しい気がするんだよなぁ…」


「…何かか」


「俺達が見ているシャムさんは『あの人の全て』では無いと思う…」





--------------------




 北アルガスタで過ごし数週間が過ぎた。

その間メノウ達は、悟られぬようにシャムを監視し続けた。

しかし彼がすることと言えばいつも決まったことのみ。

仕事をこなし、養子の少女シャドの面倒を見る。

そして仕事の合間に体を鍛える。


「う~ん、やっぱ何もないんじゃねえかな。あの人」


「そうじゃなあ…そうかもしれんのう…」


 そう言うショーナとメノウ。

今日は討伐大会北アルガスタ予選の当日。

二人はシャムに頼まれ、この会場の受付をしていた。

会場といっても、大きな古い軍用の倉庫を改装した程度のものだが。

軍用倉庫というだけあり、広さだけはかなりの物だ。

巨大な爆撃機でも十機は収納することが出来る程。

しかし…


「人、来ないな」


「来ないのぅ…」


「参加者0人、とかにならないといいけど」


 二人の声が誰もいない会場内に虚しく響き渡る。

他の地区に比べ、参加者が少ないとは聞いていたがこれほどとはさすがに想像していなかった。


「参加したいのだが、いいかな?」


「お、参加者が…って、グラウ!?」


 本日初めての参加者が現れた。

灰色の少女グラウ、以前から彼女もこの北アルガスタに滞在していたのだ。


「私にだって参加する権利はあるだろう」


「まぁ、確かに」


「ならばここに名前を書くのじゃ」


 メノウが名簿と鉛筆を差し出す。

それを受け取り、名簿に『Grau Mädchen』と書いていく。


「よし、参加登録したぜ。中で待っててくれ」


「わかった」


 会場へと入って行くグラウ。

そんな彼女を尻目に、メノウは名簿に書かれた文字を見てあることを考えていた。

Grau Mädchenという名前の最初の文字は『G』だ。

しかし、グラウの文字の書き方に違和感を感じた。


「Gでは無く別の文字を書こうとしたが、直前で気付き別の文字を書いた…?」


 グラウの名前が偽名であることはメノウとショーナの両名が知っている。

問題は『何と書こうとした』のかだ。


「どうしたメノウ」


「グラウはGrau Mädchenという文字では無く、別の文字を書こうとしていた」


 メノウはグラウが最初に鉛筆を置いた場所を指さした。

そこに鉛筆を置いた直後、慌てて書き直したのだ。

Gの文字の左上に当たる部分。

仮にここから文字を書くとしたら…?


「ショーナ、ここから書くとしたら何の文字になると思う?」


「左上から書き始める文字か。『H』に『K』、『P』か『T』…他にも結構あるな」


「絞りきれん、考えるのはやめじゃ。やめやめ」


「えぇ、何だよそれ。お前が言い出したんじゃないか」


「ははは、まぁちょっとした暇つぶしにはなったじゃろう?」


「全く…」


「それより参加者はもうこんのか?」


「さぁ、わかんねぇよ」


 三時間ほど受付をしているが、先ほどのグラウ以外参加者は現れなかった。

事前受付をしているものすらいない。

他の地区と比べるとやはり人口が少なく、山奥に存在するというのがネックなのだろう。

 あまりにも暇なため、名簿の余白にラクガキを始めるショーナ。

と、そこに…


「どうだい、調子は?」


「…こんにちは」


「あ、シャムさんとシャドちゃん」


 シャム、そしてその連れの少女シャドがやってきた。

会場の様子を見に来たのだろうか。

ショーナはあわててラクガキを消し、名簿を彼に渡した。

 

「ま、まだ一人だけです」


「う~ん」


「少ないですよね」


「いや、他の地区からわざわざ来てくれる人がいるなんて珍しいよ」

 

 そう言うと、シャムは自身の名を名簿に書き始めた。


「一応、例年の決まりでね。私も参加することにしているんだ」


「なるほど…」


「とはいっても、この様子だと他の地区のような大会形式での開催は無理かな…」

 

 もう少し人がいれば…

そう言いたげな彼はシャドと共に会場へと入って行った…




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