第九十四話 恐怖呼ぶ生ける屍
『ゾッ帝の個人的な考察No.10』
ゾッ帝原作に登場するキャラクターの個人的な考察を少し載せて行こうと思います。
名前:カイト 性別:男 歳:11 一人称:オレ
恰好:頭の後ろで小さく結え、両耳に羽ピアス。クリスタルのネックレス。
シャツにサスペンダー。両手にパワーグローブ。カーゴパンツにスニーカー。
武器:剣(騎士団からくすねた)オートマチック銃(騎士団からくすねた)
キャラ説明:ネロとミサの幼馴染。
後さき考えずに行動する癖がある。好奇心旺盛で仲間思い。
曲がったことが嫌いで正義感が強い。
元ネタはテイルズのキャラかららしいですね。
カイトが装備しているパワーグローブはファミコンのアレではなく、単につけると筋力が増強される的なアイテムです。
髪型は裕P先生の旧作、『これが~ユージの歩く道!』の主人公『前川祐二』と同じらしいです。
名前の元ネタはたぶんハンターハンターから。
本人は否定していましたが、意識せずに使ってしまったのではないでしょうか?
北アルガスタの軍閥長、シャムの下に滞在して数日。
この地区では討伐大会の予選を大々的にやらないということをメノウ達は聞いた。
そもそも参加人数自体が毎回十人集まるか、集まらないか程度らしく今回も怪しいところだという。
二人は、この地区の予選には魔王教団はこないのではないかという考えさえ思い始めていた。
「ショーナ!」
特にするべきことも無かったため、屋敷の裏の空き地で訓練をしていたショーナ。
そんな彼にメノウが声をかけた。
「あまりにも退屈じゃったから、あのシャムというヤツから仕事をもらってきたぞ!」
「仕事?」
「おう!」
メノウが持ってきた仕事内容の書かれた指示書には、『遺跡の調査』と書かれていた。
しかし紙を読み進めていくと、正確には『遺跡の害獣駆除』という物であることが分かった。
この町から少し離れた位置にある遺跡に何かの獣が住み着いているらしく、それを退治して欲しいとのことだ。
シャムによるとゴリラか、クマであるかもしれないとのこと。
「いやゴリラは無いだろ」
「よくは分からないが、上手くいけば金も貰えるらしいぞぃ」
「まぁ、ずっとトレーニングしてるよりはいいかな」
「じゃあ決まりじゃな、行くぞ!」
「わっ!ちょっと待てって!」
ショーナを引っ張り、遺跡へと向かうメノウ。
愛馬であるアゲートを駆り、二人は屋敷から飛び出した。
町を抜け山を越え、川を踏み抜け深い森を駆ける。
休憩などを挟み一時間、遺跡へとたどり着いた。
「はぇ~…」
「遺跡というよりこれは…」
「洞窟じゃな」
どうやら天然の洞窟を元にして作られた遺跡のようだ。
入り口の周辺には石畳が敷かれ、石像や門のようなものも確認できた。
もっとも、既にそれらは壊れて半壊状態となっていたが。
かなり昔に何者かに破壊されたのか、あるいは自然に壊れてしまったのか。
それは分からないが、肝心の遺跡である洞窟自体は崩落などもしておらず無事なようだった。
「どうやらここは昔の人の墓だったらしいな」
「その紙に書いてあったのか?」
「ああ」
どうやらこの遺跡は『古墳』のようなものらしい。
古代の権力者の遺体と共に、土偶や動物の骨、生前に使っていた道具などをともに埋葬していたという。
この北アルガスタでは珍しい古代遺産であるため、できる限り保護したいというのが軍閥長の意向のようだ。
「となると、中の獣は引きずりだした方がいいって事か」
「こんなところを住処にする動物などいないと思うのじゃがなぁ…」
「山菜を取りに来た人が鳴き声らしきものを聞いた、ってこの紙には書いてあるぜ」
とはいえ、動物が住み着いているとも限らない。
何もいなければ、遺跡の様子を伝えてくれればいいというのが今回の仕事だ。
この程度ならばメノウ達にわざわざ頼むほどの物でもないのだが、やはり人手が足りないのだろう。
あるいは、二人の暇を見かねた軍閥長がとりあえず暇つぶし用に仕事を回してくれたか。
「とりあえず入ってみるかのう…」
「そうだな」
「アゲート、少し待っておれ。すぐ戻ってくるからのう」
そう言って遺跡に足を踏み入れるメノウ。
冷たい風が遺跡の中から吹く。
普段ならば何も感じぬはずのその風。
しかし…
「これは…!」
その風には妙な『魔力』が混入していた。
この感じは以前、アリスやミサキと対峙した時の物によく似ている。
間違いない。
この魔力の残り香は、魔王教団の誰かがこの遺跡にいたという証だ。
「どうした、メノウ?」
「い、いや。ちょっとこわいのう…」
所詮は残り香、今もこの地にいるわけでは無い。
何らかの調査のために、魔王教団がこの地を訪れていたのだろう。
極僅かな魔力の残照であったため、気にするほどでもない。
それより、余計な心配をショーナに掛けさせたくない。
そう考えたメノウは適当にごまかした。
「すぐに終わらせようぜ。何もなければ一番楽なんだけど」
「そうじゃな」
近くに落ちていた木の棒と持ってきた油とボロ布で松明を作り、遺跡内部へと入る二人。
危険なガスなども無い、本当に単なる洞窟だ。
一応、地面は整地され石畳が敷かれていたが。
「そんなに深くも無いみたいだな。奥まで行って何もいなかったら戻るか」
「…ショーナ」
「なんだよ」
「足元を見てみろ」
「うぇ!犬のフンだ!」
遺跡の床に落ちていたフンを踏み掛け、思わず後ずさりするショーナ。
「…ん?こんなところに?」
「野生のオオカミか何かのものじゃな」
その少し奥には、小動物の骨が残されていた。
恐らくこのフンの主の食べ残しだろう。
「単にオオカミが迷い込んだだけだったりして…」
「たぶんそうじゃろうなぁ」
「一応奥まで見てみるか?」
「そうしようかのう」
そう言って遺跡の最深部まで入って行く二人。
最深部と言っても入り口から十数メートルほどの場所にある小部屋のことだ。
遺体が安置されているという棺、そして副葬品の数々が置かれている。
一応この部屋だけは獣が入らぬように、後年つけられた扉があった。
それを開け、中を軽く確認する。
静寂のみがそこにはあった。
しかし…
「うおッ!?」
その声と共に扉から距離を取るショーナ。
扉を開けた瞬間、先ほどメノウの感じた魔力の残り香が一層強くなった。
「ショーナ!?」
「扉の向こうに何かいる…!」
「この感じは…魔王教団の…!」
まるで二人が来るのを待っていたかのように、扉の向こうにいる『ソレ』は行動を始めた。
安置されていた偉人の遺体、その周囲に置かれていた動物の骨。
それらがまるで生きているかのように動き始めたのだ。
副葬品の剣を持ち、構える生ける屍、牙を見せる動物の屍達。
「ば、化け物か!?ゾンビってヤツか!?」
「一旦遺跡の外へ出るぞ、ショーナ!」
「なんでこんなことに!」
ショーナが持っていた松明を投げつけ、動物の屍をバラバラにする。
しかしすぐに再生してしまった。
屍を動かす何らかの魔力が働いているようだ。
単に破壊するだけでは無く、強力な力で消滅させる必要があるらしい。
遺跡の外へと屍たちをおびき出し、メノウ達も戦いの態勢を取る。
「アゲート、気をつけろ!」
突然現れた屍に、軍馬であるアゲートも驚きを隠せぬようだ。
ショーナの声を受け、少し距離を取る。
「暗くてよくわからなかったが、そういうことじゃったか…」
遺跡の外に出て太陽の光に照らされる屍たち。
それらには、あの魔王教団の紋様が刻まれていた。
無生物を操ることが出来る魔術を持つ者がいるというのは、以前のアリスとの戦いで知っている。
「魔獣シヤンのこともあったからのぅ」
ただし、屍につけられた紋様は以前に見た物と違い規則性が無くデタラメなもの。
途切れたり所々消したような跡や修正跡すらすらみられる。
この屍たちはさして重要な存在では無いのだろう。
紋様を刻む練習に使われた、という所か。
「この遺跡で何かを探した魔王教団が、ついでに罠を仕掛けていったというところか?」
「おそらくな」
遺跡の途中に落ちていたオオカミの食い残しの小動物の死体、あれは動き出していなかった。
屍を動かす魔術は最近かけられた物では無く、あらかじめかけられていたと考えるのが正しいだろう。
「やるぞメノウ」
「おう!」
襲い掛かってきた動物の屍達数体を衝撃波で吹き飛ばしながらメノウが答えた。
斬りかかってきた屍の攻撃を落ちていた木の棒で受け流し、相手のバランスを崩すショーナ。
「骨とボロボロの肉体だけになっても戦わされるってのはさすがにかわいそうだな」
そんなショーナの声など聞く耳を持たず剣で再び斬りかかる屍。
動きは鈍いがこちらからの攻撃はほとんど意味を持たない。
さきほどの松明攻撃のときと同じく、こちらから殴り掛かってもすぐに再生してしまう。
「いい加減止まれ!」
足払いをして屍を転倒させるショーナ。
屍の脚がその衝撃で崩れるも、魔力により再生してしまう。
やはり倒すには魔法で消し去るか、再生する前に粉砕するしかない。
「メノウ、いいか!?」
「いいぞぃ!」
返す刀で攻撃を別々の相手に切り替える二人。
ショーナが相手をしていた屍をメノウが消し飛ばし、メノウが相手をしていた動物の屍をショーナが粉砕した。
メノウの魔法攻撃なら、動きの鈍い屍を消滅させることなど容易なこと。
小さな動物の骨ならば、無駄な魔力を使わずとも、ショーナが粉砕すればよい。
「面倒な相手だったのう。こんな奴らがたくさん出てきたら大変じゃ」
粉々になった屍たちを見ながらメノウが言った。
一陣の風が吹き抜けるとともにそれらは飛散していった。
今回は数が少なかったからすぐに始末できた。
しかし、もしこのような『生ける屍』が大挙して襲いかかってきたら倒すのは容易なことでは無い。
「メノウ、さっきの奴らに現代兵器って通用するのかな?」
「たとえばどんなのじゃ?」
ふと思い立った疑問をメノウにぶつけるショーナ。
先ほどの屍だけでは無く、魔王教団のメンバーやその眷属、ハンターなど敵の戦力全てに現代兵器が通用するのか。
ゾット帝国には各地区に軍がある。
最悪の場合、そちらに協力を要請することになるかもしれないが…
「対戦車ライフルとかポンプアクションショットガンとか、とにかくいろいろさ」
「むずかしいと思うぞ」
「まぁ、仮に通用するとしても周囲への被害やそれを用意する手間などを考えると現実的ではないか。小銃程度じゃすぐ再生しそうだしな」
「無いよりはずっとマシじゃろうがな」
「遺跡荒らしちゃったけど怒られねぇかな?」
「ちゃんと話せば大丈夫じゃろう」
魔王教団の手によって蘇った生ける屍たちを倒したメノウ。
この事を報告するため、二人は一旦戻ることにした。