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ゾット帝国外伝 丘の民の伝説編  作者: 剣竜
第4章 交錯する3人の主人公たち
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第八十八話 ショーナとレオナの意外な再開!

『ゾッ帝の個人的な考察No.4』


ゾット帝国作中のキャラクターの強さはどれほどでしょうか。

ここでは原作の主人公である『カイト』と『ジン』の強さを考察してみます。

(ただし、それぞれ『禁断の森編』と『ジョー編』のみ)


原作ではカイトとネロは『銀色の小さな球形』と呼ばれる電撃攻撃を行う武器を使い小型獣型ハンターを倒しています。

しかし、この『銀色の小さな球形』が無ければカイトは小型獣型ハンターには勝てなかったでしょう。

小型獣型ハンターは野犬程度の大きさだと推測されます。

半身が金属化された犬が相手ではさすがに勝つのは難しいでしょう。

カイトが苦戦するのも無理はありません。

この後も他人から貰った武器で戦ったりしていますが、それは武器が強いだけなので割愛。


 ジンはまともな戦闘描写がほとんどありません。

一応、成長後は魔物を一刀両断するほどの腕を見せています。

しかし、ジョーにさらわれた少年期の時点では、チンピラに毎日暴行される程度です。

とはいえ、このチンピラは銃で武装していたため、反撃はしたくても出来なかったでしょう。

これ以外では、剣を構えジョーに斬りかかるルビナを一瞬で目視したりしています。

反射神経が凄く発達しているのでしょうか。


この外伝である『丘の民』の主人公『メノウ』は、大型肉食恐竜型ハンターを三回撃破しています。

(内二回は強化型である青龍仕様の大型肉食恐竜型ハンター)


 古びた酒場へと入って行くアスカとアルア。

床板は跳ね上がり、壁にはヒビが入っている。

既に営業はしていないのだろう。

廃墟と化したその建物に一体何の用があるというのか。


「さぁ、今回の作戦について話そうじゃないか」


 アスカが言うとともに、酒場の奥の机に置かれたランプに火が灯った。

室内を揺れる火がてらしだした。

そこにはアスカ達の来訪を待つ者がいた。


「もう!もっと早く来るって言ってたのにー!遅すぎます!」


 そう言ったのは、魔王教団の少女アリス。

以前スート達を操り、メノウに差し向けたこともある。

どうやら長時間、この場所で待っていたらしく怒り気味の様子だ。

火をつけたのは壁に寄りかっていた彼女だった。

不満そうな顔を見せながら彼女はアルア達に詰め寄った。


「ご、ごめん…」


「アスカは何か言うことないのですか?」


「おお、そうだった。せっかく港町に来たのだからいろいろと買ってきたんだ。食べるかい?」


「そうじゃないんですけど…まぁいいか」


 呆れ気味に言うアリス。

とはいえ、遅れてきたアスカ達に悪気があったわけではないということは分かった。


「しかしこうして改めて見ると、集まりが悪いのです…」


「しょうがないさ。今回はあくまで前哨戦なんだから」


 数年後、ゾット帝国は紅月に包まれ、ユニフォンから魔王が復活する。

今回の戦いはあくまでその前哨戦に過ぎない。

魔王が復活した時のために、支配をより強固な物にするために眷属を増やしておく。

そして侵攻をしやすくするために、あらかじめゾット帝国を裏から脆弱にしていく。

今回の作戦の目的、それは数年後の魔王復活の際の準備をするということだ。


「ジードのヤツは不参加、ユニフォンの本隊も別の準備があるからって手は貸せないそうだ」


「となると、今回動けるのは…」


 アルアが周囲に目をやる。

今回の戦いで動ける魔王教団のメンバー。

それはアリス、アスカ、そして…


「クエケケケ、おいおい誰か忘れてないか?」


 アスカの肩に留まる人語を喋る雄の大鷲、それがアルアに向かって言った。

頭にゴーグルを装着し、腰にホルスターを巻いて、二丁のオートマチック銃を挿している大鷲だ。


「忘れてないよ、『ジェイ』」


「当たり前だ忘れられちゃ困るからなぁ。ま、もっと困るのはくたばることだけどな。くえっ、くえっ~」


「まぁ、確かに魔王様復活前に死んでしまうのは避けたいね」


「俺は今回の作戦は慎重に行くべきだと思うぜ」


「ジェイ、キミにしては珍しい意見だな」


「それだけ今回の山が険しいってことだよ」


 その喋りや立ち振る舞いからは想像し辛いが、意外とジェイは冷静かつ慎重な性格をしている。

いや、むしろその性格を隠すためにあえてそのような振舞をしているかもしれない。

どこか愛嬌さえ感じるその姿からは想像さえ出来ぬほどの冷酷な策士。

それがこのジェイという男だ。

正確には雄の大鷲だが。


「特にあの三人だ!人間どもの…くえっ…誰だっけ?」


 頭に翼先を当てながら考え込むジェイ。

彼が何を言いたいかを理解したアルアがその三人の名を上げていった。


「親衛隊長のジン、騎士団のカイト、あとメノウって子…?」


「くえっ~!そうだその三人だ!」


 ゾット帝国内でも様々な意味で絶大な影響力を持つこの三人。

魔王教団側からすれば、この三人との直接対決はできる限り避けたい事象。

事実、アリスはメノウとの直接対決を避け、操ったスートや魔獣であるシヤンを差し向けた。

そしてジンはゾット帝国最高クラスの腕を持つ忠義の騎士、彼を正攻法で倒すことは難しい。

カイトはカイトだ。


「眷属共にソイツらを陽動させて、俺達は『あれ』の情報を探す。これで決まりだぜぇ~!」


「『あれ』の話か、しかし本当なのかい?人間どもがそんなものを…?」


「人間どもが起こした数十年前の世界大戦、その時の忘れ形見らしいぜ!くえっ、くえっ~」


 ジェイとアスカの言う『あれ』、それは魔王教団の力をより強固にするという物のようだ。

なんらかの兵器、或いは隠し財宝のようなものなのだろうか。

それとも…?


「その情報は本当なのですか?人間たちの嘘ってことは…」


 半信半疑のアリスがアスカに尋ねた。

存在自体が怪しい物を、彼らは何故求めるのか…?


「実在はするらしい。しかし『鍵』のありかも分からないんだ」


「まぁ、今回のゴタゴタに紛れて『あれ』と『鍵』を探すとしようぜ。くえっ~」


 ジェイが言った。

今回の集かいで決まったこと、それは『現状維持』だった。

ミサキたち眷属を陽動として動かし、その隙に『あれ』の情報を集める。

その間にも別の眷属を増やすことを忘れない。

情報収集をしつつ、眷属を増やし、将来邪魔になりそうな者は抹殺する。

しかし、目立つ行動は決して行わない。

これが今回の作戦の全てだ。


「ねぇアスカ、以前言ったものは調べてきてくれましたか?」


「ああ、ちゃんとね。頼まれてたものも持ってきた」


 アスカがそう言ってアリスに小さな紙袋を手渡した。

それを嬉しそうに受け取るアリスだが、渡した当の本人はどこか不思議な表情のまま。


「しかしアリス、キミはこんな物をどうしようというんだい?」


「ふふーん、対メノウちゃんのための必殺アイテムなのです」


「…ボクには分からないが、まぁキミがそういうのならそうなんだろう」


「これを使うのが楽しみなのです」




--------------------------




 メノウ達が西アルガスタへやってきて一週間が過ぎた。

今のところ、街には特に変わった様子は見られない。

西アルガスタの大会の予選まではあと一週間ほど時間がある。

しかし、ショーナは既に南アルガスタ予選を勝ち抜いているため、今回は参加する必要は無い。


「暇、だなぁ…」


 ウェーダーが手配した宿泊施設にて一人呟くショーナ。

メノウとウェーダーはジンの依頼で調査に向かっている。

西アルガスタの旧支配者であるジョー、彼が所有していたという研究所へだ。


「少しくらい出かけてぇなぁ…」


 窓の外の道行く人々を眺め、それを目で追っていく。

この宿泊施設は港町キリカの中心街にある。

当然、この周辺には様々な店や娯楽施設などもある。

だが、メノウ達からできる限り外出は控えるように言われていた。


「はぁ…」


 以前のシェンの時の様に、いつ魔王教団の眷属が襲ってきてもおかしくは無い状況。

この宿泊施設にメノウ達がいるということは魔王教団側は知らない、しかし外出して彼らとの遭遇のリスクを無駄に増やすことは避けたい。

そのことはショーナも理解している。

しかし…


「でも、少しくらいなら…」


 魔が差したのか、暇つぶしのためショーナは外出することにした。

メノウとジン、ウェーダーは、あと数日は帰ってこない。

仮にいま、ショーナが出かけても誰も気づく者はいないのだ。

もし後で何か言われたとしても、


『今日は外出するなとは言われていない』


と言って押し通すことにしよう。

そう考えながら、帽子とスカーフで軽い変装をし外出することに。

宿の裏口からこっそりとショーナは抜け出した。


「確かこの街は遊び場が充実してるって聞いたな…」


 この港町キリカはゾット帝国でもっとも住みやすいと言われている街。

単なる商店だけでは無く、娯楽施設も当然たくさんある。

街を適当に散策しながら、宿泊施設から持ち出した観光地のパンフレットを見る。

そして、どこへ行こうかを模索するショーナ。


「遊園地もいいが…気になるのはやっぱりあそこだな」


 そう言ってショーナはある場所へと向かうことにした。

商店で地図を買い、その目的地へと走って行く。

街の郊外にあるその場所、それは討伐大会の西アルガスタ会場だった。


「けっこう広いな…」


 街の郊外の公園の広場に作られた討伐大会予選の仮設会場。

以前、ショーナが参加した南アルガスタの会場よりも、こちらは数倍豪華な作りになっていた。

この西アルガスタには、比較的金持ちが多く住んでいる。

そのような者達のためにこのような作りになっているのだ。

鉄骨や木の板などの資材で突貫で作られた南アルガスタの予選会場とは違い、このまま数年は使用できそうなほどだ。

いや、恐らく実際に数年はこの施設で予選をするのだろう。


「単なる会場の割に南アルガスタ軍の施設群よりもしっかりした造りだな…」


 そう言いながら会場の周りを軽く歩き回るショーナ。

ふと気づくと、他にも何人かの参加者らしき者が会場を眺めているのが確認できた。


「(へへ、俺は南アルガスタの予選を突破してるんだぜー)」


 心の中でそう呟くと、ちょっとした優越感に浸った気分になる。

とはいえ、単に会場の周りを歩き回るだけではすぐに飽きてしまう。

別にショーナ自身がここで戦うわけでは無いのだ。


「…戻るか」


 一人でいてもあまり面白くない、そう思ったショーナは宿に戻ることにした。

いつものように誰かが一緒にいれば話しながら面白おかしく過ごせるのだが…

今は仕事のことで話し相手になってくれるD基地の部下も、上司であり姉のような存在であるミーナもいない。

バカものだが、おもしろいことを言って楽しませてくれるカイトもいない。

それに…


「メノウ…」


 つい最近、メノウと再開したショーナ。

しかし、少し会わないだけでこんなにも寂しさを感じてしまう。


「…アイツに絶対言わせてやる」


 この大会で優勝すればメノウから『答え』をもらえる。

それはどんな賞品よりも、どんな名声よりも、ずっとショーナが欲しいと思っているモノ。


「宿で軽くトレーニングでもして待ってるかな…」


 遊びを止め、宿へ戻ろうとするショーナ。

と、そこに…


「ショーナくん!?」


「レオナ!」


 西アルガスタの地での意外な出会い。

それはショーナとその友人の少女、レオナの意外な再開だった。





名前:アルア 性別:女 歳:十四 一人称:私 

恰好:黒いとんがり帽子を被り、黒髪ショート。

黒いマント、黒いニーソックスと全身真っ黒。

武器:アカザの杖

魔王教団の一人。

ダウナー気味の内向気味な性格の少女。

自分が傷つく争いは好まず、戦いは基本的に人任せにする。

強大な魔力を持っているが戦いには使わず、専らサポートに徹する事が多い。


マントと帽子はそれぞれアスカとアリスから貰った物を身に纏っている。

二人のことは友人だと思っている。

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